密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

Proportional response、交戦規定、冬の兵士

proportional responseと云う言葉がある。バランスのとれた報復、アメリカの大統領に求められる判断能力の一つで、他国の攻撃、テロに対して,それに見合う報復を行う。少なすぎても多すぎてもいけない。もし攻撃をうけも何もしなければ、現在の武力の均衡たよる抑止力のバランスがくずれる。過剰な攻撃を行えば,国際社会の非難にさらされ,人道的にも大きな問題になる。


フランスのオランド首相の反撃は、proportional responseであるかどうか?ただ一部の人は彼の受け取り方、認識がproportional responseを欠いていると感じている。”これは戦争だ”と認識し、発言した事だ。
テロとの戦いであっても、戦争を勃発させる,戦争に誘導する事は避けなければならない。国民にテロの攻撃をもうこれ以上許さない,と云う表明なのかもしれないが、戦争と云う表現は避けるべきだったとおもう。


アメリカのイラク侵攻−戦争は完全に9・11のproportional responseではない。確かにあの時点では。フセインは恐怖政治をしいており、南部で反対派の虐殺を主導し,北部クルド人を化学兵器で10万人以上殺害した。彼はのちに、これは必要な処置だったと語っている。こじつけの理由であれ、オイルマネーのためであれ、フセイン政権を倒した時点で,冷静な戦後処理をしていれば,アメリカはこれほど汚名にまみれる事は無かっただろう。このアメリカの無惨な戦後処理と市民虐殺が、かならずしもISILを生んだとは言い切れないが、イラクの人々の憎しみ,アラブ社会の憎しみを燃え上がらせた事は確かだ。
1971年初頭“戦争に反対するベトナム帰還兵の会(VVAW)が1月31日から2月2日の3日間、ミシガン州デトロイトのハワード・ジョンソンズ・ホテルのホールにて、ベトナムで行われた米軍による戦争犯罪や残虐行為を公の場で証言する“ウィンター・ソルジャー公聴会”が開催された。公聴会には100人を超える帰還兵が参加し、無意味で悲惨な戦争を止め、自分たちの人間性を取り戻したいとの思いから、自分たちが犯し、目撃した行為の数々を生々しく語った。そして、そのすべての証言記録は4月6日から7日にかけて連邦議事録に載せられた。公聴会の模様を克明に記録し、全米へ、そして世界へと伝えるために、企画に賛同した17人の映画人からなる“ウィンターフィルム・コレクティブ”のメンバーにより,映画『ウィンター・ソルジャーベトナム帰還兵の告白』が制作された。この活動の中心は当時帰還をはたした27才のジョンケリー、現在の米国務長官である。


そして、これにならい、『ウィンター・ソルジャー イラク、アフガン帰還兵の会』が組織され、冬の兵士イラク、アフガン帰還兵の証言』が2009年に出版された。

冬の兵士―イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実
冬の兵士―イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実

証言の多くの兵士がファッルージャなどの,悲惨をきわめた、地域に配属され、恐ろしい行為を目撃し,容認あるいは手を染めている。ほぼ全員がPSTDに苦しんでいる。多くの彼らの虐殺行為は、いい加減な情報、勘違い、過剰防衛でおこり、兵士のミスによる結果の組織だった隠蔽。現場での交戦規定は変更に次ぐ変更で有名無実と化していた。良心を麻痺させる事を目的とした兵士教育も行われていた。特に現場指揮官の人間性の劣化が著しい。人種偏見、支配権力陶酔、サディズムの発露。アメリカ政府はこのクラスの軍関係者の精神的適性検査を責任を持つて行うべきである。この本の評価は非常に極端である(アメリカにも盲目態愛国主義者がいる)彼らは,お互いが出会い、罪を公に告白し、謝罪し、悲惨な彼らの心をお互いに共有し,立ち直ろうとしているし、二度と自分たちのような事を,行わない行わせない為に訴え続けている。日本で近い将来に自衛隊が彼らのような状態の陥る可能性が濃厚であるが,そのときこの冬の兵士たちのように、行動できるだろうか?個々は孤立し、社会は自殺者を見殺しにする,そういう危険性はアメリカ社会より日本社会の方が大きいそして、集団自衛権行使により。勢いづく,我が軍司令官に、proportional responseを理解,実行できるのか?を考えると、非常に恐ろしい。


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