密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

Goin Home - 経済的徴兵制

戦争法可決のあと、自衛隊入隊率が減り始め、退職(隊?)率が増え始めている。貧困若者への露骨な勧誘もはじまっている。アメリカと同様に経済的徴兵制か?とささやかれる。常時軍隊のあるアメリカは、従軍奨学金はいい時もあった。大学に通いながら、夏休みなどの2ヶ月訓練を受ける事で、学費援助してもらえるような扱いもあり、特に大きな戦争の無いときは、経済的徴兵制と云う感覚もなかったようだ。


Dさんの姪が結婚した。体格のいい、物怖じしない明るい青年で、何にでも積極的にトライする。だれとでもすぐ友達になれそうな好青年だ。彼は軍が自分に人生をくれたのだと云う。入隊し韓国にも配置されたあと、十分な人生の下地を創り除隊した。大学で学位を習得し卒業して二人の家を持った。子供の頃は、何事にも自信が無く自分はどうして生きていったらいいのかわからなかったという。彼は十数年家族とコンタクトをしておらず、結婚式にもはじめは呼びたくない様子だったのを、みんなに勧められた連絡を取った。式に来たご家族は、体中に入れ墨を入れ、会話が平板で挙動に集中力が無く、無気力なひとたちだった。(それでも式は穏やかに進み、若いカップルは無事新しいスタートをきった。)


彼の家族は、いわゆる”ホワイトトラッシュ”と云われる人たちで、白人層の底辺にいる。その日暮らしを好み、コンテナハウスに暮らし、向上心をもたず、アルコールに依存する生活。ちょっと働いては,酒をかい、子だくさん(でも,飢え死にはしない,なぜか、たいてい銃はもっているので、リスとかオッポサムとかを狩猟したり、ちょっと怪しい取引をして糊口を凌げる)ただ、その淀んだ階層の中で,子供たちも同じ人生を歩む確率がたかい、だから、そこから出てゆきたいと思うなら、軍に志望して人生のチャンスを切り開くことも有効な道なのだ。有色人種も含め,最下層は薬、アルコールによる廃人までさがる。この貧困と一概に云えない人たちは、子供に人生の入り口を示す事が出来ない。そういった子供たちの受け皿に軍入隊-報酬やその後の援助があった。


すっかり様変わりしたのは、イラク・アフガン戦争(湾岸戦争の頃はまだ,そこまで大きな問題になっていなかった,ベトナム戦争は大きな反戦運動とともに徴兵制が問題になった)で、特に、何度も戦地に送られ、二度三度目となると,軍による圧力強制もあったし、兵士が足りなくなると、予備兵州兵(除隊後もボランティアで登録し,年に1、2週間の訓練を受け、災害時などに自分の州の人たちの救助に当たったりする人たち、平常は家庭を持ち仕事も持っている)も動員、兵士の自殺はまずこの人たちから始まった。10年以上を経ても,この戦争に参加した兵士の身体的精神的ケアは追いつかない。Dさんの幼なじみの息子さんはイラクにエアフォースとして2度おくられ,五体満足で除隊をみとめられて、婚約者と結婚した。もう絶対に行きたくない。そうつぶやいていた。


そもそもアメリカ人兵士は戦争に行っても,死を前提に考えない。徴兵制で、自分の意志に関係なく戦地ベトナムに送られた兵士のヘルメットにGoin Homeと書いてある写真を見た事がある。なんとしても家に帰ると云う気持ちをもっている。大戦中は、二等兵を救助するために、隊が総力を挙げ、日本軍を不思議がらせたと云う話をきいたことがある。危機に際しては見殺しにはしないという信頼に基づいて従軍している。彼らに取ってヒーローとは生き抜いた人なのだ。現在の戦地に送られる若い兵士は、死ねば負け、生きて帰れれば、人生の入り口にたてる賭けと云う気持ちなのだろう。そんな彼らでさへ、せっかく生きて帰っても精神を病んで自殺する。非人間的な自己の行為の記憶が彼らを殺す。


死生観、メンタリティーがものすごく違う日本人にあっては、どれだけの自殺者が出るか分かったものではない。自己犠牲の強要もおそろしい。貧困もアメリカとは性質が違う。政府が本気になれば、給付型奨学金、授業料軽減(アメリカにはどちらもある),大学の管理で学内で苦学生に職を与えるなど、まだやれる事がたくさんある。”本気になれば”である。日本の為政者は,兵士、国民の命など,彼らの主義,利権の前には顧みる価値も無い存在なのだ。何も先の大戦下の事を言っているのではない。今の安倍政権の国民の扱いを見れば、こんな国に命がけでサービスなどできない、してはいけない事は明白で、それでも動員したければ、現人神を創り出し信じさせる(暴力と法律でしばる)しかない。だから、愛国とか英霊とか言っている。自民党改憲草案もしかり。似非愛国心と人間関係で締め上げた現代の特攻、玉砕をつくらせてはいけない。戦争法案を廃止し、国民の税金を正しく使う新政権を選び取らなくてはならない。


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