密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

ホイットニー・アーチストの抗議が勝利、Warren Kanders 氏辞任

今日ホイットニービエンナーレに行ってきた。、催涙ガス兵器製造会社を経営しているWarren Kanders氏が同美術館及び同展の云為委員会の副会長をしていることに抗議して8人のアーチストが作品の撤去を求めて受け入れられたと聞いていたが、驚いたことにその作品は未だ展示されていた。その上、、会社としを名指しで催涙ガスによる全世界の紛争鎮圧とその際の市民の苦しみ(子供達を含め)の様子の映像、その後、後遺症を発生するというという報告、彼らの銃弾・手榴弾(じたてのもの)がいかに破壊力を持つかの検証、不発弾が経年劣化しガスを発生し環境被害が発生する様子などを収めた、ビデオアートが上映され、これは何か進展があったな?! 「もしかした辞任したのかなぁ」というとDさんは「ありえないでしょう」と言った。
帰宅して調べてみたら、”ありえない”ーWarren Kanders 氏が辞任していた。


右派のややチープなイメージのNYPostは Kanders氏の美しい奥さんと辞任に際しての弁を載せている。

Warren Kanders and Allison Kanders 
辞任したKanders氏とその妻。現大統領とファーストレディーと同種のカップリング。アメリカの共和党支持の大金持ちはいわゆる”トロフィーワイフ”を欲しがる。欲望に忠実というかなんというか、、、、、。

The Whitney Museum of American Art’s vice chairman resigned Thursday following months of protests over his company’s sale of tear gas.
A group of eight artists recently said they were pulling out of the prestigious 2019 Whitney Biennial exhibition over Warren Kanders’ ownership of Safariland, a company that manufactures tear gas grenades and other weapons, the art website Hyperallergic reported.

ホイットニーミュージアム・オブ・アメリカンアートの副会長は、彼の会社が催涙ガスを販売したことに対する抗議が数か月続いた後、この木曜日に辞任しました。
8人のアーティストのグループは最近、ウォーレン・カンダースが催涙ガス手榴弾やその他の武器を製造する会社であるサファリランドを所有していることを問題視し、8人のアーティストのグループがホイットニー・ビエンナーレ2019展から撤退すると発表したと、アートウェブサイトHyperallergicは報じた。


Last November, more than 100 museum staffers signed a letter demanding that the cultural institution respond to a Hyperallergic report linking Kanders to the tear gas fired Nov. 25 at the US-Mexico border by Border Patrol Agents into a crowd of migrants that included children.
昨年11月、100人以上の博物館職員が、カンダースを11月25日に国境警備隊のエージェントが子供を含む移民に発射した催涙ガスにリンクするハイパーアレルギー報告書への対応を要求する手紙に署名しました。


In December, one of the Biennial artists, Michael Rakowitz, pulled out in protest against Kanders.Last week, four other artists asked the museum to pull their works from the exhibit, which runs until Sept. 22. Then four other artists followed.
12月、ビエンナーレのアーティストの1人であるMichael Rakowitzは、カンダースに対する抗議で撤退し、先週、他の4人のアーティストが美術館に作品を展示物から撤去すように申し入れた。展示は9月22日まで続き、その後、他の4人のアーティストも作品の撤去要請に順じた。


Kanders, 61, cited the protests in his resignation letter obtained by The New York Times, which first reported he was stepping down.
61歳のカンダース氏は、(彼が辞任することを最初に報じた)ニューヨーク・タイムズが入手した彼の辞任状の中でアーチストの抗議に触れていた。


“The targeted campaign of attacks against me and my company that has been waged these past several months has threatened to undermine the important work of the Whitney,” Kanders wrote. “I joined this board to help the museum prosper. I do not wish to play a role, however inadvertent, in its demise.”
「この数か月間、私と私の会社に対する非難に標的を絞った攻撃は、ホイットニーの重要な仕事を損なう恐れがありました」とカンダースは書いている。 「私はこの運営委員会に参加して、美術館の繁栄を支援しました。たとえ意図した物でなかったとしても、美術館の繁栄を終わらせる役割を果たしたいとは思いません。」


Kanders joined the Whitney’s board in 2006 and has been on the executive committee for seven years. Over the years, he has donated more than $10 million to the museum, according to The Times.
カンダースは2006年にホイットニーの取締役会に加わり、7年間執行委員会に参加してきた。タイムズ紙によると、長年にわたって彼は美術館に1000万ドル以上の寄付してきた。


In his letter, he wrote: “The politicized and oftentimes toxic environment in which we find ourselves across all spheres of public discourse, including the art community, puts the work of this board in great jeopardy.”
“I hope you assume the responsibility that your position bestows upon you,” he wrote. “And find the leadership to maintain the integrity of this museum.”
彼の手紙の中で、彼は次のように書いています。「 私たちはアートコミュニティを含むすべての公共の言説の領域に政治的でしばしば毒性のある環境を見出します。そしてそうしたことが、美術館の運営委員会の仕事を大きな危険にさらします。」「私は、あなた方が、あなた方自身の立場に授与する責任を負うことを願っています」と彼は書いた。 「そしてこの博物館の完全性を維持するためのリーダーシップを見つけてください。」


これは超訳すると、「自分抜きで今までの環境を維持できるものならやってみろ!!
現実のわかっていない馬鹿者ども!!」というところか。


確かに、美術館への寄付が、大幅に減れば、従業員の状況にも影響が出るし、アーチストへのサポート体制も、困難になる。只でさへ、ホイットニーの入場料は高い。高いと言われたMoMAより高い(MoMAはこのチケットでクイーンズにあるPS1〜コンテンポラリーアート専門の展示場〜にも入れるし)。
ワタクシ個人としては、美術館のコストパフォーマンスは低いと判断している。


しかし今回のアーチスト及び抗議者の行動は、多くのアメリカ人に他国で、また自分たちの国境で行われている無辜の市民に対する暴力・武力攻撃、後遺症環境汚染を伴う兵器を供給し利益を得ている企業の存在に目を向け、その賛否を問う契機になった。アーチスト達のスタンスは人を苦しめたお金で支援を受けたくないというのものだ。ナチスに絵を売り、祖国のレジスタンスの送金したピカソなら、そうは言わないだろうが、、、。


さてやれるものならやつてみろ!!というカンダー氏の言葉を、今後ホイットニーがどう対処するか? アーチストの抗議は成功したが、本当の勝利はこれから目指さねばならない。


ところで、ビエンナーレにはこのほかにも多くの政治的主題のアートが展示されていた。
銃社会への警告、催涙ガスへの抗議、それから、黒人への暴力にNFLプロフットボールチームの選手たちがグランドに膝をついて祈り、トランプが大いに攻撃した(元を正せばトランプの黒人への暴力擁護発言)によるものだが、これを主題にしたアニメーションがエレベーター前の壁の大きく映し出されていた。
これら展覧会の作品はiphonで撮影したのですが、これをPCと共有する方法が上手くいかない、、、格闘中です。成功したら、撮影した作品もアップしたいと思ってます。


米国の人種差別や黒人への警察暴力に抗議するプロスポーツ選手たちと、ドナルド・トランプ米大統領が対立している。黒人への暴力に抗議して試合開始前の国歌演奏であえて地面に膝をつくプロフットボールリーグNFL選手たちを、トランプ大統領が「くびにしろ」とツイート。これに反発して24日の各地の試合では、多くの選手が国歌演奏中に膝をついてあらためて抗議の姿勢を示した。プロバスケットボールNBAの優勝チームも、NFL選手への支持表明を機に、予定されていたホワイトハウス表敬訪問が取りやめになった。
NFLでは昨年夏、コリン・キャパニック選手が警察暴力に抗議して国歌演奏時の起立を拒否し、膝をついたのを機に、複数の選手がこれに同調した。24日はそれ以来、最も大勢の選手がこれに賛同した。


トランプ氏は22日、キャパニック選手たちの行為を念頭に、支持者集会で「我々の国旗に不敬な態度をとる奴に、NFLチームのオーナーが『あのクソ野郎をすぐにグラウンドからつまみだせ。出てけ。クビだ』と言ったら最高じゃないか」と発言し、声援を浴びた(訳注・「クソ野郎」と訳した元の発言は、「son of a bitch=直訳・あばずれの息子」という罵倒語)。


こんな大統領、つくづく嫌になるが、この最高権力者に真っ向楯突くアートに、大統領本人・側近また支援者たるトランプな人々(彼らは美術館など行かないだろうが)が大挙して抗議電話やメールを送る、ということは起こっていないようだ。


確かに、あいちトリエンナーレは2日で1400本の抗議電話や、職員名指し攻撃をネットで挙げられたりして、とても、美術館スタッフはとてもきつかったと思うが、抗議は顔の見えない電話、メールであり本当に大勢の人が不快や抗議を示したのかはわからない。一部の変質的な人やバイトの人がやっているということもあり得る。これが1400人が大挙してプラカードを持って抗議に詰めかけたのなら、中止について話し合うきっかけになるが(日本人の民度につても話し合う必要がある)、どうも、怪しい。


いっそ宣言して美術館の電話線を外し、、インフォメーションページへのアクセスのみでメールを受信拒否、どんなことがあっても職員は自分の個人名を伝えないなどの、対抗策も考えて、表現の自由の受け皿を維持したい。


再度いうが、今後のテロ対策の上でも、今回のガソリン缶のファックスの人物は特定し、何らかの処分を下すべきだと思うし、匿名でなんでもやっていいという人々に、自重すべき認識を与える(弁護士大量懲戒請求のように)
それがなされないということは、特定してはまずい筋とつながっている人物による”犯行”
という可能性も含め、メディアも、もっと追いかけていいことだろうと思う。


そして何より、権力者が補助金をチラつかせたり、ネット専従人間を雇って政権批判に目を光らせ、また攻撃メールや煽りメールを出すなどしている、腐った独裁政権を終わらせれば、こういうことは解決を見る。全ての道は選挙の通ず。


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