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ウクライナ発「投降ホットライン」

ウクライナ軍が着々と占領地を奪還している中、新規動員された兵士たちの混乱と悲惨な扱いが伝えられている。訓練もなく、戦略も伝えられず、古く錆びついた装備さえも、全員にいき渡らず、防寒着もなく、防弾チョッキもなく、ヘルメットもべこべこの古いもの、という悲鳴に近い不満が上がっているようだ。


そんなロシア兵に、ウクライナ国防相は、「投降ホットライン」を設け、チラシやWebサイトを設けて、逃げ道を用意している。以前からウクライナは小マーシャリングが上手で機能的なのを感心していたが、これは、ロシア兵にとっても命をつなげる道となる素晴らしい方法だ。


<部分動員令の混乱と不満に乗じてウクライナの情報当局がロシア人の命を救うホットラインを開設。兵士を使い捨てにするロシア軍の徴兵を逃れようとする動員兵や動員前のロシア人にとっては、これが生き残る唯一のチャンスか>


ウクライナがロシア兵向けに開設した「投降ホットライン」に、既に数千件の連絡が入っているという。


ウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフは地元メディアのフリーダムTVに対して、ロシア兵に投降を呼びかけるこの「I Want to Live(生きたい)」プログラムは公式な計画の一環で、敵の兵士が安心して投降できるようにするためのものだと説明した。


YouTubeの翻訳によると、ユソフは「これは(降伏を表す)白旗であり、武器を放棄するという意思表示だ」と述べる。「攻撃の意図がないことを示す基本的なジェスチャーであり象徴だ」


投降したいと電話をかけてくるロシア兵の数は「数万人」にのぼるのか、とキャスターが質問すると、ユソフは、ホットラインはまだ設置したばかりだが、利用者は「かなりの数」にのぼると述べた。


ユソフはまた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が部分動員令を発動して、何万人もの予備役を招集したことに加えて、東部ハルキウ州の大部分をウクライナ軍が奪還するのを見て、投降を希望するロシア兵が急増したとも述べた。


徴兵忌避で腕や脚を折る者も
部分動員令は波乱のスタートを切っており、ロシア国民の中には徴兵を逃れるためにわざと腕や脚を折る者もいるという。招集される男性の中には、本来招集されないはずの学生や60代の高齢者も含まれている。


またプーチンやロシア軍の幹部は部分動員令で約30万人を動員する計画だが、既に37万人を超えるロシア市民が国外に脱出したことを示唆する報道もある。


これらのロシア市民は、ジョージアやフィンランド、カザフスタンやモンゴルに逃れている。カザフスタンのマラート・アクメツァノフ内相は10月4日に発表した声明の中で、9月21日の部分動員令以降、20万人を超えるロシア市民がカザフスタンに入国したことを明らかにした。


ユソフはフリーダムTVに対し、「占領軍の一員としてウクライナに配備されている兵士だけではなく、招集を受けたばかりで、まだロシア連邦の領土にいる兵士やその親族、さらには自分も招集されるかもしれないと恐れている人々からも、ホットラインに電話がかかってくる」と述べた。「開設から数週間で、投降希望者からの連絡が2000件以上入っている」


ユソフは、ウクライナはロシアと違って民主主義的な法律とジュネーブ条約に従っていると述べた。投降したロシア兵は戦争捕虜として扱われ(ユソフによれば衣服や食事が保障される)、彼らがどこに抑留されているか国連やその他の人道支援機関に通知されることになる。


「生き延びる唯一のチャンス」
「我々は文明国であり、今では世界中がそれを認めている。『生きたい』プログラムは、命を救うという保障だ。兵士たちを砲弾の餌食にせず、彼らの尊厳を守り、彼らが戦争犯罪に手を染めることがないようにするためのものだ」とユソフは言う。「ロシア軍の司令部は多くの場合、兵士たちを犬死させているが、このプロジェクトはロシア兵の命を救う」


クリミア在住のウクライナ市民も、2014年ロシアに併合されたために招集を受ける可能性がある。


兵士の親族からも連絡が相次ぐ
ロシア外務省は4日、新たにロシアに併合されたウクライナ4州の住民について、1カ月以内に拒否の意思を示さなければ、ロシア国籍を付与すると発表した。


「生きたい」プログラムを担当するウクライナ国防省のビタリー・マトビエンコ報道官は3日、英デイリー・エクスプレス紙に対して、投降ホットラインの利用者には兵士のほかに、「息子や夫に生きていて欲しい」と願う親族も含まれていると語った。


「同プログラムでは、投降した兵士に1日3回の食事や医療を提供し、親族に連絡をする機会も保障している」とマトビエンコは述べた。「ロシア兵がウクライナで生き延びる唯一のチャンスが、投降することだ」


自主投降・捕虜になることを許さないプーチン政権は厳罰を科している。逃亡も厳罰、反戦デモも厳罰。もうぎちぎちに締め上げ無理やり戦わせる。そんな彼らに、まず自主投降であるかないかを公表しない。望めばロシアに帰国しなくていい。ジュネーブ条約に従って衣服や食事が保障される。公正で民主的な裁判が受けられる。家族への連絡を助ける、など無理やり徴兵の人々にとっては渡りに船。飢えと寒さからも解放される。
さすがネット社会だ。兵士も若い世代だから、なんとかネット情報にアクセスするだろう。


安全な投稿の仕方として、まず白旗を掲げ、武器を捨て、無防備な姿勢をとる、というような方法も指南している。捕虜になる人は、無防備になっていきなり攻撃を受けたりすることが恐ろしいのだから、どうすれば安全に捕虜になれるかは知りたいはずだ。こういう点も的を得ている。


情報が伝わらない悲劇の例は、原爆ドームに、米軍が散布した、原爆投下予告ビラがある。なんとも下手な(仕方ないが)毛筆の日本語で、8月6日午前8時にとても強力な爆弾を投下します。それまでに逃げてください。というようなことが書いてある。これを市の上空から巻いたようだ。アメリカにしたら、一応戦争のルールは守った、というのだろう。ただ、この字、それだけで怪しい上に、現人神天皇 八紘一宇教育が浸透している日本・広島の人々は、全く取り合わなかったのは言うまでもない。一方的に告知すればいいというものではない。非戦闘員に告知したというエビデンスが必要だったのかもしれない。


正しい情報を選択でき、判断、行動できることが、非常時において一般市民が、命を守る術だ。かたや為政者にとっては市民が自分で考えること、判断することをさせないことが統率として重要だ。先の大戦は日本の従順な国民性が悲劇を大きくした。現代であれば、ネット情報(フェイクニュース先導もあるが)などにより、自己の選択意志を明確にし、命を守ることができる。この「I Want to Live(生きたい)」プログラムは、何か戦争の様相を変える希望の匂いがする。


ウクライナは、酷い仕打ちを受けても、兄弟国という思いを持って、無理やり戦場に連れてこられたロシア兵に生きるチャンスを提示する。憎しみや復讐心を煽り立てることしない、非常に賢く冷静な態度だ。


あるウクライナ兵は、「ロシア兵には気力がない。日本人はわかると思うが、スピリットは大事だ。」と語っていたが、きっと侍・日本のイメージで勘違いしているのではないか、と思う。自分の命を弾丸に敵陣に変え突っ込んゆくスピリット、無駄死に作戦で、日本はより大きな悲劇を呼び込んだ。ただ、彼がこうも言った「彼らは寒さを守る軍服もない、食べ物もない、犬を食べたり、仲間同士で残虐行為をしている。これで冬がくれば自滅してしまうだろう」 戦争に勝つには、根性やスピリッツより、兵站が重要なのだ。アメリカ・NATOは武器だけでなく多くの装備、また人道的支援を行い続けている。日本は悲惨な戦いで戦死者以上に多くの餓死者を出した。兵站を軽んじスピリット・気力と気合いでなんとかなるという愚かな上層部のために、多くの兵士がなくなったし、大陸で、通常では考えられない残虐行為に駆り立てた。 そういう意味で、今のロシアの兵士たちはかつての日本兵に重なる。ただ彼らは当時の日本兵より、もっと自分の命を中心に考え、判断することができる。できるチャンスを与えられている。殺す前に、殺される前に妄信に囚われているプーチンおよび指導部の支配から逃げだしてほしい。


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