密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

『トランプは憎しみを、我々は愛を』米民主党大会の結束

昨日民主党大会が終わった。この党大会は、バーニ支持者がヒラリー支持で一つにまとまるかが注目されたいた。初日のパワーについては書いたが、
米民主党大会、最高の初日 - 密接な関係にある他国から
2日目3日目、そして最終日について書いてみたい。


実は2日目はビックネームはビル・クリントンで、ちょっと気を抜いてみてしまった。彼の1時間に及ぶヒラリーについての、公私にわたる全てを言い尽くし、最終日に、ヒラリーが”ビルあなたはいつも私の最高のプロモートをしてくれる”と感謝を述べた。


さて3日間は、驚きの全ニューヨーク市長・共和党所属現在無所属の実業家マイケル・ブルームバーグ(彼はトランプ以上の大富豪)がトランプのビジネススキルをけちょんけちょんに否定、「自分は民主党でも共和党でもないが、トランプ氏の実業家としての実績を否定するため民主党大会に出席した」と語り、「私たちが必要としているのは、爆弾を投げる大統領ではなく問題を解決できる大統領だ」と力を込めた。


バイデン副大統領も、トランプ氏については「中流層のことを考えていると言いたいようだが、勘弁してくれ。何もかもたわ言だ」「この男は中流層のことなど何一つ分かっていない」と強調。「トランプ氏では危険な状況に陥っている複雑な世界情勢に対応できない」「主要政党の指名候補の中で、我が国の国家安全保障問題への対応についてこれ以上無知で、これ以上準備不足な候補者は米国史上、皆無だった」とこきおろした。


この日のファイナル、オバマ大統領は、「男性であれ女性であれ、私やビル(クリントン元大統領)も含めて、これ以上大統領にふさわしい人物はいなかった」と宣言して大歓声を誘った。演説の中でオバマ大統領は、今回の大統領選についていつものような選挙ではない」と指摘。「単なる党や政策、あるいは左か右かの選択ではない。もっと根本的な、我々の国民性にかかわる選択であり、この偉大なアメリカの自治における実験に我々が忠実であり続けられるかどうかが問われる」と位置付けた。
国務長官時代のクリントン氏の実績を一つひとつ挙げたオバマ大統領は、「読んだり調べたりすることはできても、実際に職務に就くまでは、世界危機への対応がどんなものかは分からない。だがヒラリーはそこにいて、そうした政策決定にかかわってきた」と強調。


ドナルド・トランプ氏については、票稼ぎのために恐怖をかき立てているにすぎないと述べ、「同氏は米国人を見くびっている。我々は弱い国民でも恐ろしい国民でもない。我々の力は、自分だけが秩序を回復できると主張する自称救世主からは生まれない。我々は支配されることを望まないと訴えた。


このオバマ大統領の言葉は、そのまま、今の日本国民にも向けられるべき理念を語っている。バーニーもそうだが、多くの演説者の訴えは、まっすぐ人々の心を揺さぶり、聞いている人々に、人生はまだ終わっていない、未来を作り出せる力を喚起させる、そういう演説が残念ながら日本にはない。一億総中流、寡黙な国民性であった頃は、それで良かったのかもしれないが、弱者排斥が起こり、格差社会が固定化し、貧困にあえぐ人々、低賃金で長時間労働に疲弊する人、植える子供達、そういう人たちを未来の希望に喚起させらてるエネルギーをもっと野党統一候補、援護射撃の野党連に持って欲しい。


話を戻すと、最終日、いよいよヒラリーの演説である。上で白のパンツスーツで登場したヒラリーは、紹介の演説をした彼女の娘チェルシアと抱き合った。
彼女はすでに、堂々たる大統領の風格を備えている。パワフルで勤勉で、舌鋒鋭い論者でもあるヒラリーを苦手とする人も多い。私は彼女のSarcasm(皮肉ー原語では(肉を裂くような)言葉)が大好きだ。冷静で、時に冷徹。決して戦いを、挑戦をやめない。
政治家として、障害のある子どもたち、女性の権利、一定までに出世しかできない”ガラス天井の打破、”女性の人権擁護に邁進してきた。 去年の習近平主席訪問の時も、堂々と、5人の反政府主張をした女子学生の拘束を非難し解放を求めた。


壇上のヒラリーは、「慎みと決意と米国の将来への尽きることのない自信を持って、米大統領候補の指名を受諾する」と宣言した。
クリントン氏に不満を示すバーニー・サンダース上院議員の支持者に向けて、「Your Cause is Our CauseーCauseとは、(結果を生み出す)原因、理由、根拠、正当な理由、主張、主義、…運動である。あなたたちのCauseは私たちのCauseです。」と語りかけた。
政策においても、中低所得者の子弟の学費無償化を、サンダース氏とともに成し遂げたい。と公約した。


トランプに矛先を向け、「『自分だけが是正できる』と言うような人物を信じてはいけない」と強調。「強大な力が私たちを引き裂こうとしている」「信頼と尊敬の絆が揺らいでいる。私たちは、共に立ち上がるために皆が力を合わせるかどうか決断しなければならない」と呼びかけた。 
トランプが発する反エリート的発言は、グローバル化や技術革新から取り残されたと感じているホワイトカラーやブルーカラー層を引き付けている。これに対してヒラリーは、「自分はアメリカンドリームを築き上げてきた中流家庭の出身で、トランプ氏のような「裕福な家庭をバックに巨大ビルディングの中に座して、好き放題をいえる生い立ちではない。彼は一体何がわかっているのか? 彼の多くの暴言がどれだけの人を貶め、時に立場を危険にさらしたのか?私を含め女性たちを、”豚””犬”と罵り、マッケイン氏のような戦中捕虜を侮辱し、有色人種の差別を煽り、イスラム教徒を差別と危険にさらし、この国を築く力である移民を排斥しようとしている。」


過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」などのテロが相次ぐ世界情勢については、「我々が相手にしているのは決意を持った敵であり、その敵を打ち負かさなければならない。人々が不安を感じて安心を求め、確実な指導者を求めているのは明らかだ」と指摘。「トランプ氏の気性で本当に最高司令官になれるのか」と問いかけ、「ツイートに引っかかるような人物を信頼して核兵器を託すことはできない」と力を込めた。
ヒラリーの演説では、トランプが21日に行った指名受諾演説とは対照的に、一般教書演説さながらの具体的な政策を提示。「トランプ氏は自分の政策を具体的に話すことが嫌いな様子、私は自分のアイデアを話すことが大好きだし、、いくらでも話せる、そして話し合うことができる。」とトランプの細かい内容のない思いつき発言とそれをもったいぶっている態度を喩やした。


『トランプ氏は私がアメリカを偉大にする、という。私はそうはできない。偉大なアメリカであるためには私たちすべての力が必要だからだ。私はすべての米国人のための大統領になる」と宣言し、「私たちがやれば、アメリカはかつてなく偉大になる」と述べて演説を締めくくった。


ヒラリーのSarcasmがトランプの表層的場当たり的マッチョを引き裂くだろう大統領ディベートが、楽しみだ。


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