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第一回大統領ディベートを知りたいなら、これ。CNNニュース

昨日の記事は、TVでディベートを見たワタクシの主観であり、記憶に基づいて印象的な部分を時系列ではなく書いたもので、とにかくトランプに対して、いかに怒り狂っていたかをお分かりいただくためのものでしかなかったかもしれない。


今、CNNがかなり良くオーガナイズされた記事を出している。
ディベートを6つのポイントでまとめ、流れもよくわかる。今回は主観を入れず転載するが、ただ歴史なども含む米国内のことで、記事面だけでは分かりづらい箇所に、少し注釈をつけることにする。

(CNN) 米大統領選に向けた29日夜の第1回大統領討論会は、民主党候補のバイデン前副大統領と相対した共和党候補のトランプ大統領が、会場を混乱に満ちた惨状の場へと変えた。


トランプ氏は90分間の決戦の場で自身のやり方で強引に突き進み、また煙に巻く姿勢で臨んだ。バイデン氏や司会者のフォックスニュースのクリス・ウォレス氏をあらゆる局面で遮って発言。数多くの質問やバイデン氏の政策議論を無視したうえ、バイデン氏の主張をねじまげて攻撃した。バイデン氏の息子や、主に極右メディアに掲載されるバイデン氏の歪曲された記録もターゲットにした。


トランプ氏の妨害に対して、バイデン氏はトランプ氏への嘲笑を浮かべ、「道化師」「人種差別主義者」「米国史上最悪の大統領」と呼んで応酬した。またトランプ氏の新型コロナウイルス流行への対処を批判し、医療保険プランを提出できていないことや人種的な不公平に対する抗議デモへの対応でも非難した。


司会者のウォレス氏は何度も議論をコントロールしようと努力したが、成功しなかった。
トランプ氏が司会者の質問やバイデン氏の返答にかぶせて話をする姿勢をとがめられると、自分だけが責められていると抗議したが、ウォレス氏は「率直に言って、あなたがより多く妨害している」と切り返した。


全国や激戦州での世論調査の支持率で後れを取るトランプ氏だが、現在支持を得られていない有権者を取り込もうとする努力はほとんど見られなかった。さらには、白人至上主義者への非難を何度も求められたのに拒否する姿勢を示したことは自身の現在の基盤も傷つける可能性がある。


討論会の6つのポイントを挙げる。米国


トランプ氏は白人至上主義者を非難せず
バイデン氏はトランプ氏を何度も直接、人種差別主義者と呼んだ。
「この大統領は差別主義的な憎悪や断絶を引き起こそうと、どんなものでも(わかる人にだけ合図するための)犬笛として使う」(バイデン氏)
人種間の関係や抗議デモ、暴力、警察活動を議論する時間では、トランプ氏はバイデン氏を抗議デモの暴力や破壊的な部分と結び付けようとした。ミネソタ州で警官に首を押さえつけられ死亡したジョージ・フロイドさんの事件やケンタッキー州で警官に射殺されたブレオナ・テイラーさんの事件などに対して抗議デモが発生している。


トランプ氏はまた、(1)バイデン氏が当選したら米国の郊外は「なくなる」と主張した。郊外地域はトランプ政権下で民主党への支持に傾きつつある。
バイデン氏はそれに対して、「彼は道を間違えない限り、郊外を知らないだろう」と反撃。トランプ氏の犬笛はもう機能しないと述べ、コロナウイルス流行や気候変動への対応が郊外を傷つけたと主張した。

<註釈>アメリカは法律で大都市の郊外に、一定数の低所得者住宅を政府のお金で建設するというプロジェクトが続いていた。NY郊外ヤンカースの裕福層が反対し、裁判に発展したことがあり、これをトランプは、自分が大統領のなら、こんなプロジェクトはせずに、貧乏な黒人が郊外の裕福層を悩ませることもない、と主張。(1)バイデンが当選したら、美しい(白人裕福層のための)郊外は無くなるだろうと主張した。
バイデンの、「彼は道を間違えない限り、郊外を知らないだろう」はブロンクス育ちのトランプを皮肉ったもの。ブロンクスは下町で、郊外ではない。加えて、バイデンは、すでに、郊外プロジェクトは十分完成しているとも述べた。


この時間帯の最後には、トランプ氏は、ウォレス氏やバイデン氏から何度も白人至上主義を非難するように促されたのに対して応じず、白人至上主義団体のプラウドボーイズについて「距離を取りかかわるな」と言及した。17年バージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者の行進に対するトランプ氏の反応を思い起こさせるものとなった。
<註釈>「距離を取りかかわるな」は訳として伝えきれていない感じがある。トランプは、Stand back Stand by といった。後ろに下がって待機しろ、というニュアンスだ。これも犬笛だ。



選挙に疑義を呈する
トランプ氏は郵便投票に関する誤った情報や嘘の主張を展開する中、尋ねられた1つの質問をその通りだとは明言しなかった。それは、

”もし選挙結果が不明瞭な場合に、支持者に対し平和的でいるように求めるかどうか”
トランプ氏は11月3日の大統領選後に支持者に対して何を語り掛けるかと尋ねられると、「支持者には投票所に行き、注意深く見るように促している」と答えた。
<註釈>トランプ支持者が、投票所で見張ると取れる脅しの要素を含む。
ウォラス司会が選挙当日について、「有権者に落ち着いて行動するよう、騒乱に参加しないよう呼びかけますか」と質問すると、トランプ氏は「支持者に投票所へ行き、注意深く観察するよう呼びかけている」と答えた。トランプ氏は、自分の支持者がペンシルヴェニア州フィラデルフィアで期日前投票の監視を阻止されたと述べた。しかし、フィラデルフィア市選管は、トランプ陣営は選挙監視員を登録しておらず、一般市民が投票所の中に入り投票を監視することは認められていないと説明している。BBCより



大規模な選挙の不正に関する嘘をいつも通り並べた後、トランプ氏は「もし何万票も操作されているとわかれば、それには従えない」と述べ、一定の状況下では投票結果を支持しない考えを示した。この回答に、今ある、大統領選後の混乱の懸念を鎮める要素はほとんどない。一方バイデン氏は、もし国民が多くの票を投じてくれたら――恐らくバイデン氏に対して――結果が争われる選挙を回避できると述べた。


コロナウイルス以外の話題に
トランプ陣営に選挙終盤で最重要の戦略があるとしたら、それはコロナウイルスの流行から注意をそらすことだ。有権者は世論調査でトランプ氏の対応は悪かったとの評価を示している。トランプ氏が過去数カ月、この話題から別の話題に移ろうとしていることは明らかだ。
もしトランプ政権下のコロナウイルスに関する記録を曖昧にするのが同氏の目標だったとしたら、成功したと言えるかもしれない。バイデン氏は議論を元に戻そうとしたが、議論は言い争いのレベルに落ち、世界で100万人の死者を出した世界的な大流行を中心議題に据えられなかった。
トランプ氏はワクチンのプロセスは政治的だと述べ、マスクを着用するバイデン氏を笑い、自身の政権下で記録した数値を擁護した。バイデン氏がもし大統領だったらもっと悪い状況だっただろうとの主張も展開した。
コロナウイルス流行に対応した聴衆の少なさや候補者間の握手の回避は、討論会の会場に独特の雰囲気を与えた。そしてバイデン氏は米国人の死者が20万人に達していると何度も言及した。
だが、結局流行に関する議論は深まらず、トランプ氏の好戦的な姿勢が示されただけだった。トランプ氏はそれがいいことだと考えている。


連邦最高裁を議論
今、連邦議会の議論の中心にあるのは、トランプ氏が亡くなったルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の後継に保守派のエイミー・バレット連邦高裁判事を指名したことだ。
討論会はこの議題から始まったが、トランプ氏がバイデン氏の回答を遮り、ウォレス氏が統制を取ろうと苦慮する中で、細かな議論は混乱の中に消えていった。討論会は最初から秩序が乱れていた。
バイデン氏は議論を医療保険改革へと広げ、バレット氏が後継となれば多数の保守派が6対3でオバマケアを覆し、既往症のある人々への保護も失われるだろうと主張した。また全国的に人工妊娠中絶を合法化した1973年の判例も変更するだろうと予想した。
トランプ氏はフィリバスター(長い演説などによる議事妨害)の中止や最高裁の拡充を求める進歩主義の議員の提案にバイデン氏を関連付けようとして、「なぜその質問に答えないのだ」と迫った。
トランプ氏がバイデン氏をたびたび遮り、司会者と2人の候補者が言い合う状況では、トランプ氏とバイデン氏の本質的な差異は見えにくかった。


「黙っていてくれないか?」
バイデン氏はトランプ氏の煙に巻くような回答や自身の発言に割って入る姿勢に目をむいたり、首を振ったり、含み笑いを浮かべるなどして反応。怒り出すことはなかったが、トランプ氏を軽く見ていることは明らかだった。
討論会が始まって18分経ったところで、トランプ氏の度重なる遮りに「黙っていてくれないか?」と発言。後に税や経済について議論した際には「あなたは米国史上最悪の大統領だ」とも述べ、また「この道化師と一緒では口をはさむことも難しい」とこぼす場面もあった。
人種に関する議論の最後には、ぶっきらぼうに「彼は人種差別主義者だ」と言い切った。


家族の問題
討論会が中盤に差し掛かったところで、トランプは顧問から取り上げるべきだと言われたという話題を切り出した。バイデン氏の次男、ハンター・バイデン氏の話だ。
トランプ氏やその側近は、バイデン氏やその息子がウクライナで汚職に関与したと根拠のない主張を繰り返している。
共和党員はこの件が今年の選挙運動のどこかの時点で話題をさらうだろうと信じていた。だが、世界的なコロナウイルスの流行や都市での暴力、経済減速に見舞われる中、この話題は注目を浴びていない。
ただ民主党員の中にも、この話題が出てきたらバイデン氏がどう対応するのか注目する者がいる。さらには繊細な家族の問題に冷静さを失うのではないかとの懸念の声もあった。
それでもバイデン氏は準備ができていた様子で、ウクライナのエネルギー企業で役員を務めていた次男について、違法行為に関与していたとするトランプ氏の主張に対し、カメラをまっすぐ見つめて否定した。
「ここは私の家族や彼(トランプ氏)の家族に関するものではなく、米国民の家族に関する討論会だ」「彼は国民が必要とすることについて話したがらない」(バイデン氏)
しかしトランプ氏はあきらめず、再びこの話題を持ち出した。バイデン氏がトランプ氏を批判しようと米国の戦没者を「負け犬」などと呼んだ報道に触れた際、同氏は亡くなった長男のボー・バイデン氏の名を挙げた。ボー氏はイラクでの従軍経験があり、2015年に脳腫瘍で死去した。
このときトランプ氏は軍に関する発言の報道に反論する代わりに、「ボー・バイデンは知らない」と述べて矛先をハンター氏に向けた。
トランプ氏はハンター氏に対して過去の薬物依存の問題などで攻撃した。バイデン氏は再びカメラを見つめて、トランプ氏が遮ろうとするのも構わずこの件について語った。
「私の息子は薬物の問題を抱えていたが、それを乗り越えた。私は彼を誇りに思う」(バイデン氏)
バイデン氏が個人的な部分を垣間見せた瞬間だった。その印象は強烈で、薬物やアルコール依存に悩む家族を抱える数百万人の国民にとっては同氏との間に心のつながりを築くきっかけとなったかもしれない。


CNNもバイデンの息子ハンターに対する言葉を最後に取り上げた。それだけ多くの人の心に響いたのだろう。以上が 偏りの少ない(CNNは中道と言われている)大統領ディベートの報告記事と言える。 


トランプの蛮行はFoxNewsでも庇いきれないレベルだった。司会者のフォックスニュースのクリス・ウォレス氏だって、ムカついて相当ストレスを溜めてただろう。


日本で、Foxバラエティーや、ブライトバードやその他南部の超保守新聞から拾ってきた情報を面白半分に勝つまことしやかにとりあげる記事が出ないことを祈っている。


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