密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

ウラジミールは甘くない 戦後北方領土交渉大転換


”しどろもどろ”とはまさにこんな状態を表すのだろう。参議院予算委員会、大塚議員の質疑、北方領土はわが国固有の領土、という文言を巡っての総理答弁において安倍総理は
狼狽し”しどろもどろ”のお手本のような答弁に終始した。



きょう2月7日は、1980年代に政府が「北方領土の日」と定めた日だ。内閣府によれば〈1855年のこの日に、日魯通好条約が調印されたことにちなみ、北方領土返還要求運動の全国的な盛り上がりを図るために設定されました〉(ホームページより)という。毎年、この日になると政府が新聞各紙に広報広告を打ち、各地で返還を求める決起集会が行われるなどしている。
 ところが、今年の「北方領土の日」は例年と様子が違うのだ。
 たとえば政府広報。昨年2月7日の新聞各紙の一面には、〈北方領土は日本固有の領土です〉などと書かれた広告が一斉に貼り出されたのだが、今年の朝刊を見てみると、政府広報からその「日本固有の領土」との文言が忽然と姿を消していたのである。
 各地で開かれている集会でも“異変”が起きた。元島民らが参加した北海道根室市での集会からは、例年スローガンとして使ってきた「返せ!北方領土」という文言がなくなり、「平和条約の早期締結を」という表現に変更された。強い要求から、いっきにソフトになったかたちだ。政府を忖度したのは間違いないだろう。


安倍政権といえば、竹島や尖閣諸島の領有権問題ではあれだけ「歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土」と繰り返し、内外で大声をあげまくっている。そのくせ、問題が北方領土、相手がロシアになって、ちょっとプレッシャーをかけられた途端、ここまで露骨に後退してしまうとは……。
 しかし、改めて言っておくが、政府広報から「北方領土は日本固有の領土」という従来の主張が消え、「返せ」という要求も封印させられた理由は、言うまでもなく、安倍政権の対露外交の失態に起因している。
 周知の通り、先月22日に行われた日露首脳会談で、安倍首相は北方領土帰属問題をまったく進展させることができなかった。しかも、これに先立つ1月14日の日露外相会談の後には、ロシアのラブロフ外相から会見で “主権は我々にある”と念押しされた挙げ句、「日本が国内法で『北方領土』と規定していることは受け入れられない」とまで言われるという、完膚なきまでのゼロ回答だった。


だからこそ、安倍政権は「2島返還」の方針からハードルを一気に引き下げ、「平和条約締結」へと目先をシフトさせることで、批判をかわそうとしているのである。
 それは、きょう都内で開かれた北方領土返還要求全国大会での安倍首相の発言からも明らかだろう。安倍首相はこれまでの同集会での挨拶で「北方4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」とぶってきたのだが、今年の挨拶では「北方4島の帰属問題を解決」や「不法占拠」との文言を完全にネグっていたからだ。
 これは、
北方領土問題が微動だにしなかったという外交的失態を、自ら認めたようなものだろう。


とくに、安倍首相自身がこれまで散々吹聴してきた「北方4島は我が国固有の領土」との主張が見る影もなくなったのは注目すべきだ。前述のとおり、先月のロシア側との会談で安倍政権は、完全にロシア側に押され、北方領土の帰属を事実上手放すような結果に終わった。実は、こうした点について、今月6日の参院予算委員会でも、国民民主党の大塚耕平議員が質問をしている。
 

そのなかで、大塚議員から「北方領土は日本の固有の領土だという認識にかわりはないですね」と質された安倍首相は、「あの、えー、われわれが、北方領土はですね、我が国が主権をある島々であるという立場には変わりは、ないわけでありまして」など言ってうやむやに。これに対し、大塚議員は「我が国の固有の領土だという言葉を使ってご答弁いただけませんでしょうか」と再度問い詰めるのだが、安倍首相はやはり「固有の領土」という言葉を明らかに避けようとして、しどろもどろになっていた。


 安倍「あのー、わ、あの、政府の立場としてはですね、えー、北方、えー、その北方領土についてはですね、えー、の、しっ、島々には、我が国の主権、北方領土の島々は、我が国が主権を有する島々であると、いう立場でございます」
 大塚「『固有の領土』という言葉は使えなくなったんでしょうか」
 安倍「これはですね、あのー、これはもう、この国会ではこういう、この答弁を一貫させていただいておりますが、(手元のペーパーを見ながら)北方領土はですね、我が国が主権を有する島々である、この立場、この立場には、変わりが、ないということを申し上げているところでございます」
 
るで壊れたロボットみたいではないか。ようするに、安倍首相の答弁や、政府広報の広告から「固有の領土」という言葉が消えたのは、ロシア側からのプレッシャーに負けた結果なのは誰の目にも明らかだろう。それは、北方領土帰属問題をめぐる進展のなさを表しているだけではない。裏を返せば、安倍首相が盛んに使ってきた「領土」という概念が、いかにフィクショナルなもので、政治のご都合主義的なシロモノに他ならないかを示しているともいえよう。


にもかかわらず、安倍政権はいまだに「領土交渉は進んでいる」との嘘をつき続けているのである。


先月の日露外相会談後、河野太郎外相は「首脳間の合意を受けて、しっかりと前へ進めていこうという手応えを感じた」「明確にすべてのことについて日本側の主張をお伝えできた」などと記者団に説明した。しかし、実際には日本側はロシアとの共同会見をキャンセルし、ラブロフ外相は単独会見で「『第二次大戦の結果、南クリール諸島はロシア領になったことを日本が認めない限り、領土交渉の進展は期待できない』と再度、伝えた。反論は聞いていない」「島の主権をめぐる問題については議論されなかった」と明言している。
 つまり、実際には「南クリール諸島=北方領土はロシア領である」という主張に反論すらせず、「主権をめぐる問題」の議論すらしていなかったのに、安倍政権は「領土問題は進展している」とデマカセを言って、国民を騙しているのだ。その国民についた“嘘”とロシアの顔色を見ねばならない“現実”のしわ寄せが、まさに、安倍首相が「北方領土は日本固有の領土」と言えなくなった理由なのだ。


大手マスコミは、「固有の領土」などの表現が消えた問題を「ロシア側に配慮」などとぼかして伝えているが、安倍首相たちがこれまでいかに私たちを騙してきたかをきちんと報じるべきだ。それができないのならば、もはや政府がいかなる失態を繰り返したとしてもそれが報道されない“報道統制国家”と化してしまうだろう。
(編集部)


戦後全く動かなかった北方領土問題を、自分が解決する、そう息巻いていた安倍総理。その勇姿に期待する人たちも少なくなかっただろう。安倍総理は”全く動かなかった北方領土問題”をロシアに差し出すという解決に導くようだ。


プーチンの後ろには、ロシアの人々の激しい領土返還反対、というより自分たちの領土だと激しい抗議を行う人々がいる。

手榴弾マークの旗!!すごい人の数だ。


この激しさ、真剣さにひき比べ、日本のなんと穏やかなこと。しかもトーンダウン。

安倍総理の、軽率で甘い考え(プーチンと友達になれる)の結果が、ロシアに第二次大戦の結果を受け入れろ、と踏み込まれ、最終的不可逆的解決を受け入れさせられる。
日本国民には、韓国の人々のように国民レベルこれをねじり返せるパワーはないだろう。


そんな中で、北方領土不要論というものもある(当地に先祖のお墓のある人々にとっては経済失態に語られるのは耐え難いだろうが)興味深いので転載します。


北方領土問題を考える場合に大事なことは、四島に経済価値などないという事を忘れないことだ。むしろ、使い道のない僻地に膨大な公共投資などが必要になり。損失のほうが大きい。しいて価値ある使い道があるとすれば、原子力の廃棄物などの処理場であろう。


価値があるのはサハリンであって、下手に四島を返還してもらって永久にサハリンを取り戻す口実を失うのは賢明な取引ではない。


まして二島など根室市にとっては、公共事業で地元の業者が潤い、観光の種に少しはなるかもしれないが、国家的にはまったく意味がない。


ただ、日露関係の正常化が実現し、そのために、もうこのへんで領土問題は永遠に終わりにしようというのは、ありえない相談ではない。日露のあいだに領土問題がなくなったら東アジアの地政学は大きくかわる。


実は日露戦争のあと日露関係は非常に良くなった。伊藤博文が哈爾浜に出向いて、ロシアと話し合おうとしたとき暗殺されたが、その後も関係改善は進み、第一次世界大戦でも日本はロシアの側にたって参戦した。


しかし、ロシア革命でこの関係改善は無に帰した。


いま、中国の台頭と無法ぶりを目の当たりにして、領土問題を損切りにして日露同盟を成立させるというのも馬鹿げた選択肢でないのかもしれない。ただ、その場合には、二島というのは意味がなく、二島の見返りに経済協力など馬鹿げている。あるとすれば、三島だが。


日露の領土問題については、『領土問題は「世界史」で解ける』(宝島社)で詳しく書いたが以下はその一部だ。


ソ連の中立条約侵犯を四島を返してもらったら許せるのか?


私は、外交で大事なことは、将来の国益のためにどうすべきかであって、日本人の心の傷を癒やすなど自己満足の世界はどうでもよいことだと思います。


それではどう考えるべきですが、まず、北方四島にも北千島にも経済的な価値はほとんどないことを確認する必要があります。漁業はそこそこですが、防衛費や統治にかかる費用を考えれば微少なもので、将来ともに赤字でしょう。


積極的な使い道は、原子力関係も含めた廃棄物の処理場に使うことくらいしか思いつきません。ただ、樺太は資源豊富ですから、これを失ったことは残念なことです。いずれにせよ、経済的価値があるから取り戻したいというのは、少なくとも四島については国益として考えない方が良いと思います。


ただし、ローカルな利害からすれば、四島であれ、二島であれ、返還されれば公共事業の特需が出ます。その意味では北海道経済にとっては、短期的には大歓迎でしょう。とくに、根室地方にとっては、沖合に浮かぶ歯舞と色丹の返還は、手っ取り早く地元の建設業者を潤しますし、観光でも、根室港が基地になるでしょうから、しばらくはおいしい話です。地元で二島返還論にそこそこ人気があるのは、もっともな話なのです。しかし、領土問題を論じるのに、地元の一時的な特需への期待で判断するのは論外です。


それでは、外交的な正義と言うことでは、日ソ中立条約を侵犯して宣戦布告したのはソ連なのですから、それに報酬を与えることはなんとしても理不尽ですし、永遠に許すべきではありません。


その意味では、樺太も北千島も四島も同じことなのです。樺太も歯舞・色丹もロシアに取られるべきものでないことではみんな同じことです。その意味では、私は、この問題を「解決」するのが良いかどうか疑問だと思っています。


もちろん、サンフランシスコ講和条約で少なくとも樺太や北千島は放棄してますから、これを取り戻すためには、講和条約に署名した国と条約改定交渉をする必要がありますがそれは可能だと思います。むしろ、決着をつけずに、何世紀でも待っておれば、チャンスはいつか来る可能性はあるのですから、ロシアとは話がつかない方がいいのではないかと私は思っています。


以上のような意味で、経済的には樺太はそれなりの価値がありますが、ほかはどうでもいいし、たいした問題ではない。そして、先の戦争でのソ連の非道を許さないのなら、樺太すら譲ってはダメなのです。サンフランシスコ講和条約で放棄したと言っても、ロシア領になることを認めたわけでありません。


しかし、ロシアと友好関係を持つのは、中国の台頭に対処するためにも、必要以上にアメリカに頼らないためにも大きなメリットがあります。


そうであるとしたら、思い切って苦渋の選択をして現実的になるのもひとつの選択です。たとえば、面積で二等分というなら二島+国後+択捉の四分の一なのですが、択捉はロシアに、残りは日本にというのも、足して二で割る解決としては妥当です。あるいは、二島は返してもらって、国後と択捉を共同管理とする方法もあります。


それから、これは、ソ連崩壊後の混乱期にはとくに有効だったはずだったはずの方策で、私は当時から、ある年限以前から現地に住んでいるロシア人には、日本領になっても特別永住権を認めるという宣伝をやったらという提案をしていました。いまでもやればいいと思います。そういうゆさぶりも大事なことです。


太字の意見には大賛成です。改革改革と自分たちの足りない頭と目先の利益で、それなりの理由、また議論で気づいてきた過去の制度や状況をぶち壊し続ける安倍政権は、狡猾なウラジミールにとっては、飛んで火に入る夏の虫だ。


上記記事は中国脅威論を強くあげているが、ワタクシとしては、中国よりロシアの方が怖い。中国の怖さは、国内統治のための粛清である。チベット侵攻も、18世紀にさかのぼるチベットを自国の一部とする考えで、彼らにしてみれば、武力による粛清統治を行ったということだろう。広大な国土と多様な人種を抱える中国は、国をまとめ発展を目指す。
東シナ海問題も日中両国の排他的経済水域内での権利争い、アメリカとのpower gameで、侵略とは言い難い(ベトナム漁民にとっては明らかな脅威だとは思う)。人工島建設も、他国と公共に使う提案をしたりしていて(信じる信じないは色々あるだろうが)昨今の世界第2位の経済大国としての、国際社会への道義的品位も意識しているだろう。


ロシアは、第二次大戦末期の動きを見ても、侵略による領土拡大の性質を持つ。日本が北方領土を明け渡して、タオ米従属から抜け出すためにロシアによる層など、こんな恐ろしいアイデアはない。アメリカは選挙で4年ごとに国のトップが選ばれる。そしてその結果には、民意が強く反映される(時としてその民意は愚かではあるけれど)
ロシアは、公正な選挙が行われない国だ(まあ中国もそうだが)。プーチン・ロシアに近づき過ぎれば、何らかの形で搾取されると、非常に不安を感じる。


ともあれ、戦後の日本の主張を一内閣で大転換させるというのだから、お得意の国民に真を問う、解散総選挙でもして見てはどうか。


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