密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

こちらも三権分立を理解していない。米共和党大会ファイナル

共和党大会最終日、トランプの最初の妻の娘で、トランプの”懐刀?”イボンカ・トランプが壇上に上がった。彼女は、聡明で、チャーミングで、女性をアッピールするやり方も心得た女性で、トランプファンに絶大な人気で君臨しているよう。
本来は、このポジション(大統領候補の前に演説し、その後、大王両候補を紹介する)は候補の、伴侶が行うが、現在の元モデル美人妻は、どうも英語がいまいちらしい。冷徹に適材適所するトランプは、この長女に全幅の信頼を寄せているようだ。カメラは、ステージを見つめる元モデル美人妻の強張った表情もしっかり映す。
トランプは事業の中核を、前の2人の妻との子供たちを要職に配備(現妻の子供は10歳)がっちりファミリービジネスで固めている。


一つ不思議なことに、イボンカは女性の賃金格差に言及、賃金平等、シングルマザーサポートを、父なら実現できると語ったが、この両政策は、小さな政府を標榜する共和党の趣旨ではないし、トランプは一般女性の地位など、たぶん頭の隅にもないだろう。彼女にはある種の真剣さが見て取れた。女性蔑視で有名な父親のイメージ挽回のための方策ではなく、本当にそれを実現したいなら、ヒラリーサイドに行くべきだ。ともあれ、嫣然たる笑顔で最後は髪をさらりと搔き上げて、演説を終えた。


彼女の紹介を受けて登場したトランプは、まるで皇帝のような演出(音楽とかライティング、セットなど)で現れ、この人選挙中に学んだのかな?と思わせる穏やかな余裕と堂々とした態度、が、やはりトンデモトランプはトンデモトランプでしかない。
最初の落ち着きは、聴衆を前に興奮すると、だんだん強権の暴言に変わっていった。
不法移民に殺された少女の名前を挙げ(事実かどうか検証が必要)”Low and Order・法と秩序”のもと犯罪者を処刑する、とぶち上げた。司法は独立機関で大統領といえど介入できない。三権分立がわかっていない人物がここにもいた。
イスラム教徒に対する厳然とした差別、難民受け入れに腐心するオバマ政権を攻撃し、国を危険にさらしていると断じ、テロとの戦いを声高に叫ぶ。会場は、観衆の”USA"コールで埋め尽くされた(トランプコールか、USAコール・観衆ボキャブラリー少なすぎ)


雇用の創出も、見え見えの献金者である石炭産業を考慮して、炭鉱をもっと開発し、そこで雇用を創出すると語ったが、いくら技術が進歩したとはいえ、炭鉱夫が3Kであることに変わりはなく、少なくともアメリカの白人たちはそこでは働かない。そこで働くのは、トランプが締め出したい、南アメリカからの不法就労者たちだ。


子供達の安全を守ると言いながら、ライフル協会をバックにつけ、アメリカは勝利を収める、偉大なアメリカは’必ず勝つと興奮してまくし立てる。いったい誰に勝とうというのか? 


そういえば、党大会は、是非にという有名人、スターが参加、盛り上げるのが常だが、今回はまるでいない。前回一人芝居で沸かせ、のちにディスられ撃沈した、ダーティーハリーことクリント・イーストウッドでさえ不参加。彼らは候補者への党議拘束もないし、次の選挙も関係ないから、正直に振る舞えるのだろう。


演説終盤には、観衆は、”Yes You Will"とコールを始める。やっとセンテンスNおあるコールができました、オバマ大統領の"Yes We Can"の捩りのつもりなのだろうか。しかし彼らは国民主権を放棄している。『あなたならできる、やってくれる』とトランプ崇拝でしかない、こんなコールをする大馬鹿者の集団だ。


最後は同じことの繰り返しで長引く演説の最後、"God Bless America"というのが、まあ習慣というか、必ず言うことだけど、”God Bless、God Bless”と言って Americaを忘れた。”God Bless Me(and my family)"なんだろうね。


さて、私の大好きな、辛口コメディアン・ビル・マーは、この共和党大会の間、終わるとすぐ、30分のショートライブを行ってきた。(ビル・マーについては以下の記事を参照してください。)

トランプの演説が終わると同時にスタートした、リアルタイム ビル・マー、開口一番
『君たちサンダースサポーターでも、ヒラリーに投票するよな!!』会場は大きなリアクションで肯定した。 やはり、トランプの、犯罪者を殺し、難民を殺し、イスラム教徒を殺し、テロリストを殺し、というマッチョで単純な思考で人々を煽る危険を痛烈非難。


イボンカを筆頭にトランプの子供達が優秀だから彼はいい父親と思う人たちに、しかし彼らを育てたのは、別れた妻たちで、彼はサインをしただけだ、と一刀両断。

まあ、それは本当らしい。彼は子供達の教育者でも、擁護者でもなく、雇用者なのだ。
ビルは4日間の共和党大会は、トランプより、ヒラリーの名前のが圧倒的だった、何の政策も訴えもなくただ憎しみに溢れていたと断じた。
今夜は、総括の1時間番組がある。楽しみだ。


ともあれ、思考停止のトランプ崇拝者は、理屈が通じない。日本でも、現状を打破する人物として、トランプを持ち上げる向きもあるが、彼の言っていることは何の検証性もなく、たぶん法律も大して理解していないだろう。トランプはトランプルールで生きてきて、トランプタワーの独裁者、それはそれでいい、しかし、他の人の、人生、命に関わるポジションに絶対についてはいけない人物だ。


来週は民主党大会だ、サンダース、ウォーレン、オバマ、ケリー、そして夫であるビル・クリントンがどんな演説見せるか楽しみだ。


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