密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

木村花さんの死とSNS、法改正と言論監視

木村花さんという若い女性の死について、話題になっている。


トランプも一役買っていたリアルティーショーはアメリカでもポピュラーだが、あまり好きではない。アメリカの場合はほとんどシナリオがあるようだしリアルではなくリアリティーを楽しむものだ。


木村花さんという、美貌もプロレスという自分の夢も成功した女性が、若者の恋愛を含む共同生活での葛藤を側で見て、視聴者が自己投影?する番組になぜ出演したのか?それは本人のみぞ知るだが、一体彼女のどんな言動が、そこまで人々の非難を浴びたのか、常になく興味を持ってしまったので、アップされているその部分の動画を見た。
そして一体なぜ非難されたのか、さっぱりわからなかった。


彼に肉体的に暴力を振るったりしたわけでもなく、言葉の暴力と言える表現も見当たらない。積もりに積もった憤懣があることをきっかけに爆発したとも言えるが、こんな程度の爆発で非難を受けるなら、ワタクシを含む90%のアメリカに住む女性は100倍くらい非難を受けそうだ。


彼女は怒ってはいるが、きちんと怒りのポイントを指摘し、彼の英語で言えば”Loser”と呼ばれるだろう、ファイトのない生き様、人に向かい合わない所などが、我慢ならないといった風だ。体育会系の彼女は仲間内でもそういう叱咤の中でお互いを磨く環境にいたことも予想される。しかし、大勢の他人が怒りを感じるようなことは何もしていない。


匿名性をたてに、自分のストレスを気に入らない人間にぶつけて、それが限度を超えてもブレーキが効かない。責任分散で突っ走り、いわゆるSympathy(同情と訳されるが相手の痛みに同調する想像力)が欠如する。


アメリカでは10代の間で深刻な問題となっている。しかし、大人はやらない。子供は世界が狭いからそういうことが起こるとDさんはいう。してみると、日本は大人も世界が狭いということか。


恵まれた資質を持って人生を謳歌していた女性の死、かわいそうだし、とても残念だ。SNSを見なきゃいいのに、と思うが、きっと見ることを止められなくなったり、見ないことも怖いという気持ちになるのかもしれない。そして神経が疲弊する。魂が擦り切れてしまう。


この後、彼女のほぼ彼氏だった男性が槍玉に挙げられるなどという悲劇が起こらないことを祈る。


さて、ハフィントンポストの記事は、彼女の死、ネット社会の集団ヒステリーの分析にとどまらず、これを法規制する動きを取り上げている。

人気リアリティ番組に出演していたプロレスラー木村花さん(22)が、5月23日に亡くなった。木村さんは生前、SNS上で誹謗中傷を受けていた。SNS上の誹謗中傷は、法的責任を追及したいと考えても、匿名の投稿者を裁判で訴えるには高いハードルがある。木村さんの訃報を受け、制度改正を求める署名の動きも始まった。


日本の制度の問題点は。被害を受けたらどうすればーー。SNSの中傷トラブルに詳しい清水陽平弁護士(東京)に尋ねた。



■投稿者の特定、いくつもの「壁」


ネットで誹謗中傷を受けたら、加害者を名誉毀損罪に問うほか、民事訴訟で損害賠償を請求できる。
だがこれらの対応は「書き込みをした本人が特定できていること」が前提だ。
プロバイダ責任制限法」は、書き込みをした発信者の情報開示に関する手続きを定める。


この法律に基づき、以下の2つのステップで加害者を特定する。
STEP1 サイト管理者(Twitter、Facebook、インスタグラム、Googleなど)に対し、IPアドレス(ネットに接続されたコンピューター機器を判別するための数値)の開示や書き込みの削除を請求する。
サイト管理者が任意の開示に応じない場合、サイト管理者に「仮処分」の裁判手続きを行う。裁判所が開示命令を出すと、IPアドレスなどの情報が開示され、加害者が使用したプロバイダを特定できる。
※プロバイダの例・・・ソフトバンク、NTTドコモ、au、NTTコミュニケーションズなど
STEP2 プロバイダに対して、契約者(書き込んだ本人)の情報開示を請求する。任意の開示請求に応じなければ、開示を求める裁判手続きをする。
問題は、「サイト管理者やプロバイダが任意の開示に応じることが極めて稀」(清水弁護士)という点だ。


「主な理由は、権利の侵害が明白と判断できない、ということ。また、発信者から『通信の秘密を侵害された』と告訴されるリスクがあることも、任意開示を阻む原因になっています」


清水弁護士は、この情報開示の手続きが「被害者にとって極めて高いハードルになっている」と指摘する。
「情報開示には事実上、2回の裁判手続きが必要になります。本来の目的である加害者の責任を追及する裁判を始めるまで、平均して8カ月近くかかります。一連の手続きに要する裁判費用の負担も大きい。手続きを経ても必ず特定できるという保証はない。そのためほとんどの被害者が泣き寝入りしているのが現状です」


このほか、SNSの普及によってIPアドレスが枯渇しているため、サイト側から開示される情報だけでは通信の特定ができず、IPアドレスなどの開示を受けても加害者を特定できない問題も生じているという。



■アメリカでは匿名訴訟も可能


清水弁護士によると、米国では加害者を特定しないまま裁判所に提訴する「匿名訴訟」が可能。この訴訟の中で、証拠開示手続である「ディスカバリー」を用いてサイト側に情報開示を命じさせることで、投稿者につながる情報を取得できる。米国の弁護士を雇うことができれば、日本人でもこの制度を用いることは可能という。一つの裁判手続きで完結できるメリットがある反面、日本では民事訴訟法の改正が必要になるため「現実的に実現は困難」(清水弁護士)という。



■任意の開示が進むかが鍵


被害者が泣き寝入りを強いられる現状が続く限り、他人の人格を攻撃する匿名の投稿はなくならない。制度の課題をどう乗り越えるべきか?
清水弁護士は「任意の開示が促されれば、加害者の負担を大幅に軽減できる」と強調する。
具体的には、「サイト管理者やプロバイダの内部で、『権利侵害が明白と判断するための検討をした証拠があるなど、一定の要件を満たせば罪に問われない』ことを制度に位置付ける、というのも一つの方法です」と提案する。このほか、清水弁護士は「携帯電話の番号が分かれば、加害者の特定が今よりも容易になる」として、開示請求の対象に電話番号を含めることも求めている。


■被害を受けたら?


ネット上で名誉を傷つけられるような書き込みをされたら、どうしたらいいのか?
清水弁護士は、投稿者を特定し、法的措置を取るためには、「投稿のURLと投稿内容を証拠として残すことが必要」という。これらの証拠が残っていれば、アカウントや投稿が削除されても開示請求が可能という。
清水弁護士によると、「投稿をPDFで保存することが最も望ましく、紙に出力しておくのも良い。スクリーンショットも一つの方法だが、URLのリンクが表示されず証拠として不十分とされる可能性もあり、注意が必要です」という。


開示請求は無期限にできるわけではない。「例えば、Twitterのログはアカウントが削除されてから1カ月で削除されます。そのため、1カ月以内にTwitterに開示請求の仮処分(裁判)を起こすことが必須です」(清水弁護士)


■ネット署名、国の研究会の動きも


木村花さんの訃報を受け、誹謗中傷の根絶を目指すネットの署名活動も始まっている。


・情報開示の手続きを簡略化することを盛り込んだ法改正


・削除要請に応じないプロバイダを罰する法律の制定


などを求めるキャンペーンで、賛同者は5月26日10:00時点で5700人を超えた。


毎日新聞などによると、木村さんが亡くなったことを受け、与野党は25日、ネット上で他人を誹謗中傷する行為の規制に向けた検討を始めることで一致した。


SNSの誹謗中傷のトラブルは後を絶たない。総務省が運営する「違法・有害情報相談センター」への相談件数は2019年度は5198件に上り、高止まりの傾向にある。このうち、プライバシー侵害(住所、電話番号など)は4293件、名誉毀損は2380件(重複あり)だった。


問題の深刻化を受け、総務省は今年4月、専門家らでつくる「発信者情報開示の在り方に関する研究会」を発足し、初会合を開催。情報開示の対象の見直しや、開示手続きの円滑化といった対策を協議し、11月をめどに報告書を取りまとめる方針だ。


木村さんが出演していたリアリティ番組「テラスハウス」は、フジテレビとイースト・エンタテインメントが制作している。フジテレビは、ハフポスト日本版の「制作サイドは、出演者(入居者)に対するネット上の誹謗中傷にどのような対応を取っていたのか」などの質問に対し、下記のように回答している。


「木村花さんをはじめ、番組にご出演いただく方々とスタッフの間で定期的に近況を共有するようにしております。中には、SNSであいにく心ないコメントがあったことを非常に残念に思います。なお、ご本人との会話などについては、ご遺族のお気持ちもございますので、これ以上のコメントは差し控えます」


この法改正を求める動きは、リアリティーショー風にいうと『ちょっとまった〜!!』なのだ。人々の怒り、感情に訴える事象、こういうことを利用して、よからにことを常にたくらむのが現政権があることを忘れてはならない。
国民の声に後押しされた、と大義名分を打って、政権に対する言論統制をますます容易にする法案にされかねない。



会員制交流サイト(SNS)で誹謗中傷を受けていた女子プロレスラー木村花さん(22)の死去を巡り、政府は26日、インターネット上に悪意のある投稿をした人の特定を容易にする制度改正の議論を本格化させる方針を示した。現在は訴訟に持ち込まないと情報が開示されないことも多いが、迅速な開示に向けた方策を探り、氏名などに加えて電話番号を開示対象にすることも検討する。
ただ「表現の自由」や「通信の秘密」を損なうとの懸念もある。
高市早苗総務相は26日の閣議後記者会見で、悪意のある投稿を抑止するための制度改正を検討する意向を表明。年内に改正案をまとめる方針だ。(共同)



こういうことは、鉄は熱いうちに打て、の逆。みんなの頭が冷えてから議論されるべきで、また安倍政権下で議論されるべきではない。高市大臣の音頭でついていけば、どうなることか、考えるだに恐ろしい。


ハフィントンポスト記事には、プロバイダーの責任制限法の改正と刑事罰化を求める署名サイトがリンクされている。法律上の文言をいじることで、一般の人には思いもよらない使われ方をされかねない。記事内の清水弁護士がこの法改正のための”有識者会議”に入れるとは限らない。


文言を無理やり捻じ曲げて、都合のいい解釈変更、法改悪がお手の物の安倍政権だ。
#検察法改正に抗議します、で痛い目を見た安倍政権だが、すでに逆手にとって良からぬことを画策する傾向にある。


悪意のある投稿をあやっっている安倍官邸が検討するのだから、もちろん自分たちのサポーターや、根拠のないデマや差別を垂れ流す(安倍氏本人も)元凶の安倍サポ文化人に煽られてフォロー・拡散して、大きな問題、圧力になっている現状問題視するはずもない。。彼らにとって、身分を特定し、電話番号を開示し、罰則を課せるぞ、と脅したいのは、#さよなら安倍総理でツイートする人々かもしれない。


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