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放射性廃棄物処分基本方針、プロメテウスの永遠の苦痛を超える

こういう話を聞くと、人類はとんでもないものに手を出してしまったなぁと感じる。
プロメテウスの火と暗喩されるが、神の日を盗んだプロメーテウスをカウカーソス山の山頂に張り付けにさせ、生きながらにして毎日肝臓を鷲についばまれる。不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、のちにヘーラクレースにより解放されるまで拷問が行われていた。その刑期は三万年だったと言われるが、現代の責め苦は10万年だそうだ。

原子力規制委員会は31日、原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、原子炉の制御棒など放射能レベルが比較的高い廃棄物(L1)の処分の基本方針を決定した。地震や火山の影響を受けにくい場所で70メートルより深い地中に埋め、電力会社に300~400年間管理させる。その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する。これで、放射能レベルの高いものから低いものまで放射性廃棄物の処分方針が出そろった。


 原発の廃炉で出る放射性廃棄物は、使用済み核燃料から出る放射能レベルが極めて高い高レベル放射性廃棄物と、L1、原子炉圧力容器の一部などレベルが比較的低い廃棄物(L2)、周辺の配管などレベルが極めて低い廃棄物(L3)に大きく分けられる。


 埋める深さは放射能レベルによって変わる。高レベル放射性廃棄物は地下300メートルより深くに10万年、L2は地下十数メートル、L3は地下数メートルとの処分方針がすでに決まっていたが、L1は議論が続いていた。大手電力会社でつくる電気事業連合会は、国内の原発57基が廃炉になれば、L1だけで約8千トンの廃棄物が出ると試算している。


規制委はL1について、コンクリートなどで覆って70メートルより深い岩盤内に少なくとも10万年間は埋める必要があると結論づけた。電力会社が管理する期間については「数万年とするのは現実的でない」として、300~400年間とした。その後は、国が立ち入りや掘削がされないように対策を取るとした。


 ログイン前の続き処分地はL1~L3とも、電力会社が確保する必要があるが、候補地選びは難航しそうだ。すでに廃炉作業が始まっている日本原子力発電東海原発(茨城県)では、最も放射能レベルの低いL3に限って原発の敷地内に埋めることを今年1月、地元が容認した。しかし、これが受け入れが決まった全国で唯一の例で、L2やL1の受け入れを容認した自治体はない。


 一方、高レベル放射性廃棄物の処分地は、火山や活断層から離れた場所で、運搬しやすいように海岸から20キロ以内が「適性が高い」などとする条件が検討されている。国は年内にも候補となる「科学的有望地」の地図を示す方針だ。(杉本崇)


このサイトは、2007年更新のものだが、すでに原子力規制委員会の最新の決定を否定している。

高レベル放射性廃棄物からは強い放射線が出ていて、原子炉から取出して100年ぐらいでは人間が近づくことはできません。機械で遠隔操作するか、厚い金属容器に入れて運ぶ必要があります。時間がたつにつれ放射能は弱くなりますが、放射能がなくなるのに1億年近くかかる放射性物質も含まれています。

高レベル放射性廃棄物は、非常に長期にわたる管理、または隔離処分をしなければなりません。国際的な原子力機関での話し合いでは、地下に埋め捨てにする「地層処分」が良い方策であるとされています。

その理由として、長期にわたる管理の必要がない、自国内での処分が可能、地下は地表よりも自然現象や人間活動の影響を受けにくく、物質の移動が遅い、といったことが挙げられています。

しかし、各国とも取り組みは困難を極めていて、欧米諸国では1970年代から処分地探しを始めていながら、2006年現在で処分地が正式に決まっているのはアメリカとフィンランドだけです。しかもアメリカは地元自治体の反対を押し切っての決定です。

日本は、原発を始めた当初、高レベル放射性廃棄物の地下埋設を想定していませんでした。しかし1976年に原子力委員会は、技術的な裏づけのないまま、地層処分することにしました。その後、処分技術の研究も行われてはきましたが、この問題が社会に問いかけられることもないまま、2000年の国会で地下300メートルより深くに埋め捨てにする法律が決まりました。原子力発電環境整備機構(NUMO)という組織が、処分地の選定から、処分場の建設、廃棄物の埋設、その後の管理まで行うことになりました。

ひとくちに「地下に埋設」と言っても、地下数百メートルから1000メートルの深さに処分場を建設し、廃棄物を埋め、トンネルをすべて埋め戻すことは、多くの困難を抱える一大事業になります。

処分場の建設は、直径6メートルほどの立坑を掘り、2キロ四方ほどの広さに、総延長100キロから300キロメートルにもおよぶ多数のトンネルを密に掘りめぐらす大工事です。処分場の岩盤を健全に保つために、トンネルは慎重に掘らねばなりません。計画では、建設開始から埋設開始までに10年が予定されています。廃棄物からは強い放射線が出ているので、埋設は無人の遠隔操作で行います。そのうえ重量物なので、1日に埋設できるのは数本がやっとです。4万本のガラス固化体を50年かけて埋める見込みです。これほど大規模にトンネルを埋め戻すのも初めてのことで、トンネルを掘った影響が残らないようにしなければなりません。これにも10年が見込まれています。

これらの技術は、原理的には可能なことの組み合わせとはいえ、技術開発はこれからです。現に、岐阜県瑞浪市の日本原子力研究開発機構の地下研究施設では、立坑の掘削で予想外の湧水があり、建設することすら初期段階で難航しています。

日本は、大地の動きが激しい地域に存在しているため、地震や火山などの活動が盛んです。処分場は地上施設も含め、地震や火山、土地の隆起などによって大きな影響を受けます。地層処分を推進する人たちは、過去数十万年を調べ、活断層や火山の活動がない地域を選べば、将来10万年程度までは地震や火山の影響を避けられると楽観的に考えています。

しかし、大地の動きについての大まかな傾向がわかっているといっても、これまで大地震が起きていない場所でなぜ地震がないのか理由がわかっているわけではありませんし、地震などの活動が、ある場所で、いつ起きるのか、将来を予測することまではできません。したがって、
何万年をもこえる将来にわたって、地震などの影響を絶対に受けないと保証できる場所を、今の時点で選ぶことは不可能です。

現在の技術では、放射性物質の移動に重要な役割を果たす地下水の複雑な流れを正確に把握することもできません。根本的な問題として、現時点で地質条件がよいと思われる場所を選んでも、その状況が将来まで保たれるとは限りません。処分場から離れた場所の地震や火山の活動は、「影響が長続きしないから」と軽視されていますが、処分場を直撃しなくても、処分場周辺の地質や地下水に影響を与える可能性も十分に考えられます。こうした影響がなぜどのように起きるのかも、科学的に明らかになっていない問題なのです。

原子力発電環境整備機構は、処分地を公募で選ぶことにしました。この方法は、地元の意思を尊重しているかのようですが、賛成意見と反対意見の対立という難しい問題をすべて地元に押しつけたともいえます。立候補しただけで多額の交付金が支給され、処分地に決まれば「地域振興」の取り組みがなされます。これが魅力的に映る場合もあるかもしれません。

公募は2002年から始まり、立候補した地域について、地質条件が明らかに不適格な場所を文献調査で除いたあと、ボーリング調査などで地質を実際に調べます。ここで大きな障害が見つからなければ、2010年頃から地下に研究施設をつくり、トンネルを掘って地質や地下水の流れなどを調べ、処分地にできそうな場所を2025年頃に決定するという計画になっています。立候補した地域は、よほど不適格な地質条件でなければ、処分地に選ばれる可能性があります。2006年末まで公募に応じた自治体はありませんが、スケジュールを優先するがために多額の交付金で応募を迫るようなことがあってはなりません。

原発で使い終わった燃料の後始末が困難なことは、原発を利用しはじめるときから指摘されていました。しかし、その方策のあてもないまま、原子力発電は見切り発車で始められたのです。
2000年に地下に埋め捨てる法律を決めるまで、政府や電力会社などは、この大変な問題が未解決であることを、できるだけ話題にしないできました。日本は、処分資金の調達すら始めていなかったのです。

しかし、処分場探しを始めたものの、公募がうまく進まないため、「国民はこの問題を知らない」と嘆きながら、どこか処分地になる場所が出てくるように「国民のご理解」を求めています。

公募に立候補した地域は、ゆくゆくは処分地に決まる可能性が高いのですから、それこそ立候補した地域以外は「
国民はこの問題を知らない」間に、結果的に処分場になる場所が決まってしまうかもしれません。これは他の国々を追い抜くほどの急ペースです。

公募で処分地を選定するので、日本中の「放射能のゴミ」の問題が、立候補しようという地域の人が賛成か反対かという問題にすりかわってしまう恐れが大いにあります。今は、高レベル放射性廃棄物の処分がどれだけ大変か国民がよく知るべきときで、処分場候補地を慌てて決めるべきときではありません。

現在までの政策では「地層処分は安全」と強調し、これだけが唯一の方法として示されています。しかし、まずは判断を一段階戻して、地下深くに埋めるのが本当に安全で安心なのか、もっと監視しやすい方法と比べた議論から始め、国民が納得のいく判断をする機会をつくるべきです。結局、どのような方法を選んでも負担は大きく、危険と不安が残ることは避けられません。
廃棄物の問題は、普通は処分場づくりよりも、廃棄物をいかに減らすかが重要課題なのに、原子力については「廃棄物を減らす**」という議論がすれ違っていることも大きな問題です。

廃棄物を減らすために原発の利用を控えなくてよいのか、そのためにどんな社会を構想するのか、そもそもどれだけのエネルギーや資源を使うことが将来の世代に対して持続的なのか、皆で考え判断していく必要があります。
廃棄物を減らす:原発を推進する立場では、「廃棄物を減らす」とは、放射性物質を別の放射性物質などに変えて、処分すべき量を減らす「分離変換」を指す。この方法は長年研究されているが、高レベル放射性廃棄物に含まれている数百種もの放射性物質を、目的にかなうように分離することが難しく実用化は困難で、本質的には問題は改善されない。この他に、再処理をすれば、ウランとプルトニウムを回収した分だけ高レベル放射性廃棄物が減るという説明もあるが誤り。回収したウランやプルトニウムを再び燃料にして発電すれば、それらが高レベル放射性廃棄物になるのは明らかである。

全文ではないので、より詳しく読みたい方はサイトのアクセスしてください。
2007年時点でこれだけの検証分析がされているのに、福島原発事故を経て、5年の今、
規制委員会が言い出していることは、時間稼ぎの言い古された対処のみで、しかも処分地への安全性も、実はわからないということを、お金でなんとかしたいというふうにしか聞こえない。オリンピックに体裁づくりや、核商売の可能性保持のために、10万年責任を持つなどということを言い出すのは無責任を通り越して犯罪。
どうしたらいいのか、誰も判らない中で、安易に地中投棄をすれば、国中が汚染されるかもしれない。専門家の英知を結集しより良い処理方法を模索とともに、原発0を目指すのが今できる最善ではないかと、素人ながら考える次第です。


プロメテウスの火はプロメテウスの永遠の苦痛と引き換えに、人間に大きな貢献を果たしたけれど、原発は、それほど必要ない、少なくとも日本に住んでいる多くの人たちがそう感じている。


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