密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

3日で中止あいちトリエンナーレとアーチストが出品を拒否ホイットニービエンナーレ

あいちトレエンナーレの表現ん”不自由展”は、芸術の”げ”の字も考えない、人々の偏った感情的見解、政治的・社会的圧力、そしてテロの宣言に屈する形で3日間で中止に追い込まれた。
権力ボケした思い上がった政治家はもとより、美術館に「大至急撤去しろ。ガソリンの携行缶を持ってお邪魔する」との脅迫文を送った人物は明らかにテロ予告であり犯罪だ。速やかに身元を特定し、しかるべき処罰を持って臨むべきだ。何のための共謀罪だ?政権より嫌韓なら、愛国無罪?


これで日本の美術界はますます萎縮するし、脅しが成功し、自分の力を確信したバカは図に乗って他でも卑怯な脅迫を行う。これを取り締まらずに放置することは大問題だ。



愛知県美術館(名古屋市東区)などで開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、旧日本軍の慰安婦を象徴する少女像などの展示に批判が出ている問題で、実行委員会トップの大村秀章知事は三日夕、記者会見し、少女像などを展示する企画展を同日限りで中止すると発表した。美術館に「大至急撤去しろ。ガソリンの携行缶を持ってお邪魔する」との脅迫文が送られるなどし、大村知事は「これ以上エスカレートすると安心安全にご覧いただくことが難しくなる」と説明した。
テロ対策はアメリカの大都市部の美術館ではどこでも行われている。入館時に持ち物検査は常識だ。ガソリン缶など持ち込めるわけもなく、安心してご覧いただける。脅迫者も自分の人生変えてテロを行う覚悟などあるとも思えない。京都のアニメ会社の放火は予告なく行われた許しがたい犯罪だが、それと今回のことは全く違う。


自分たちの企画に対し、きちんと主張を持って、社会に対しても説得、脅しに抵抗を示すことが、社会に影響力を発信する展覧会を支える側の責任である。決して安易にとは言わないが、放棄する口実にテロからの安全などと、言い訳しているように聞こえる。


脅迫者、非難者は成功体験で高揚しているだろう。これからますます、こういう行為が幅を利かせ、人々の口を塞ぎことになる。非常に危険なことになった。
 
芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏も会見し「表現の自由が後退する事例をつくってしまった。責任を感じている。わずか三日で断念に至ったことは断腸の思い」と述べた。


 企画展は「表現の不自由展・その後」と題して一日に開幕。全国の公立美術館やギャラリーに展示を拒否された芸術作品を、その経緯の解説と併せて展示していた。四日以降は企画展の展示室を閉鎖し、作品の撤去などは今後検討する。


 展示を巡り、実行委に参画する名古屋市の河村たかし市長が二日に少女像の撤去を要請したほか、菅義偉官房長官が国の補助金交付について慎重に検討する考えを示した。津田氏は「理由として一切関係ない。そういう状況でこそ展示の趣旨が生きてくる。安全上の問題が大きい」と説明。大村氏は「行政が展示会の内容にコミットするのは控えなければならない。(河村氏の)意見にコメントはない」と述べた。
主催者側も、認めるわけにはいかない、本当の理由はこれ?行政に睨まれたらまずいし、補助金交付の脅しが効いたのではないのか?その体裁を整えるためにテロに屈して安全をバーターするという言い訳を選んだと見えてしまう。


 大村氏によると展示内容が報じられた先月三十一日から抗議の電話が相次ぎ、今月二日には電話や対応人員を増やすなどした。職員名をインターネット上で公表して誹謗(ひぼう)中傷する書き込みなども相次いでいた。


◆津田さん「表現の自由が後退。断腸の思い」


 脅迫を理由に中止が決まった「表現の不自由展・その後」。表現の自由が脅かされ、出品者らは主催者の対応を批判し、識者からも懸念の声が相次いだ。


 「表現の自由に関する問題が戦前と変わらず、残念」。朝鮮人強制連行の犠牲者追悼碑をモチーフにした作品を出展した美術作家の白川昌生さん(71)=群馬県=は落胆した。「『不都合なものはだめ』とあしき前例をつくった。美術館などが萎縮しなければ良いが…」と心配した。


 靖国神社参拝を批判する紙などを張り付けた立体作品を出品した岐阜県飛騨市出身の彫刻家中垣克久さん(75)=東京都=は「やるなら主催者は堂々とやるべきだった。作家抜きでの中止決定は間違い」と批判した。
 
企画展は昨秋、現代の表現をめぐる状況に問題提起しようと津田大介氏が提案。キュレーター会議で安全管理上の指摘もあったが、津田氏の思いを尊重する形で実施が決まった。


 実行委員会は事前に、愛知県美術館の安全対策の要望を受け、展示室に二人の警備員を配し、監視カメラを設置。県警とも連携し、来場客と作品を守る体制を敷いてきた。ただ不特定多数からの抗議電話は警察への相談も難しく、なすすべがなかった。
明らかな脅迫、テロ予告でしょう。警察が動かないのは不自然。もし官邸に「ガソリンの携行缶を持ってお邪魔する」との脅迫文が送られたら、警察は総動員で動くでしょう?
美術展なんて一部の趣味みたいなもの的な感じで、動くに値しないというのなら、そっちの意識が大問題だ。予告状が来て警戒体制が取れないなら、何のためテロ等準備罪だ。
 
こうした経緯に対し、岐阜県御嵩町長だった一九九六年、産廃処分場建設を巡り暴漢に襲われ重傷を負った柳川喜郎さん(86)は「自主的に中止するのなら仕方ないが、激しく脅せば、何でも言うことを聞くということになり具合が悪い」と述べた。
テロとの戦い方が根本的にわかっていない日本、なのに法律だけは、テロ等準備罪なんて名付けて通してしまう。誰を取り締まるつもりなんだか。
 
ジャーナリストの大谷昭宏さんは、京都アニメーションの放火殺人事件をイメージさせる脅迫内容に「来場者への安全上、中止はやむをえない」と一定の理解を示し、「警察は容疑者を摘発し、こういう行為を許さないとの姿勢を見せてほしい」と捜査に期待した。

芸術監督を務める津田大介さんは、「表現の不自由展・その後」への抗議や中止は開催前から想定の範囲内だったことを明かした一方、「これを続けるとトリエンナーレそのものが成立しない」として、「わずか3日で作品を撤去するのは断腸の思い」と語り、その上で、「表現の自由」というデリケートなテーマを「民間よりも表現の自由が薄い」と言われる公立美術館でやることで「物議をあえて醸すことに意味がある」と思っていたという。ただ、「鳴り止まない電話」のような予想を超える反響が事務局などに寄せられたことに「ジャーナリストとしてのエゴだったとも感じています」と打ち明け、責任を「大きく感じている」と話した。(ハフィントンポストより)
津田氏のジャーナリストとしてのエゴが問題ではなく、ジャーナリストとして状況の読みの甘さと、その状況をジャーナリストとしての矜持と使命で遂行する計画性が脆弱だったのだろうと思う。そして国際参加のトリエンナーレで、歴史修正主義、日本の右傾化が絡む圧力で展示を撤去したことは、日本が芸術の独立性に対して、非常に未熟で脆弱であることを世界中のアーチストに伝えられることになる。


また、”苦渋の決断”だったのであろうけれど、その決断にアーチスト不在であったことに、やはり、日本の美術館のディレクター・キューレター、また”芸術監督”のトップダウンという構図が見えてくる。アーチストは彼らの表現のコマではない(津田氏のエゴがあるとするならこの点だろう)。特に出品及び撤去に際してはアーチストの意思は第一義に考えられるべきものである。


今、アメリカでも展覧会からの作品の撤去騒動が話題になっている。
ホイットニービエンナーレはアメリカに在住している若いアーチストの登竜門としてその存在を定着させてきた。そのビエンナーレの理事会副委員長のWarren B. Kanders氏が催涙ガスの容器製造を行っている企業の所有者であることに抗議し、8人のアーチストが自分たちの作品を撤去求めた。
最初にアクションを起こした4人のアーチストの声
“We were angry when we learned of Kanders’ role as CEO of Safariland, a company that manufactures teargas and other weapons of repression,”
「涙ガスやその他の民衆制圧の武器を製造するSafariland社における Kander氏のCEOとしての役割を知った時、我々は、怒りを思えた」
“At the time, we had already accepted your invitation to participate in the Whitney Biennial and some of us were well into fabrication of major pieces for this show. We found ourselves in a difficult position: withdraw in protest or stay and abide a conflicted conscience. We decided to participate.”
「当時、私たちは、ホイットニービエンナーレからの招待を承諾しました。そして何人かは、この展覧会のためにメインとなる作品の制作に取り掛かりました。
私たち自身、とても難しい立場にいることを自覚しました;講義を撤回するか、自己の良心に従うか、そして、良心に従うと決めました。」

Nicole Eisenman「Procession」彼女は、Whitney Biennialから撤去するよう依頼し、9月22日に終了する。また8人のアーティスト全員が、削除する作品を求めている。

5月、ホイットニーでの、催涙ガスを含む軍事物資を製造する会社の所有者であるウォーレンB・カンダーズに対する抗議の様子。
アーチスト達にとってもホイットニービエンナーレは大舞台。各人葛藤が大きかったと思うし、撤去を決断したアーチストも、展示を続けたアーチストも、自らの考えに基づいて行動した。その個々の選択全てがアートを生み出すものの真剣な行動だと言える。
この出来事に対する、NYタイムスの記事転載し
拙訳いたします。長い記事で、美術に特に関心のない方は、なんなんだという感じかもしれないけれど、今回の日本での展示中止とも絡めて、アメリカと日本の芸術の独立性、支える側の姿勢など、比較して読んでいただきたい。また、アーチスト達がどれほど自分のルーツや歴史、置かれている環境、政治情勢、世界への関心でアートを構成しているかがわかってくると思うので、我慢してお読みいただけると嬉しいです。

Eight artists have asked the Whitney Museum of American Art to remove their works from this year’s Biennial, citing what they describe as the museum’s lack of response to calls for the resignation of a board member with ties to the sale of military supplies, including tear gas.
8人のアーティストがホイットニーミュージアムの今年のビエンナーレから作品を撤去するように要請した。
Four of the artists withdrew on Friday; the rebellion continued throughout Saturday as four more followed suit. There are 75 artists and collectives in the Whitney Biennial, which closes on Sept. 22.
まず4人のアーティストが金曜日に撤去を要請し、さらに4人が追随したので、この反乱は2日を通して続いた。 Whitney Biennialには75人のアーティストが展示しており、9月22日に閉幕する。


Since March, there have been protests at the museum and calls from artists and scholars for the museum to remove the trustee, Warren B. Kanders, who owns a company that distributes law-enforcement equipment, the Safariland Group. Mr. Kanders has vigorously defended the company. One artist selected for the Biennial declined to participate before the exhibit opened because of Mr. Kanders’s business. Dozens of others called for Mr. Kanders to resign, even as they took part.
民衆による抗議行動制圧に用いられる装備品を販売している会社、Safariland Groupを所有しているWarren B. Kanders氏をビエンナーレの理事会副委員長から外すことを求める抗議行動が、芸術家や学者・研究者達により3月から展開されたきた。
Kanders氏は会社を積極的に擁護した。 ビエンナーレに選ばれた一人のアーティストは展覧会が開かれる前に参加を拒否し、他の何十人ものアーチストが参加はしたが、カンダーズ氏に辞任を求めている。
In a letter to the Whitney Biennial curators that was first reported on Friday by Artforum, the four artists, Korakrit Arunanondchai, Meriem Bennani, Nicole Eisenman and Nicholas Galanin, said they were angry when they learned of Mr. Kanders’s ties to Safariland, but “were well into fabrication of major pieces” for the Biennial and decided to forge ahead.
金曜日にArtforum誌によって、最初にリポートされた、当ビエンナーレ・キュレーターへの手紙の中で、4人のアーティスト、Korakrit Arunanondchai、Meriem Bennani、Nicole Eisenman、Nicholas Galaninは、Mr. Kanders’s とSafarilandとの関係を知ったとき、怒りを覚えた、しかし、ビエンナーレ参加のための作品の制作は引き続き進めることを決めた。と語った。
“The Museum’s continued failure to respond in any meaningful way to growing pressure from artists and activists has made our participation untenable,” the four wrote in a copy of the letter provided to The New York Times. “The Museum’s inertia has turned the screw, and we refuse further complicity with Kanders and his technologies of violence.”
NYタイムズに提出されたこの手紙のコピーには、「ホイットニー美術館がアーチストや社会運動家からの圧力の高まりに対して、意義のある方法で対応できなかったため、私たちは参加をすることを受け入れられなくなった」とも書いてある。 「美術館側の対応に変化がなくより硬化したことにより、我々は、Kander氏と彼の”暴力のためのテクノロジー”への、さらなる共犯者となることを拒否するべきだと考えた。」


On Saturday morning, three additional artists said they were withdrawing work in solidarity. Eddie Arroyo and Agustina Woodgate announced through their gallery, Spinello Projects, of Miami, Fla., that “the request is intended as condemnation of Warren Kanders’ continued presence as Vice Chair of the Board and the Museum’s continued failure to respond in any meaningful way to growing pressure from artists and activists.”
土曜日の朝、さらに3人のアーティストが連帯で作品を取り下げていると発表した。
Eddie ArroyoとAgustina Woodgateは、フロリダ州マイアミのギャラリーSpinello Projectsを通じて、次のように発表しました。
「この要求は、Warren Kanders氏の理事会副委員長としての役職の継続と、芸術家や活動家からの抗議が増大していることに対して、美術館が何ら意味のある方法で対応しなかったことを非難することを意図している。」

A seventh artist, Christine Sun Kim, said in an email to The New York Times on Saturday that she, too, had asked for her work to be withdrawn from the Biennial.
“As a mother to a 2-year-old daughter, it terrifies me that my work is currently part of a platform that is now strongly associated with Kanders’ teargas-producing company Safariland,” she wrote to curators. “I do not want her to grow up in a world where free and peaceful expression is countered with means that have left people injured and dead.”
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7人目のアーティスト、Christine Sun Kimが土曜日のニューヨークタイムズ紙への電子メールで、彼女も自分の作品をビエンナーレから撤退することを求めていたと述べた。
「2才の娘の母親として、私の作品は現在Kandersの催涙ガス製造会社Safarilandと強く関連している同一な位置に私が立っていることを恐れています」と彼女はキュレーターに書き送った。
「自由と平和を求める表現が、人々を怪我をさせたり死なせたりするやり方で打ち消される、そんな世界に娘が育ってほしくはありません。」

The eighth to ask that work be withdrawn was Forensic Architecture, a London-based research group, which produced a 10-minute video that directly addressed the controversy over Mr. Kanders, called “Triple-Chaser.” (It was made with Praxis Films, run by the filmmaker Laura Poitras.) The title comes from a type of tear-gas grenade manufactured by Safariland that has allegedly been used against civilians at the United States-Mexico border and elsewhere during protests.
8番目は、Forensic Architecture、ロンドンに拠点を置くリサーチグループで、Kanders氏をめぐる論争を直接扱った「Triple-Chaser」というタイトルの10分間のビデオを制作した。(Praxis Filmsで作成され、 このタイトルは、サファリランドが製造した一種の催涙手榴弾から来ており、米国とメキシコの国境などで抗議行動中に一般市民に対して使用されてきたとされている。)
Eyal Weizman, the founder and director of Forensic Architecture, said in an interview that the group had written to the curators on Saturday to remove “Triple-Chaser” and accompanying films. He added that Forensic Architecture asked that those films be replaced by a statement from the group about its new investigation suggesting that bullets made by a company, Sierra Bullets — which it alleges has ties to Mr. Kanders — were used by the Israeli forces against civilian protesters in Gaza in 2018.
Forensic Architectureの創設者でありディレクターであるEyal Weizmanは、土曜日に「彼らグループが学芸員に「Triple-Chaserトリプルチェイサー」とそれに付随する映画を削除を要請すると、手紙を書いたとこのインタビューで語った。
土曜日に「Triple-Chaser」とそれに付随する映画は削除される。
彼はまた、こうも付け加えた。Forensic Architectureは、これらのフィルムを、新しい調査「Sierra Bullets社が作成した弾丸はーカンダーズ氏と関係があるー2018年にイスラエル軍がガザの民間抗議者に対して使用したものだ」に基づいてグループの声明にを更新することを求めた。

Mr. Kanders declined to comment Friday and Saturday through a spokesman.
Kanders氏は金曜日と土曜日のスポークスマンによるコメントを控えた。
In a written statement on Friday, Adam D. Weinberg, the Whitney’s director, acknowledged the four artists’ letter to the curators.
“The Whitney respects the opinions of all the artists it exhibits and stands by their right to express themselves freely,” the statement said. “While the Whitney is saddened by this decision, we will of course comply with the artists’ request.”
金曜日の書面による声明で、ホイットニーのディレクターであるAdam D. Weinbergは、4人のアーティストからキュレーターへの手紙の送付を認めた。
「ホイットニーは我々が展示するすべてのアーチストの意見を尊重し、自由に自分自身を表現する彼らの権利を支持している」と声明を出した。 「ホイットニーは今回のアーチスト達の決断に悲しみを持って受け止めていますが、もちろんアーティストの要望には従います。」

Tom Eccles, the executive director of the Center for Curatorial Studies at Bard College, said that the artists who had asked for their works to be withdrawn appeared to have the upper hand. “The artists won this one,” he said.
“The latest salvo by artists is a surprisingly devastating move at rapid speed,” he added.
バード大学の学芸研究センターの事務局長、Tom Eccles氏は、「自分の作品の回収を依頼したアーティストは撤退によって勝利を手にした」と語った。
「アーティストによる最新のサルボ(銃撃戦ー比喩のようです、いい比喩とは思えませんが)はまことにスピーディーで驚くほど壊滅的な動きをする」と彼は付け加えた。

The Whitney paid a $1,500 honorarium to participating artists, including six of the artists who have asked to have their work withdrawn. (The museum said the additional payments were underway.) It is not known if any of the eight artists intend to return the fees.
ホイットニーはすでに、参加アーティストに1,500ドルの助成金を支払っている。 (美術館は、追加の支払いも進行中であると言った。)8人のアーティストのうちの誰かが料金を返すつもりであるかどうかは知られていない。
The Biennial, which began as an annual show in 1932 and adopted its current schedule in 1973, has often included politically tinged works. This year’s exhibition addressed, among other topics, N.F.L. players taking a pregame knee to protest police violence against African-American men and women; and the 1989 Central Park jogger case, in which a group of black and Latino teenagers were wrongly accused and convicted of assaulting and raping a white woman.
このビエンナーレの前身は、1932年に毎年恒例のショーとして始まり、1973年にその現在のスケジュールを採用しビエンナーレ形式となった。しばしば政治的に色付けされた作品を含み、 今年の展覧会では、N.F.L.(全米フットボールリーグの膝をついた祈り)や、取り上げたアフリカ系アメリカ人の男性と女性に対する警察の暴力に抗議するために前膝をしているプレーヤー(祈る人)などのトピック。 そして1989年のセントラルパークのジョガー事件(ジョギングをしていた女性が襲われた事件)では、黒人とラテンアメリカ人のティーンエイジャーのグループが白人女性を暴行し強姦したとして誤って非難され有罪判決を受けた(実は全く違う人間の犯行だったが、当時トランプは奴らを死刑にしろとわめき立てた)。このなども主題に据えた作品も選ばれた。
The last time work was publicly withdrawn from a Biennial was 2014, when the YAMS, a collective of artists, removed their video on race and black identity, contending another project in the show was racially insensitive. 
これ以前に、ビエンナーレから作品が公に撤収されたのは2014年で、アーティスト集団であるYAMSが、、ビエンナーレの別のプロジェクトが人種問題に鈍感であるという理由で、彼らの人種と黒人のアイデンティティに関するビデオを削除した。
In 2017, Dana Schutz’s painting “Open Casket” drew sustained protests for its abstracted portrayal of the corpse of the black teenager Emmett Till, whose lynching in 1955 helped spur the civil rights movement. The work, however, remained on view.

2017年、Dana Schutz(白人の女性アーチスト)の絵画「Open Casketー棺を開けろ」は、1955年にリンチを受け死亡し、そのことで公民権運動を促進しすることになった、黒人の10代の少年、Emmett Tillの死体を抽象化して描いたものに対するアフリカ系からの抗議行動が続いたが、その作品は撤去されることはなかった。
Friday’s letter from the four artists withdrawing their work came on the heels of an essay, “The Tear Gas Biennial,” in Artforum two days earlier that called on artists to boycott the exhibition.
2日前のArtforumのエッセイ「The Tear Gas Biennial」の直後の金曜日、作品の撤去を要請した4人のアーティストから手紙は、アーティストに展示会のボイコットを呼びかけました。
The museum said it had reached out to artists over their requests to remove works, among them a large-scale sculpture by Nicole Eisenman called “Procession,” which sprawls across the sixth-floor terrace. Also outside on the fifth floor is a “video viewing” station by Meriem Bennani called “Mission Teens,” which follows a group of teenage schoolgirls in Rabat, Morocco.
美術館はアーチストの要望による作品の撤去に協力したと述べた。その中には、6階のテラスに広がる「Procession」と呼ばれるNicole Eisenmanによる大規模な彫刻、 また、5階の野外に置かれた、Meriem Bennaniによるモロッコのラバトに住む10代女子高生のグループをホローした「ビデオ視聴」ステーション「Mission Teens」も含まれていた。


Some Biennial artists said Saturday that they respect the decision by fellow artists to withdraw from the exhibition but wanted their work to remain in the Whitney.
他の参加アーティストは土曜日に、展覧会から撤退する仲間のアーティストによる決定を尊重するが、自分たちは、ホイットニーに彼らの作品が残ることを望んだと語った。
Sofía Gallisá Muriente, from San Juan, said in an email that her work addresses the “colonialism of Puerto Rico,” and that she believes “in the power and importance of that piece to speak to our current political situation.”
San Juan出身のSofíaGallisáMurienteは、電子メールで、彼女の作品は「プエルトリコの植民地主義」を取り上げており、「(この展覧会に残すことは)私たちの現在の政治状況を発信するための力であり重要性があると考えている」と述べた。
Another artist, Brendan Fernandes, who created a sculptural installation animated at times by dancers, said his work is “a form of protest within the system.”He added, “The institution will only change when you’re in it.”
ダンサーによって時々アニメーション化された彫刻インスタレーションを作成した別のアーティスト、Brendan Fernandes,は、彼の作品は「システム内における抗議の形」であると言いました。そして彼はこう付け加えた、「このインスタレーションは、あなたがこの場所に存在している時のみ変化するのだから」



Attention was focused on Mr. Kanders late last year, when the art website Hyperallergic published photos showing metal canisters marked with Safariland’s name. The canisters were said to have been found where the American authorities used tear gas to disperse hundreds of migrants running toward a crossing from Tijuana to San Diego.
(事の発端は)一昨年、アートウェブサイトHyperallergicが、Safarilandの名前がマークされた金属製のキャニスター弾の写真を公開したとき、Kanders氏に注目が集まった。
このキャニスター弾(の容器)は、アメリカの当局がティファナ(メキシコ国境の検問所のある街)からサンディエゴ(検問所を抜けたカリフォルニア州海岸沿い最南端の町)へ向かって走っている何百人もの移民を分散させるために催涙ガスを使用した場所から見つかっていたと言われた。

Many Whitney employees signed a letter expressing dismay. Mr. Kanders replied with a letterexpressing pride in Safariland, which also sells protective suits and armor, adding that the company plays no role in deciding how its products are used.
多くのホイットニーの従業員は(Kanders氏と彼の会社に)失望を伝える手紙に署名しました。しかし、Kanders氏は、彼の会社は、サファリランドで防護服や防具も販売していることを表明し、同社は自社製品の使用方法を決定するのに何の役割も果たしていないと返信した。
In a letter last winter to staff members and trustees, Mr. Weinberg wrote that the museum has “a critical and urgent” role in recognizing “unheard and unwanted voices,” but added that it “cannot right all the ills of an unjust world.”
ホイットニー美術館ディレクターである Weinberg氏は、昨年の冬にスタッフと評議員に宛てた手紙の中で、この美術館はいま「聞こえない、望まれない声」を認識する際の「重要かつ緊急の」役割を追っているが、 しかし、それは「不当な世界のすべての病むべき部分を全て正すことができるものではない」と付け加えた。
And about two weeks before the Biennial opened in mid-May, roughly two-thirds of the 75 participating artists and collectives added their names to the letter urging the museum to remove Mr. Kanders as vice chairman of the board.
ビエンナーレがオープンする5月中旬の約2週間前には、75人の参加アーティスト及びアーチストグループのおよそ3分の2が、美術館に対して、Kanders氏を理事会の副議長から退任させるように要望した。
On the opening night of the Biennial, protesters draped a black banner reading “When We Breathe We Breathe Together” from an upper floor of the museum. Later they marched to Mr. Kanders’s home in Greenwich Village, taking with them a rolling installation in the form of a five-foot-tall silver cylinder emblazoned with the words “tear gas.”
ビエンナーレの初日の夜、抗議者たちは博物館の上階から「私たちが息をするとき、一緒に呼吸する」と書かれた黒い旗を立てました。 その後、彼らは「催涙ガス」という言葉で飾られた高さ5フィート(1m50cm)の銀のシリンダーの形をしたローリングインスタレーションを持って、グリニッジビレッジにあるKanders氏の家に行進をした。


お疲れ様でした。アーチストの意思は全く問われずに中止された日本とは大きく異なります。またアメリカの感情的抗議が日本のものに比べて穏やかであるということは決してありません。石油缶どころかマシンガンを持っている人もいますし、また人種間の積もりに積もった軋轢や偏見差別も、日韓関係に比してもそう生易しいものではありません(だからいたずらに煽らないように社会全体として注意深く対処してきたが、トランプの出現で均衡が崩されている部分があり大きな問題となっている) 記事にある、白人女性アーチストによる黒人を表現として使った作品に、その表現が人種差別への抗議であったとしても、黒人の側からは違和感と反発を感じ、感情的抗議運動になるということはありますし、十分なセンシティビティーが必要な部分でもあります。それでも、外部からの抗議によって作品を撤去して済ますなどという対応は美術館側がすべきことではないと強い認識と覚悟を持っていることは確かです。


ワタクシに取って、最も大切なパートであるアートに加えられた、劣化する日本の象徴のような暴力です。これをやり過ごしてしまうことは、後戻りのできないひどい同調圧力、言論統制を加速させることになるでしょう。


翻訳に戸惑って、アップが遅れてしまい、そうしているうちに、ハフィントンポストやリテラにアーチスト達の声の紹介や、警察の対応がないことへの記事が掲載されましたので、これについてもまた書きたいと思います。


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