密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

非常事態宣言・水道民営化・棄民政策 米ミシガン州フリントンに見る日本の未来

新年に見る映画を、劇場で見逃して以来ずっと見たかった”華氏119”にした。
<どうしてもネタバレになりますので、まだ見ていない方は、見てから呼んでください。>


このドキュメンタリーには、監督マイケル・ムーアの怒りが詰まっている。
トランプ大統領を誕生させた、民主党エスタブリッシュメントへの怒り、銃社会をそれでもまだ助長させる共和党とNRA(ナショナル・ライフル・アソシエーション)への怒り銃撃を受けたフロリダの高校生たちの活動の大きなうねりと、Good Man have Gunに、BS(Bullshit-バカを言うな、たわ言だ、ふざけるな!!の意味)と叫ぶ彼ら彼女らの胸打つ叫び。公開質問で、被害者の子のNRAの献金を受けないと約束してくれますか?という問いに、オロオロしまともに答えられない共和党マルコ.ルビオ大統領候補、胸にまとを貼り付けた小さな子供達の講義、)そしてGood Man have Gunといい、対立を煽るトランプへの怒り。
どう考えても国民の声を反映しない共和党有利の選挙制度はの怒り。女性蔑視のメディアインタビュアーへの怒り。


そして、故郷ミシガン州フリントン市で起きた、水道水鉛汚染問題への怒り。
この鉛汚染問題は2014−2016年に注目を集めたが、非道なぁと言う程度で、特に深い関心を示したいなかった(恥ずかしながら、最近同市の廃屋に住民に告知なしに軍事訓練が行われた時も、ひどい!!と思ったが、同じ市であると言う認識がなかった)


この問題の根本は、衰退したミシガン州に成功したビジネスマンのリック.スナイダー知事が誕生したことから始まる。知事は、事業衰退したデトロイト、フリントンを含む4市
を非常事態宣言で知事の統括下に起き、水道を民営化した。そして、すでにある水でお設備の他に新たな水道を引くことを要請(近しい企業と銀行への利権)。ところがこのコストがかかりすぎて支払い見通しが立たないとわかると、急遽水源を近場のフリントン川に変更。この水を低所得者居住エリアで使用させた(アフリカ系が半数以上)


この川の水は、長年の自動車製造ジェネラルモータースの廃液で酸濃度が高く、このさんによって配管に使われる鉛が溶け出し混入すると言う事態を招いた。2014年10月にはゼネラル.モーターズ.エンジン工場は、部品に錆がついたと報告し、フリント水の使用を停止した。知事は多額の献金をするジェネラルモータースの作業には、別の水源(湖から)の水を使わせた。(高濃度の酸で製造車体のダメージが出るため)


住民には川の水が供給され続けた。供給直後から水の臭い、味、色など、飲めるような状況ではないと苦情が続出。そして、住民に、重度の皮膚疾患、脱毛、記憶障害とう重度の症状が発生し、大問題に発展した。


これに対し当初州政府は、『因果関係が認められない』『問題ない』『適切に対処された』と取り合わず、事態を、非常事態まで押し上げた。


デトロイト市当局は彼らの地区からフリントに水を接続することを提案したが、フリント市当局は、水は安全だと主張した。


州当局は問題のあるフリントの水システムを改善するため$200万投資すると公約した。フリントはその水供給への即時改善に$224万出費すると約束し、フリントの職員は、水の安全性試験は州および連邦の基準を満たしていると述べ、水の品質が向上したと発表した。((のちに州衛生課職員による鉛濃度数値の改ざんが発覚した。これを職員の個人的な行為として片付けようとした)


しかし、半年後、ハーレー医療センターの医者が率いる医師団は子供達の血液中に高レベルの鉛を発見し、フリント川の水使用を停止するよう求めた。


だが、州の規制当局は、水は安全であると主張した。そして約1年半後、初めて州は鉛の問題があることを認識した。、知事スナイダーは高レベルの鉛に対処すると誓約した。スナイダー知事は、フリントの公立学校で水フィルターと試験水を買うため$100万を出費すると公表し、フリントが再びデトロイトの水システムの利用に戻る事を要請した。ミシガン州議会及びスナイダーは、デトロイトが供給する飲料水に切り替えるため$600万を含む援助金、および水フィルター、検査、ラボ.テストに必要なお金を含む$940万の資金を認可した。、スナイダーは環境品質ディレクターの辞任を受け入れ、フリントで発生している事態について謝罪した。(しかし、事態改善の資金もやはりそれを行う企業に流れるのだ。マッチポンプと言うべきだ)


さて、このフリントン市の惨劇、は、経済優先、貧困者をお荷物と考える指導者が、選ばれ、その人間に非常事態法(全権委任状)を与え、彼が自らと周囲の大企業の利益に動き、住民の安全をコストカットし、命を守る水が汚染されても、それを1−2年あまり認めず、『問題ない』『対処している』と木で鼻をくくった対応でやり過ごし、その後、膨大な公的援助金をまたしても、改善という名目で企業に与える
権力者を守るために、2人の職員が(まあアメリカの場合相応の報酬が支払われたのではないかと思うが)数値改ざんをし、責任を全て押し付けられた。


まるで何処かの国を見ているようです。まだ起こっていないのは、非常事態宣言で内閣総理大臣に権力が集中する事態と、水道民営化による、コストカットが引き起こす深刻な問題。このうち食い止められるのは、内閣総理大臣に権力を集中させる非常事態法などという恐ろしいものを、憲法に明記させないことであり、これは、いくら今の安倍政権でも強行採決で決めることはできない、国民の総意が必要です。発議を止めることを望みますが、何をやるかわからないタガの外れた独裁政権です。最後は国民の手で止めなくてはなりません。また、水道水を飲んで、体を洗って、健康に問題が発生しても、企業も行政もなかなか認めようとはしません。それは福島で、子供達の甲状腺がん発生数値が何十倍になっても、”因果関係が認められない”と平気で言う現状が証明しています。


選挙前、改憲国民投票前に溢れるだろう、甘言、わかりやすい宣伝文句、危機脅し、愛国万能同調圧力、に決して騙されたり、屈したりしてはならない。なぜなら自分や周りの大切な人の命に関わってくるからです。


新年に際し、マイケル・ムーアの自分のホームタウンに対する深い悲しみと怒りに触れ、
故郷木更津のオスプレー配備、そぃてそこく日本の”惨状”死にゆく民主主義に思いを馳せました。今年こそ、美しい日本を取り戻すきっかけの年になることを切に願っています。


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