日本男性の夢は、紫の上？　アリスも大好き。

2021/06/15 00:00

久々に日本のアートコレクターの雑誌を見た。画廊さんが少し拙作が紹介された、ということで送ってださった。大変精緻で美しい少女像、美人画であふれていた。
上手だし美しいし、ただ少し寂しい気がした。私も子供の顔を描く、でもそこにSEX・エロスを介在させられない、させたくない。そんな頑なな我が作品でも、少女のモチーフは好かれる。とはいえ、上の二つはダメらしい。

新作ドローイング”境界の子”シリーズです。

ところで、立憲民主党の本多議員が、性行合意年齢引き上げの（なんと１３歳！！合意とかなんとか言える年齢じゃない、ひどく野蛮な国だったんだなぁ日本は！！）の刑法の見直し議論の際、「50歳近いみずからが14歳の子と同意があって性行為に至った場合でも逮捕されることになるのはおかしい」と発言したことが問題視され大騒ぎになったと聞いた。

日本には、紫の上のように、幼少期から面倒を見て自分好みの女性に育てる、という”男性の夢”みたいなことが語られていた時代もあった。女房と畳は新しい方がいい、とか、とにかく若いことに価値を置く男性が、多すぎる。

本多議員発言の問題は、５０歳の男性が、１４歳の少女にSEXの同意を求めることの不当性の問題だ。１４歳に対して５０歳、子供に対して大人、は圧倒的な力関係が存在する。
真剣な愛というなら、彼女（彼）が成熟するまで、安定的性的な自我の確立まで待つのが本当の愛。真剣かどうかではなく、対等ではないというのが問題なのだ。

男性の少女幻想は、少女は汚れていない、つまり、成熟した女性、性行為を経験した女性は汚れている、これもひどく不条理な通念がこの国ではまかり通り性犯罪被害者に対しても、汚れたという認識で見る社会を作っている。その反面、多くの男性が無垢とエロスという相反するものの混在に憧れを持っている。この憧れは、今、アニメ・漫画の世界で百花繚乱のごとくに花開いている。

ところで、数年前、ジョージアだったか、移動中に立ち寄ったレストランで、地元ニュースが、１４歳の少女と、性交渉を持った１６歳の少女が逮捕され、刑務所に入れられる、というニュースを見た。キリスト教的保守層の強い土地で、もちろん同性愛はご法度、加えて。１４歳は性行合意年齢に達しておらず、１６歳の少女の行為は犯罪刑罰対象だとうい。どちらも思春期の少女だろう、一体この州の法律はどうなってんだ！！と無性に腹が立った。少女たちは、ただ大人の思惑で傷つけられた被害者だ。でも法律どうりに裁かれるならこうなる。

１６歳と５０歳の違い、それは１６歳はまだ未成熟な年齢であるということだ。
しかし、一体人間いくつになれば分別がつくというのだろう。特に恋愛とか性欲なんてものは分別の対極にある。それでも、力関係をたての同意形成が行われないようにする目安は必要だろう。あとはケースバイケースで丁寧に審議することが必要だと思う。ジョージアのケースのような馬鹿げたことが行われないように、あくまでこういうことの場合、法は目安であってほしい。

それと男性の誤認誤解によるレイプ、これに日本社会は甘い。こういう人は相手のサインをしっかり認識できるようにするレクチャーが必要だ（いや性教育の一環で学校で教えてもいい）。『いやよいやよも好きのうち〜ということも言われていた昭和』なんてのは男性側の幻想だ。女性が笑顔を見せながら距離を取る、これもNOのサインと心得るべし、決して誘ってはいない。一応関係をマズくしないように、傷つけないように、怒らせないように（これがレイプにつながる）女性は頑張って示しているのだ。

１４歳の同意なんて、金銭関係でも介在しない限り、正しく認識できる大人（しかも性行を目的にしている）はいない。

日本の男性の中には、自分が尊敬されること、頼りにされること、自分のいうことを聞いてくくれうことに、過剰な欲求を持つ人が一定数いる。また性行為と支配欲求を結びつける傾向も強い。自分より知識経験がない相手だと、危機感を感じずに済むし、支配も楽であろう。

これがアニメの女の子やフィギュアであれば、もっと楽だ。
ただ、実際生きた人間を力で押さえつけて支配するなら、アニメの女の子、フィギュアに恋をするのも悪くないと思う。高度な自慰行為の中で過不足なく生きていられるなら、相手を傷つけることもない。それもいい。

とはいえ、そういう内省的に生きるやや臆病な人たちも、パートナーを見つけることもある。その辺が、ドラマ　”The Big Bang Theory〜ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則”の素敵なところだ。天才で、社会性０の不器用な青年たちとチャーミングな難ありガールたちの成長の物語。彼女らと彼ら、双方の価値観とズレがぶつかり合う。
恋から愛が発生する。SEXなんて、愛のほんの一部に過ぎない。

性行為にこだわるのはむしろ中年男性の方なのかもしれない。

近い将来、SEXセラピーが、誰に対しても必要なものとして、社会的地位の保証と相応の報酬で成立すればいいと思っている。