密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

今こそ、”いだてん”を見るべし。要所要所に予言?

NHK大河ドラマ”いだてん”前半を見終わった時にこの文章を書いた。
今”いだてん”を見てみる。五輪ってなんだ? - 密接な関係にある他国から
放映期間の2019年1月から12月は、まさかコロナのパンデミックで世界が変わってしまうとは、これほど多くの人が命を落とし、後遺症に苦しむことになろうとは、経済が止まり事業の継続困難に陥る、失業する、学業継続も困難になる事態など誰も想像していなかっただろう。


その頃の心配事は、猛暑の日本、二転三転混乱の果てにできた、冷暖房のない、聖火台を作り忘れた?新国立競技場。猛暑対策にかこつけて、貴重な銀杏並木を切り倒し、打ち水だ変な傘だと珍奇なアイデアで迷走する東京都。競技場デザイン変更、エンブレム盗作でのデザイン変更など、不手際で税金をじゃんじゃん使うJOC。今にして思えば、その程度?の心配事だった。


それでもオリンピックの開催をみんな期待していた、その時に、宮藤官九郎は、大河ドラマらしさの全くない、タムリーのオリンピックドラマを作った。
このドラマには、現政権批判と言える、また肥大したオリンピック信仰への批判が隠されているように見える。本筋は、二人のパワフルなKY(嘉納治五郎を入れれば三人)の純粋なオリンピック愛スポーツ愛のエネルギーと、未だアジアの小国日本の国威発揚を願うおじさんたちの物語そこに、市井の底辺を練り歩く人々と、はみ出しものの落語家の視点を行き来する物語。


主人公の金栗四三(中村勘九郎・6代目)は、最後には日本のために、という情熱で走り続ける。時代が違えば、爆弾を抱いて敵の戦車に突っ込むことを志願しそうな、純粋さだ。


それでもその純粋さ、”童児”の光を受け、奮闘する人々は、オリンピックに取り憑かれた人々だ。だがそれは利潤の追求とかした現在のオリンピック信者のそれとは違う。


女性の価値を男性に逆らわず、一歩下がって、意見も言わない慎ましさ。家事育児のために生き、義父母・夫に尽くすのが存在意義の時代(今もそういう認識でいる人もいる)また女子が運動をするという高い壁を突き破る金栗四三と彼の教え子たち。


その後、主人公を田畑政治(阿部サダオ)に移し、515事件・226事件を経てきな臭くなる中、ロス五輪での日本水泳の活躍、現地日系人がどんな思いで喜んだか、ここまではNHKドラマであるだろうけれど、彼らが、自分は日本人だI am Japanes!!と大きく叫ぶと、African American・Polish American・German-American など集まった人々も声高に叫びあうシーンはさすがだった。アメリカは移民の国なのだ。そして優れたものを認め、惜しみなく賞賛を送り人々のいる国でもある。しかし、今このドラマを見る私たちは、第二次大戦下で彼らが収容所に送られることがわかっている。結構マッチョで無神経で勝つことにこだわってきた、田畑政治に自由・平等・楽しさのいぶくが吹き込む。しかし日本は第二次大戦へ。日本軍部を感動させたベルリンオリンピックの不気味。
オリンピック中止を議会で訴える田畑の窮地である衆議院議員河野一郎は、立憲政友会。
要所要所で現在の状況を熊野しているように感じる。時代は戦争に押し流される中、田畑は、『こんな国でオリンピックをやるのは、オリンピックに失礼だ!!』と叫ぶ。これも今の声だ。


そこからどのように、スガさんに感銘を与えた、1964年東京五輪開催に向かう。
多分、あまりにタイムリーな題材でNHKだし、国策ドラマという印象を持たれたこと、らぐびーW重なったこと、マラソン・落語・五輪委員会・家族・ロマンス・海外遠征・災害と戦争と、テンポの速い複雑な切り替え、についてこられない人が出たことなどが不調の原因と言われている。ラグビーWカップの時、大泉洋さん主演のノーサイドゲーム、ドラマとして面白いが、森喜朗の顔がちらついて、、、、。小泉孝太郎主演の0係もやたらオリンピック選手が登場には、父弟の顔がちらついて、、、。ドラマの国策利用は、出演者と視聴者に失礼だ。政治のコントロールが顔出すとすべての無邪気な楽しみ、純粋な感動が壊れてしまう。


ここに放送当時の、史上ワーストの視聴率3.7%屈辱的な視聴率に輝いた『いだてん〜東京オリムピック噺〜』への絶賛レビューがある。

10月13日の日曜日。ラグビーW杯「日本VSスコットランド」戦に勝利し、日本は悲願でもあるベスト8へ進出。日本ラクビー界にとって、歴史的な快挙を成し遂げたこの日は、記念日として永遠に語り継がれるだろう。


しかしその栄光の影で、大河ドラマ『いだてん〜オリムピック噺』(NHK)は、史上ワーストの視聴率3.7%を記録。屈辱的な視聴率にNHK局内にも衝撃が走った。


「ベスト8への期待から『日本VSスコットランド』戦は、39.2%と高視聴率をマーク。裏番組とはいえ、第6話から二桁割れした『いだてん』の視聴率は、ついに10月13日の39話でなんと5%割れ。もはや国民的な番組とは言い難いですね」(ワイドショー関係者)


多くのスタッフが肩を落とす中、誰よりも悔しい思いをしているのは、脚本を手掛けている宮藤官九郎に違いない。


「週刊文春に連載している宮藤自身のコラムでも、第39話『懐かしの満州』が最も描きたかった放送回と打ち明けています。その回がまさかこのような結果に終わるとは、この仕事を引き受けた時には考えもしなかったでしょうね」(前出・ワイドショー関係者)


大河ドラマの多くは、司馬遼太郎をはじめとする歴史作家の原作を元にしているが、この『いだてん』は宮藤官九郎が手掛けたオリジナル脚本。しかも番組スタッフが5年の歳月をかけて、オリンピックについて明治から昭和に至るまで取材を行ってきた。そのスケールといい斬新な映像表現は、大河ドラマ史上前人未踏のプロジェクトといってもいい。


「‘13年に朝ドラ『あまちゃん』が大ヒット。それを受けてNHKサイドと宮藤の間で新しい企画について話し合われ、戦争とオリンピックをテーマに据えた大河ドラマの企画が浮上。そんな中で宮藤は『ドンパチやる戦争ではなく、人間の笑いと情念を描いた話がやりたい』と、提案しています。当時宮藤の頭の中には、今回の大河ドラマを理解する上でも鍵を握る”一冊の本”が浮かんでいました。それが劇作家でもある井上ひさしが書いた戯曲『円生と志ん生』なんです」(放送作家)


井上ひさしの『円生と志ん生』は、昭和20年の夏から昭和22年の春まで、旧満州国南端の街・大連を舞台に古今亭志ん生と三遊亭円生の二人の落語家の実話を下敷きにした物語。


関東軍の慰問に行けば”ご飯も食べ放題、お酒も飲み放題”の誘い文句に踊らされ出かけてはみたものの、昭和20年の夏に日本は敗戦。軍や満州鉄道の関係者が先に帰国する中、満州に取り残された二人を始め民間人は、食うや食わず。まさに命がけの珍道中を描いている。


その中で、この戯曲には悲しい定めを生きる女性たちが度々登場する。


「終盤、シャレの通じない修道女と出会う二人。落語は『貧乏や人の死さえも不幸がシャレになる』と説明するも修道女にはまったく理解されない。反対に『なぜ笑いが必要なのか』と問われた二人は『貧乏を笑いに変えると素敵な貧乏になる』といった”笑いの哲学”を口にする。このあたりが、宮藤の琴線にも触れたのでしょうね。絶望や悲しみや恐怖から目を背けるのではなく、”笑い”に変えて不幸と共に生きる。そんな思いが39話『懐かしの満州』にも息づいています」(前出・放送作家)


では一体、宮藤は二人の命がけの珍道中をどう描いているのか。


「若き日の志ん生(森山未來)と圓生(中村七之助)の前に現れたのが、『いだてん』の主人公・金栗四三(中村勘九郎)のマラソンの弟子・小松勝(仲野太賀)。この小松が志ん生の落語『富久』の走るシーンになんとダメ出し。腹を立てながらも聞き入れた志ん生は、最後の高座で希望を無くしたお客たちを前に臨場感あふれる『富久』を披露して、会場は爆笑に包まれる。見事、絶望を笑いに変えることに成功しています」(制作会社プロデューサー)


しかも只の”いい噺”では終わらない。志ん生の「富久」を聴き興奮した小松は、一枚の絵ハガキをポストに投函すると街を走り出し、挙句にソ連軍の一斉射撃の末に生き絶える。そのシーンは悲劇的だが、笑いの力で走る喜びを取り戻した小松の生の輝きでもあった。


さらに宮藤はこの回で、壮大な伏線も回収している。


「小松が投函した絵ハガキは、帰りを待つ若い妻と子の元へ。それは『いだてん』の冒頭で、志ん生(ビートたけし)に弟子入りする五りん(神木隆之介)が持って現れた絵ハガキと同じもの。これで書き添えられた『志ん生の”富久”は絶品』の謎も解けるという、まるで最終回のような劇的な伏線回収もやってのけています」(前出・制作会社プロデューサー)


演劇界の先達・井上ひさしに挑んだ「神回」が、まさか大河ドラマ史上ワーストになるとは、なんという巡り合わせ。しかしラクビーW杯の裏とはいえ、ツイッターで”志ん生”はトレンド入り。WEBサイト「ザ・テレビジョン」の週間視聴熱ランキングTOP10では2位に輝き、一矢を報いている。


結果が悲劇的であればあるほど、伝説のオーラをまとう「神回」。今からでも、遅くはない。ぜひ観るべし!



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U-NETで見られるようなので、食わず嫌いで見なかった方、すでに見た方は、今の状況で見るとより面白いので、ぜひぜひ見直していただきたい。


やっぱり宮藤官九郎は一筋縄ではいかない。本当に人間が好きなんだな。いろいろ考えさせられる。(最近作、『俺の家の話』も本当に良かった。寿一は天使だった。宮藤氏、は不器用で純粋な人間を描く)


今、コロナ禍で、軋む社会を締め上げて今日腐れる今回の五輪、だからこそ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』を見よう。


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