デビット・ケイ氏滞在を終える、日本の表現の自由大きな懸念+提言、しかし報道が少なすぎ。
いちどは、安倍政権にキャンセル去れた国連「表現の自由」特別報告者のデビッド・ケーン氏が4月19日、約1週間の日本滞在を終えた。
ケーン氏
日本の現状に置ける憂慮、政府の”抵抗が難しいソフトな圧力”と”放送法の問題”、記者クラブの、所属者擁護、特権、人間関係がらみで、縛られている体質について、廃止すべきとも提言している。
日本の報道界は単に政府が脅しが巧い、アメとムチを使い分ける独裁で志向政権であるという事だけでなく、自らのシステムにも、多いに考えてみるべきであろう。
なにしろ、いくら九州地震のさなかだと言っても、この記事を取り上げているのが、調べた限り、HuffPostのみ。 安倍政権だけではない報道界も地震を隠れ蓑に、デビット・ケイ氏提言を、隠蔽しようとしているのか?という疑念がわく。
この政府にしてこのメディアあり。
幾つかのブロクは取り上げている。こういうブログを封じ込めれば安倍政権怖いもの無し? どさくさ紛れの自由盗聴法の法制化。本当に地震を隠れ蓑に、色々やってくれる。
地震騒ぎが少し治まった途端に、今まで以上の息苦しさを感じる、そんな世の中にまた一歩、追い込まれた。 何としてでも、方向転換をはからなければ、いくら国連が目を光らせ、調査員を送っても、内政干渉までは出来ないのだから。
投票の自由が有るうちに、自分達の力で何とかできるうちに、この流れを止めなくてはならない。
記事全文転載します。
国連「表現の自由」特別報告者「懸念は深まった」記者クラブ廃止など提言【発言詳報】
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/19/freedom-of-expression_n_9728404.html
国連「表現の自由」特別報告者のデビッド・ケーン氏が4月19日、約1週間の日本滞在を終えた。政府やメディア、市民団体関係者やジャーナリストらと面会し、離日を前にニュースリリースを発表した。
【要旨】
・放送法、特定秘密保護法は改正を
・メディア横断組織を設立し政府からの独立性強化を
・構造的に政府機関との癒着を招く記者クラブは廃止すべきだ
・高市早苗総務相は面会を断る
・自民党の憲法改正草案は「表現の自由」の観点から問題
ケーン氏は国連人権理事会から委嘱を受け、世界各国の「表現の自由」を巡る状況を調査して、報告書をまとめている。19日に日本外国特派員協会で会見したケーン氏は、1週間に及ぶ聞き取り調査の結果、日本の報道の自由を巡る懸念は「より深まった」として、放送局に「政治的に公平であること」を定めた放送法第4条や、特定秘密保護法について「改正が必要」と提言した。政府機関とメディアの癒着を招き「ソフトな圧力」の温床になるとして、記者クラブ制度の廃止も求め、政府からの独立性を担保するため、メディア横断的な組織の設立を提唱した。
発言の主な内容は以下の通り。
【冒頭発言】
まず、国連の組織を代表して、日本の地震の被災者にお見舞い申し上げます。私はロサンゼルス出身なので地震の不安には非常に共感いたします。それから外務省の皆様方、招待に感謝いたします。政府の様々な省庁とも会議ができたのは、外務省の協力なくしてはできませんでした。様々な市民団体、弁護士、学術団体との面会を調整してくださった市民団体にもお礼申し上げます。
まず一般論として、日本社会において表現の自由、意見表明の自由は非常に高い。憲法21条で保障されている通り、日本ではあらゆる情報を元にそれを伝える権利があります。とりわけインターネットの自由度の高さ、政府が検閲をしていないことは非常によいことと確認しています。
■多くのジャーナリストが「匿名」を条件に情報提供
一方で報道の自由ですが、その独立性について今週、ジャーナリストから話を聞いて、様々な企業、放送局、新聞社、出版社の方にもお会いしました。会った方は「独立性を保って報道することが難しい。特に政府に対するデリケートな問題について」と聞きました。この懸念については、まず多くのジャーナリストが匿名を要求しました。ジャーナリストの皆さんの立場は確保されているのに「匿名で」と求められるのは異例のことです。
放送の置かれた立場から言うと、権力者からの独立性が法律的にあいまいです。特に放送法4条に「政治的に公平であること」と書かれています。これは法律上の義務と解釈できます。174条を見ると、4条違反があれば、業務停止を命じることができます。停波の可能性も含め、大きな懸念です。放送法そのものが政府の規制を許容しているからです。ジャーナリストからも「過去にこの条項が実施されなかったとしても、罰が下された事実がなかったとしてもやはり脅威だ。強くメディアの報道の自由を行使することができなくなる」との意見でした。放送法は改正し、4条を削除する必要があります。政治的公平性を判断することは非常に大きな議論が必要ですが、政府がコントロールすることであってはなりません。独立性のある第3者機関が管理すべきです。政府が直接、規制を放送に及ぼしてはなりません。
活字メディアでも、やはり同じような圧力を感じていると、面会したジャーナリストが話しました。経営者が非常にあいまいな意思表示をする、つまり「デリケートな記事はそもそも書かないようにしよう」、あるいは「少なくとも政府を厳しい立場においやることはやめよう」ということがあったと話す人がいました。民主主義でメディアへの攻撃が起きるのは普通、緊張感も普通であり、むしろ健全なことです。メディアの皆さんは独立性が求められています。ただしジャーナリズム、メディアの構造そのものが、ジャーナリストに独立性、政府からの反論を許容していません。「記者クラブ」というシステムについても勉強しました。メディア企業の経営幹部が政府高官と会っているという話を何度も聞きました。
皆さんがよりプロフェッショナルな組織となるべく、メディア横断の組織を設立し、結束力を体現する組織をつくることを強く奨励します。プレス会議、委員会、理事会と、プロのメディア集団の横断組織として結束して、政府への独立性を強化するのです。
■特定秘密保護法、公益通報者保護法
特定秘密保護法について、政府関係者と何度も議論しました。法律の解釈は容易ではありませんが、2つのポイントがあります。まずジャーナリストの保護です。安全保障政策や原発政策といった敏感な問題を書いたジャーナリストは、日本の人々に最も関心の高い問題にかかわらず、特定秘密保護法で規制されうるということが問題です。法律を変えるのがいいと思います。
公益通報者保護法について。一般社会に情報を届けようとする報道に内部告発した人を守ろうとする力が、実態として非常に弱いと懸念しています。結局、内部告発した人は、良心から行ったことで罰せられる可能性がまだあります。
【質疑応答】
――メディアの自由について、どこから圧力があるのか。原因はどこか。
比較するような形で答えることはできませんが、圧力というものは大きく分けて2つの要素があります。歴史的に日本のメディア界は記者クラブ制度が存在し、組織的、構造的に特定の会社を中心に構成されています。政府と距離が近い社会的なネットワークに所属することは、抵抗が難しいソフトな圧力になっています。さらに放送法の問題。私がこの視察で学んだことの一つは、放送法が最初にできたとき、1950年代に独立した規制機関があったが廃止された歴史があるということでした。歴史的な背景を見ると、独立した規制機関が存在しないのが一つの原因ではないかと思います。
――日本を国際的に比較すると、どういう立場にあり、今の傾向をどう評価しているのか。広告など、経済的な圧力の話はあったか。
他国の詳細な調査をしていないので比較は差し控えますが、一般的に日本は法的、社会的な表現の自由の基盤は高く、社会で表現の自由への期待は高いです。しかし最近の傾向には非常に懸念があります。法的な制限、政府からの規制、組織の限界といった懸念です。メディアの独立が弱くなっています。
経済的な側面について、いくつかの会議で話題に上りました。どういったデリケートな話題があるのか、どういった記事が難しいのか、政府から間接的な懸念があるのか。私からそのような調査はしていません。
■高市早苗総務相に面会を申し入れたが会えず
――匿名を要求したジャーナリストがいたという。政府の怒りを買うようなテーマに圧力がかかるとは、どういうテーマか。高市早苗総務相とは話したか。
高市氏には、何度も面会を申し入れましたが、国会会期中を理由に会えませんでした。時間は短くとも、何度も機会はありました。我々の結論として、高市氏の発言は、放送法4条について「停波の可能性」という、政府の権利があることを確認したということです。こうした話に特段の驚きはありません。フリーランスのキャスターがテレビで政府要人に厳しいコメントを発したら、有名な番組から降板したという話も聞きました。多くの面会者と話をしましたが、彼らは「具体的にどうしてやめたのかはわからない」と言っていました。報道機関の雇用体系は、同じ場所で非常に長く働くのが普通であり、「同じ時期に一気に降板が重なったのは異例だ。(政府関係者に)厳しい対談をテレビで繰り広げたことも理由だと考えられる」と言っていました。
――今回の訪日で外国メディアへの圧力の話はあったか。外務省から歴史問題についての話はあったか。昨年、ドイツの記者が外務省から非常に強い圧力がかけられたという例があった。
そういったことについて聞く機会はほとんどありませんでした。多くの外国メディアが官庁の記者クラブ制度から排除されており、外国メディアが役割を果たすことが難しくなっているが、経済界では比較的オープンになっているという話はありました。
■自民改憲草案「公の秩序」規定は問題
――自民党の憲法改正草案には、憲法21条について「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」の除外規定を追加しています。日本のメディアと政府の関係を見て、もしこの改憲がなされたら、どういう影響があるでしょう?
これが採択される可能性は非常に低いでしょう。憲法改正のプロセスが非常に複雑だからです。ただ、憲法21条は日本人が誇りを持つべき条文です。これがあることで表現の自由という環境をつくりあげることができた事実を、もっと誇るべきです。このようなすばらしい21条を改正するのは大きな問題になります。日本政府が批准した「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)19条と矛盾が起きます。言論の自由を弱体化する懸念があり「公の秩序」が条文に入ってしまうと、公共の場でデモ活動が制限されるという、強い懸念を感じます。政治的意見表明についても、ICCPR19条では政府が政治的な意見表明を制約することを非常に厳しく制限しています。憲法21条が改正されてしまうと、政府の規制がより強力になってしまうのではないでしょうか。あるべき姿はまったく逆です。多様な意見を許容する社会をつくるべきです。政治的な意見表明や発言の自由は奨励されるべきものです。
――現場からの懸念について、編集幹部やメディア経営者と話をする機会はあったか。
面会したのは現場のジャーナリストだけでなく、編集幹部や出版社、出版社協会、経営者、NHKの経営委員会でない幹部と話す機会がありました。現場との意見とは異なるものがほとんどでしたが、経営者からは少し異なった視点がありました。たとえば高市発言や、NHKの籾井勝人会長が「「政府が『右』と言うものを『左』と言うわけにはいかない」と発言しましたが、メディアの経営幹部や編集幹部から「違和感のようなものがある」と聞きました。また、経営者は記者クラブをなぜオープンにしないのか、理由について聞きましたが、説明はありませんでした。
■「記者クラブ制度は廃止すべきだ」
――放送法改正やジャーナリストの横断組織設立を提言しているが、政府との密着、自粛の一因になっている記者クラブの廃止を提言しないのか。
記者クラブ制度は廃止すべきだと思います。記者クラブはアクセスを制限するツールになっています。記者クラブに参加している人だけの「アクセスジャーナリズム」を促進しており、調査ジャーナリズムを制限しています。結果、メディアの独立を妨害しています。
記者クラブ制度そのものが大手主流メディア、そして政府に都合がいいものです。クラブ加盟社は記者会見ですぐに質問に答えてもらえるし、大臣などのオフレコ懇談は定期的にあると聞いています。よりオープンなディスカッションは限られ、オフレコのメモや議事録は公開されません。メディア内の一部で回覧されていますが、情報へのアクセスを弱体化し、市民の知る権利を制限しています。
■「報道の自由への懸念は強まった」
――改めてなぜ日本を調査したのか。外務省の招待はあったが、調査すべきことがなければ調査は実現しなかったはず。また、調査前と調査後で印象は変わったか。
過去数年で、報道の自由などがテーマとして浮上しました。日本はネットの検閲がほとんどなく、ネットの浸透率を考えると、日本が表現の自由について問題のある国というつもりはありません。むしろネットのモデル国であるとも言えます。世界ではネットの検閲がますます強化されている。日本政府は(ネット上の表現の自由の保障について)主導的な役割を果たして欲しい。プロバイダー協会にも会ったが、検閲や法的制約は懸念しておらず、むしろ技術的なことが懸念だとのことでした。政府のサイバーセキュリティー担当者も「インフラ、そして個人の問題」と言っていました。日本はかなり前向きな施策を実行しています。今後も持続されることを確認してほしい。
報道の自由については、聞きとりの結果、私の懸念はより強くなりました。ジャーナリストと会って、管理、圧力、制約など、法律で明文化されているものは何一つないが、変えるべきことはたくさんあります。放送法を変えるなどのプロセスは簡単ではないが、特定秘密保護法もかなり多くの改善の余地があります。確固たるステップでメディアの独立性をより強化する必要があると考えました。
重要なのは、メディアの変化は日本の市民がやらなければならないことです。表現の自由の状況を調査し、どこに問題があるかを指摘し、提言などをつくるのが私の役割。その国の社会、政府が表現または意見表明する自由を十分に保証される仕組みをつくらないといけません。実際に行動するのは日本政府であり、日本の専門家の役割です。
――メディアとジャーナリストと政府の間に緊張があるのは普通と言ったが、具体的になにが異なるのか。
ジャーナリストの役割は権力監視(ウォッチドッグ)と位置づけられます。政府から聞いたことをそのまま報道すればいいのではなく、議論を含めて記事にするのですが、ここ数年なかなか難しくなっています。政府に議論や疑問を呈することが弱体化しています。報道内容に政府が反論することはよくあることで、合理的です。それに対してさらにメディアが再反論することが必要ですが、力強く言い返す力が弱体化しています。これは直接、日本の市民に関係することです。断層の真上に原発があります。日本の市民を交えて議論すべきことです。健全な緊張感とは、メディアが実態を報道し、議論し、日本の将来について意見を述べることです。震災、原発で電力がどうなるのか、市民は関心があります。その情報を適切に入手し、議論しているのかが重要です。私は日本語が読めないので実際にそれが起きているかは分かりませんが、それがジャーナリズムの神髄だと思うからです。
――日本政府は紛争地を取材する記者は、フリーランスやマスコミを問わず「現地に行くな」と言っており、実際に行動を取ることもある。感想や意見があれば。
フォトジャーナリストがシリアを取材しようとして、パスポートを返納させられたケースを聞きました。日本のジャーナリストが殺された直後と聞いているが、これは非常に問題です。外務省とも話しましたが、そうした制限はジャーナリストに適用されるべきではないと私から指摘しました。日本のジャーナリストが殺された後、日本の市民はシリアの情報を得ようとしており、リスクを背負って取材するジャーナリストがいるなら、日本政府の行動は不適切です。
■「ヘイトスピーチ対策、反差別法の制定を」
――国会でヘイトスピーチ対策法案を審議している。罰則のない理念法だが、ヘイトスピーチを規制する法律は必要か。
国会の法務委員会メンバーと会談しました。市民団体の懸念も聞きました。ますますヘイトスピーチが増えていることが問題になっています。在日コリアンへのヘイトスピーチが高まっています。まず反人種差別法を持つべきです。ヘイトスピーチ以前に人種差別への法律が必要です。雇用、住居など、人種だけでなく、とにかく差別は罰せられると法で制定するべきです。国会の審議では、ヘイトスピーチに価値あるアプローチをしていると思いたい。差別禁止のための教育を導入する必要があります。政府職員がヘイトスピーチの問題を声を大にして教育していくべきです。ヘイトスピーチ規制法は、逆利用されて被差別対象に不利益になる可能性があります。まずは慎重に反差別法を制定し、そのなかにヘイトスピーチ対策も盛り込むが、表現の自由を制約するものでないとする必要があります。
――沖縄では新基地抗議運動への弾圧があります。ヘイトスピーチやヘイトクライムが市民に襲いかかっています。沖縄の地元紙2紙に「つぶしてしまえ」という政治家の発言がありました。沖縄の表現の自由について印象と意見を。
辺野古の抗議活動に参加している人々や、その人々への過剰な圧力について、警察庁、海保とも話しました。これからも沖縄の皆さんや日本政府と対話していきたい。
――特定秘密保護法は、具体的にどこを変えるべきか。日本の情報公開法を調べたか。改正の必要は感じているか。
特定秘密保護法はまず、「秘密」の範囲が非常に広いこと。政府、特に内閣調査室がこの定義を狭めようと具体的に取り組んでいる。評価しますが、まだ秘密の定義が幅広い。透明性の高い形で規制する必要があります。記事の書き方次第で刑事罰をこうむる懸念を排除する必要があります。安全保障は確かに例外になり得るが、記事を書くたびに弁護士のチェックを受けることでもない限り、抑止力が働いてしまうのではないでしょうか。
――匿名でインタビューに答えた記者は、記者側が匿名を希望したのか。また慰安婦問題について言及されているが、具体的には。
ジャーナリストが「匿名でお願いします。匿名でなければこの情報を出しづらい」と言いました。慰安婦問題を含め歴史的問題については、韓国、中国との問題などいろいろあります。我々は特に教科書問題に関心を持っています。現状の理解は、義務教育の中学日本史の教科書で十分な議論がなされていないということ。文部科学省から教科書検定制度について話を聞きました。有意義な会議でしたが、政治からの断熱材はなく、政治的な影響力が及んでいると感じました。検定委員会メンバー選定について政治の影響力が及んでしまいます。慰安婦は恥ずべき歴史だが、事実を適切に反映して教科書をつくるべきで、政治的影響力を及ぼすべきではありません。
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