密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

ジャワ慰安婦の肖像ーJan Banning

"それは、ユネスコ受け入れないよ。"のなかで、英語での南京虐殺、慰安婦に関するドキュメンタリーが多々あると書いた。今,来年日本での個展のため『Invisble Sight-不可視の現景』と云う一連の作品を制作している。アクリル板に、史実写真をベースにイメージを彫ってゆく。通常はなにが描いてあるか分からないだ、光を通すと像を結ぶように作っている。


その一環で,慰安婦の肖像を創りたくて、調べていて、ネットでインドネシアの慰安婦の人たちの顔写真をみつけた。そのうちの何人か、ドキュメンタリーで体験を語っていた人で、多分写真は,記念館の資料だろうかと予測して,それを元に5点を制作した。


後になって,この写真はオランダの写真家Jan Banning(ヤン・バニング)氏のComfort Womanシリーズだと分かった。実物は,私がネットで見たモノクロの荒い画像とは比べものにならない、微妙な色彩と見事なディテールが、見るものの目をとらえて放さない、苦しく悲しいが、本当に美しい作品だった。ミジンコの拙作ではあるが,現代作家の作品の無断使用は許されない。即座にメールを送り、了承をとった。その際,氏の日本での初めての展覧会が開かれる事を知らせてくれた。残念ながらアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」WAMの企画で行われた本展は10/25日に終了しているが、氏の作品は全て彼のWebで見る事が出来る。ぜひご覧になる事をお勧めする(どうしてもリンクは貼れない,コピペでお願いします)http://www.janbanning.com/gallery/comfort-women/

バニング氏は、蘭領東インド(現インドネシア)出身の両親のもとに生まれたこと、大学で歴史を専攻したことがテーマやその手法に影響を与える。祖父と父が日本軍による強制労働の被害者で、父を含めたオランダ人とインドネシア人の強制労働被害者をとらえた「Traces of War」シリーズなど、社会的状況に抑圧された人たちをテーマにしている。


バニング氏とともに、古くからの友人で、「Traces of War」プロジェクトの調査を担ったことをきかっけに、2007年から日本軍「慰安婦」の調査・聞き取りを開始し2009年には “Schaamte en onschuld: Het verdrongen oorlogsverleden van troostmeisjes in Indonesië”〈恥辱と潔白―インドネシアの「慰安婦」の抑圧された戦争の過去〉を出版した、ジャーナリスト/文化人類学者ヒルデ・ヤンセン/Hilde Janssen
氏も来日されたそうだ。


話はそれるが、最近、難民の写真を元に,イラストを制作し,ネット上にアップして問題になった人がいたが、写真家からの要請で取り下げることになり、彼女は自分の作品なので,取り下げたくないという心情を仰っておられたのを,ツイッターかなにか読んだ。しかし彼女はこの写真家に感謝しなければならない。直接使用でなくても、無断使用,その上写真(作品)の性格をねじ曲げて使用,公共に発表、彼女はプロの漫画家ということで、訴えられたら負けることは目に見えている。そうなれば、懲罰的な意味も含めて賠償金請求もあり得たのだと思う。日本はファインアートの世界でも,簡単に人の作品を使ってしまい,訴訟が起こされるケースが結構ある。かなり有名なアーチストでも不用心にやってしまう。有名だからこそ人目にふれ、オリジナルの写真家、海外のアーチストが訴えをおこす。夫Dさんは写真家でもあるので,結婚したての頃,うるさいほどコピーライティングについて注意をうけた。ネット時代、簡単にイメージソースが手に入り,簡単に使ってしまう。エンブム騒動もそうした背景がいなめない。日本の表現者は,もう少し著作権に対する意識をあげていかなければならないと思う。


ともあれ、バニング氏のカメラがとらえた、インドネシア慰安婦の人たちの顔に刻まれた過去の拭いきれない苦しみと、その証言を、否定論者は直視し,聞くべきだ。


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