密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

ホームレス追い出し問題は、整理して論じるべき

台東区の職員がホームレスの区民対応の自主避難所への受け入れを拒否したという問題はが波紋を呼んでいる。


1、緊急時に杓子定規の対応に終始する公務員の対応の問題。(311の時、国内法で容認されていない(国際的には常識)のヘリからの風邪薬などを含む物質投下を日本政府が拒否、運ばれたお弁当を食料が必要な被災者の目の前で捨てたということも相次いだ、今回も断水状態の地域に運ばれた水を、命令系統がどうのこうので破棄したということも起こった(2ページ目)避難所でホームレスを追い返す 台東区職員のルンルン生活|日刊ゲンダイDIGITAL


2、税金を払っていない人間が公共施設を利用すべきではない、というリバタリアンな風潮


3ホームレスは臭い・怖い という”差別”


1はあまりに愚かなお役所の縦割り社会、責任を取りたくない、あとで責任を追及されたくないという思いから、マニュアルにないことは絶対にしない(結果そうした対応が大問題になるわけだが)末端の公務員(官僚は忖度で自主的に違法な行為まで行ってしまっているが)。”自分の頭で考え判断する”というひと頃文科省が目指した教育を現政権が率先して潰し、上からの命令に無条件に従う人間を作り出す、この教育の問題、人事締め付けの問題、が大きく関わっている。 


2安倍政権の被災自己責任論、弱者切り捨ての風潮の最たるものだが、これでは何のために税金を納めているのかわからない。各大臣のゴールデンウィーク恒例の大名行列外遊や
膨らむばかりの桜を見る会予算と不適切な招待客、利権。隠蔽で使われる億単位の金、本来の意味(建前)を失って、ただ配られる政党助成金、国防という名の対米従属費用と兵器の爆買い、こういうものには、目をつぶり、災害におけるライフラインを納税で測る、何とけち臭く愚かなことを考えるのだろう。政府の自己責任論は、自分たちの”国”=”権力者とその周辺”のために使うのが税金の在り方だという思い込ませの方便である。


3これが、日頃リバタリアン的な考えを持たず、また特に差別的でもない人々を巻き込んで議論される原因であろうと思う。
リテラは「ホームレスの人がいると衛生や防犯が心配」などという剥き出しの差別心を公の場で発露することになんの躊躇もない人間がこんなにたくさんいるとは、近代民主主義国家どころか差別大国としか言いようがない。と記しているが、これを一括りに”差別”としてで論じてしまっていいとは思えないのだ。多くの人が、長く入浴をしないホームレスの悪臭を経験的に認識している(最近は公園の水道等を利用して身ぎれいにしているホームレスの人たちも増えていると聞くが)だから、同一空間で過ごすことの苦痛を容易に想像でき、”無理だ〜!!”となるのは理解できる。しかも15号の時のように蒸し暑い中、長期間にわたる同宿は厳しいとも思うはずだ。だからと言って多くの人は、命の危険な状態に、叩き出していいなどとは思っていないだろ。見ず知らずの皮膚病の人に手ずから薬をぬれる人もいるだろう。ゴム手袋をすれば(その方が賢明だ)もっとその人数は増えるだろう。自分の生理と理念と愛のせめぎ合いだ。単純に”差別”と呼ぶこととは少し違うような気がする。また問題解決の方法が人々の人道的配慮の我慢に頼るべきものだろうか?これも違う気がする。


ホームレス怖い、これは臭い問題より偏見に基づくものだろう。一般にホームレスの人たちは攻撃性の低い印象があり、犠牲者になりやすい人たちでもある。逆に、同じ場所で
ストレスの溜まった人たちに怒りのはけ口にされるという危険もある。ホームレスにとっては怖いのは自分たちの方だということになる。


また女性にとっては、ホームレスに限らず見ず知らずの男性と寝食を共にする環境は”怖い”ことだろう。見知らぬ人は怖い、これは当然の自己防衛本能であるが、差別偏見の種子でもある。ホームレス支援をいている人たちは接しているから彼らが怖くないことを知ることができる。


この2つの問題は、これも市民の側の受け取り方、キャパセティーの問題を責める前にに、災害大国でありながら、避難生活に対する日本政府の無策ぶりを国民がもっと認識し、対応を要求するべきだろう。
弁護士の大前治氏は「現代ビジネス」で、日本の避難所の生活環境が、海外の避難所にくらべて、かなり劣悪であることを指摘している。


〈日本と同じ地震国であるイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導する。2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、約63,000人が家を失った。これに対し、初動48時間以内に6人用のテント約3000張(18,000人分)が設置され、最終的には同テント約6000張(36,000人分)が行きわたった。
このテントは約10畳の広さで、電化されてエアコン付きである。各地にテント村が形成され、バス・トイレのコンテナも設置される。


ただし、テントに避難したのは約28,000人であり、それより多い約34,000人がホテルでの避難を指示された。もちろん公費による宿泊である。

これはイタリアだけが特別被災者にやさしいというわけではなく、日本の避難所が国際基準以下、難民キャンプ以下なのだという。


災害や紛争時の避難所について国際赤十字が提唱する最低基準(スフィア基準)は、次のように定めている。
・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること



これがきちんと守られればホームレス受け入れ問題も綺麗に解決する。 



これは貧困地域や紛争地域にも適用される最低基準である。経済力の豊かな日本で、この基準を遵守できないとは思われないが、実際には程遠い。〉(「現代ビジネス」2018年7月10日)



災害大国でありながら政府の国民への無関心、大切な税金の使い道は国民のためではなく国とためという、大義名分を掲げ、その実自分たち”上級国民”で好きに使えるお金だと認識し、再分配どころか、できるだけ分配せずに、下々には我慢を強いる。バカな下々で内輪揉めさせておけばいいと、巧妙に火種をネット状に投入する、そんな政権の思惑通り、弱いものへの攻撃で溜飲を下げ、自己責任・非常時にわがままは言うなとお互いに粛清し合う善良な日本国民。こちらの方が”生理と理念と愛のせめぎ合い差別”よりうんと問題視されなくてはならない。


そして、もう一つの問題は、マスコミの取り上げ方だ。
BBCの記事は、分析的で、冷静だ。

大型で強い台風19号「ハギビス」が日本を通過中、東京都台東区の避難所がホームレスの被災者2人の受け入れを拒否していたことが明らかになった。この件について安倍晋三首相は15日朝、「各避難所は避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい」と述べた。

台風19号は12日から13日にかけて日本列島を縦断した。NHKによると、15日午後6時までに67人の死亡が確認されている。12日夜には、台東区の避難所が住所不定の男性2人に対し、受け入れを拒否したという。この件は日本国内で大きな議論を呼んでいるが、全員がホームレスの被災者に同情的ではないようだ。


避難所で起きたこと
台風19号が接近中の12日朝、住所不定の男性(64歳)が避難所として開放されていた台東区内の小学校へ向かった。
台東区には山谷という歴史的に労働者の多い地域がある。労働者の多くはホームレスだ。朝日新聞が取材した同区の職員によると、この男性は避難所に到着した際、住所と名前を書くよう求められた。住所がないと男性が伝えると、「区民対象です」と受け入れを断られたという。男性は、「『北海道に住所がある』と説明したところ、『都民のための避難所です』と断られた」と話している。


この男性はこの晩、建物の軒下でビニール傘を広げて過ごしたという。
「風が強く雨も降っていた。受け入れてもらいたかった」
またこの日の午後には、別のホームレスの男性も避難所に受け入れを断られた。



同情的ではない意見も
受け入れ拒否のニュースはソーシャルメディアで広がり、避難所の決定に多くの人が怒りの声を上げた。
あるツイッターユーザーは、「これが、東京でオリンピックをする国なのでしょうか?」と疑問を投げかけ、外国人から最低の国だと思われるだろうとツイートした。 また、山谷で炊き出しなどを行っている山谷労働者福祉会館は、12日夜に急きょ、避難所として施設を開放した。


一方、ホームレスの人たちに同情的ではない意見もあり、「くさくて」「精神疾患のある」ホームレスの人たちには別の避難所を用意するべきだという声もあがった。
「精神疾患のある」ホームレス、これは偏見と言っていい。こう言う印象を持っている人は実体験に基づかない想像の域ように思う。ホームレスへの偏見と、精神疾患への偏見。
”別の避難所を用意するべきだ”は選択の自由の幅を広げる上で検討の余地がある。女性専用、乳幼児を持つ家庭、介護の老人を抱える家庭、施設内でもエリア分けする方がトラブルにならないことがある。ただしあくまで自主性を尊重し、周囲からの強制的な色分けは絶対すべきではない。政府がスフィア基準が守ればいいだけだが。


他にも、「権利を主張するなら義務は果たして」、「隣ですっごい異臭する人と寝れるのかな」などのツイートもあった。


安倍首相は15日午前の参議院予算委員会でこの件について質問を受け、「避難所は、災害発生後に被災者の生命身体などを保護するために、被災者が一時的に生活を送るために、設置されたものであり、各避難所では避難したすべての被災者を適切に受け入れることが望ましい。関係自治体に事実関係を確認し、適切に対応していく」と述べた。


台東区は、今後、手続きを見直し、住所不定者をどう援助できるかを検討するとしている。


日本にホームレスの人はどれくらいいるのか
今年1月の厚生労働省調査によると、日本全国には現在、住所不定者が4555人いる。うち4253人が男性、171人が女性と判明している。全体では、前年度から8.5%(422人)少ないという。
都道府県別に見ると、最も多いのが東京都の1126人。これに大阪府(1064人)、神奈川県(899人)が続く。
また、同じ時期に行われた東京都の調査では、都内で最もホームレスの人が多いのは新宿区の117人だった。これは前年度に比べ7人少ない。今回の件があった台東区は都内で2番目に住所不定者が多いが、前年度より69人少ない61人だった。


<分析>目に見えるリバタリアンな風潮 ――加藤祐子、BBCニュース(東京)
東京都が今年1月の調査で数えたホームレスの人数は1126人で、そのほとんどは公園や道路や河川沿いに生活しているという。その他の都民と日常的に接触する機会はあまりないかもしれないが、台風19号によって、誰もがその存在を意識することになった。
豪雨と強風に東京がさらされた12日の夜、台東区の避難所がホームレスの人を受け入れなかったという情報が、ツイッターなどで広まった。
とんでもないことだと、いきりたつ人が大勢いた。その一方で、避難所内の衛生面を心配する人たちがいた。ホームレスの人の精神状態が気になる人たちもいた。
ホームレスの人と避難所で一緒に過ごすのは、ただひたすら怖いという人たちもいた。


ツイッターなどソーシャルメディアでは、近年の日本の世論で目を引くようになったリバタリアン主義の風潮、特に自助努力を重視する風潮が今回もあらわになった。ホームレスは税金を払わないから、避難所など行政が用意する公的支援の恩恵を受ける資格がないという意見だ。
これにはツイッターでも大勢が反発した。まっとうな人としての思いやりはもちろんのこと、実際的にも。ホームレスの人も、何かを買えば消費税を払っているのだからと。
Presentational grey line
(英語記事 Homeless men denied shelter in Japanese typhoon)



親愛なる日刊ゲンダイの記事は、扇情的と言っていい。

東京・台東区が台風19号の被害を避けるために区内の避難所を訪れたホームレスを追い返した問題の波紋が広がっている。この問題は、15日の参院予算委でも取り上げられ、安倍首相は「各避難所では、避難したすべての被災者を適切に受け入れることが望ましい」と答弁した。


 コトの経緯は、ざっとこんな流れだ。区は台風19号被害に備え、11日に区内4カ所に区民を対象にした自主避難所を開設。翌12日には外国人観光客らを対象にした避難所1カ所を設けた。区の広報担当者によると、ホームレスが訪れたのは区民対象の避難所で、氏名や住所などを記す避難者カードの記入を求め、区民ではないとの理由で受け入れを断ったという。


 激しい暴風雨を避けるために訪れた建物に入ることすら許されなかったホームレスは、絶望感に包まれたに違いない。


 台東区はHPで、「すべての人が尊重される社会を目指して」などと人権重視を掲げているが、大ウソだったわけだ。区は「対応が不十分だった。今後、検討組織を立ち上げて対策を考えたい」(広報)と言うが、わざわざ検討組織をつくって考えることなのか。


富裕層と貧困層の格差が広がる中、誰もがホームレスになりたくてなったわけじゃない。一部の台東区職員はそんなことすら分からなかったのだろう。


 なるほど、区職員の待遇は分厚い。職員1人当たりの年間給与費は約670万円(17年度)で、民間(約430万円、国税庁調べ)の約1・6倍。扶養手当(月額6000~1万円)、住居手当(月額8300~2万7000円)のほか、宿直手当(1回8800~1万800円)など手当もバツグンだ。


 公務員という安定した仕事とカネのある恵まれた生活を送りながら、弱者には冷酷無比。ホームレスを追い返した職員の頭には「ノーブレス・オブリージュ」なんて言葉はカケラもないに違いない。


この記事の問題点は、分かりやすい敵の創出のために、公務員の給与待遇を持ち出して非難材料にしていることだ。(山本太郎氏は公務員はもっと増やすべきだと言う。公務員の給料の原資は税金だが、安定的労働条件の職を増やせるならそれに越したことはない。無駄遣いは公務員の数ではなく、そのシステムに巣食う一部の人間の私利私欲とそれを糾弾できない制度にある。)


しかしBBCによれば、受け入れ拒否されたホームレスは2名。問題の台東区は都内で2番目に住所不定者が多い61人。であるなら、少なくとも59名は特に問題のある対応にあっていなかったのか?その59名はどう言う扱いになったのか?
ここをきちんと把握して伝えるのが、日本のメディアの仕事だろう。SNSに乗っかって勧善懲悪的な煽り方は、国民の分断を生む。


リテラも”差別”の憤りを掲げているが、上記のように海外での災害避難者対応の例をきちんと掲載している。これを知ることは日本の国民にとって大切なことだ。


また、村本大輔氏のツイートも取り上げている。
〈ホームレスを区が受け入れないのは税金を払ってないからというツイートをみた。おれは高い税金を払ってる。それは税金を払えない人の分も負担させてもらってる。だから社会ってのは税金を払ってない人もいていい場所。税金は払える人が払えばいい。社会は誰であっても1人も見捨ててはいけない。〉


〈税金を払えない人たち、その身内が心苦しくなるような空気を作るな。アホ。〉


〈このツイートでおれのことを偽善者というやつがいる。偽善綺麗事は余裕あるやつが言えばいい。言えないやつは余裕ができてからでいい。お金、心、余裕があるやつが配ればいい。ないやつは出来た時に配ればいい。誰も悪くない〉


〈生まれたときから障害を持って親に捨てられてホームレスになった人もいる。彼は死んでいいのか?おまえもおれもいま稼いで税金払ってるのはたまたまな。明日交通事故にあって動けなくなって社会が見放したときに何を思う。色んな人がいる。もちろんおまえみたいな考えも。それはそれでいい。〉


想像力を働かせるなら(いや直接対話したり接したりされているかもしれないが)、不安妄想ではなく、こういう働かせ方をする人が増えると、社会の息苦しさはなくなるだろう。只、今の時勢では本当に難しい。彼のように、立派な心を持っていない人(ワタクシもその一人だ)でも、非常時に、弱いものを攻撃したり、税金払ったの払わないので差別したり、足を引っ張りあったり、そんなことを考えないで済む、国際レベルの災害時対応、プライバシー保護、人間らしい取り扱いを、国が全力で支えなければならない(兵器買ってる場合か?ミサイル怖いなら、イージスなんたらよりシェルターを輸入する方がよっぽど国民を守れる。)問題視するならそこだろう。


また、弱い人を思いやる、そこまでできなくても、思いやれない自分を恥ずかしいと感じる程度の良識を取り戻す、モラルと教育のある国に戻さなくてはならない。
そして、自分の生活に満足ができ、将来の計画の立てられる社会であれば、誰もこんな、意地悪で殺伐とした気持ちを持つこともないと思う。問題視するならそこだ!!


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