密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

個人主義の確立していない日本で、高プロ適用時に本人の同意は看板のみ

これだけの不祥事が続き、国民の信頼を失っている政権与党が、またも強行採決。しかも不備(捏造)データーを提出した当日にこれに対する対処も行わず。ここまで平気で横暴の限りを尽くせるのは、当分国政選挙がないことと、選挙までには国民の興味も薄れ、いつもの口当たりのいいだけの公約と、危機あおりで、また議席を維持できるとたかをくくっているからだ。 参議院に移行した働き方改革(働かせ方改悪)について、興味深い記事を【『高プロ制度』の嘘】細野豪志議員が教えてくれた『誤解』 佐々木亮弁護士の解説 ( 国会 ) - 北京老学生・日本から台湾へ - Yahoo!ブログで取り上げていたので、読んでみた。


細野氏のブログとその誤解の指摘と反証という形でなされている記事。政治家が”誤解”するくらいだから、一般の人が当然誤解するように作られている。要点だけ転載してみました。

<細野氏ブログー茶色><佐々木弁護士反証ー緑><私の疑問感想ー黒>


高度の専門的知識を必要とするとされる高度プロフェッショナル制度は、基本的に裁量労働制の適用対象者の中から、平均給与の3倍を相当程度上回る水準(1075万円を参考)の年収の人に適用可能です。適用されると、管理職同様、労働時間という概念がなくなります。言わば、年俸制になるわけです。

1、高プロの対象者は「基本的に裁量労働制の適用対象者の中から」選ばれると書いていますが、誤り。むしろ高プロの危険性として、裁量労働制の対象となる労働者に必須要件とされる「業務遂行の裁量性」さえ要件とされていないことが指摘されています。


業務遂行の裁量性=自分の仕事を行う配分は自分で決められる。これが高プロには必ずしも適用されないということか?


2、「適用されると、管理職同様、労働時間という概念がなくなります」と書いている部分ですが、管理職という言葉を、労働基準法上の管理監督者の意味だと善意に解したとしても、誤り。管理監督者は、深夜労働の規制は外れていません
 つまり、管理監督者でも夜10時から朝5時までの間に働いた場合は、深夜の割増賃金の支払いがなされるところが、高プロは、これさえ外れます。


3、年俸制とは無関係 年俸制とは年間で賃金額を決めているというだけで、何ら特別な制度ではありません。所定労働時間を超えて働けば、年俸制の労働者でも残業代を請求することができるのは当然


高プロが適用されると、従来の裁量労働制以上に裁量の幅が広がりますので、働きすぎ、最悪の場合、過労死が増える懸念があります。私も過労死した方のご遺族からのお話を聞いたことがありますので、こうした不幸な事案を根絶しなければならないと強く思います。厳格な健康確保措置の導入や、年間104日の休日確保の義務化など、裁量労働制にはない措置が導入されたのは、当然だと思います。


1、「従来の裁量労働制以上に裁量の幅が広がります」とありますが、広がりません。
2、「厳格な健康確保措置」とありますが、そんなものはありません。健康確保措置としては、以下の4つがあります。
1勤務間インターバル制度と深夜労働の回数制限制度の導入
2労働時間を1ヵ月又は3ヵ月の期間で一定時間内とする
31年に1回以上継続した2週間の休日を与える
4時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する
(※なお、法案では「労働時間」という言葉は使われず「健康管理時間」という言葉を使っています)
しかし、これら全てをとる必要はなく、この中から1個選べばいいという制度です。
を選ぶ企業が続出するでしょう。
3、「年間104日の休日確保の義務化」を持ち上げていますが、これは祝日と盆暮れ正月休みを一切ない前提の週休2日というものです。


重要なことは、本人の意思が尊重されることです。政府案が修正され、高プロ適用時に本人の同意を得るだけではなく、離脱の意思表示もできることが明確になりました。


たしかに高プロには本人同意が要件とされています。しかし、労働法の世界における労働者の同意ほど弱々しい「歯止め」はありません。
労働者と使用者の力が非対等だからこそ、労働法があるのです。その構造と年収とは関係ありません。


また、離脱の制度については、ないよりはあった方がいい制度なのですが、同意と同様に「歯止め」としての機能の実効性は疑問です。


元記事はもっと皮肉が効いています。全文も是非お読みください。


行政文章や法律の文章は、どうも、すっと頭に入って来ず、具体的イメージと結びつきづらいです(まあそれが目的の一つなんでしょうが)


とはいえ、佐々木弁護士のご説明を読んだだけでも、この高度プロフェッショナル制度は抜け穴、落とし穴が多数存在するということがわかります。
そして最も、単純な落とし穴は、日本には個人主義が確立していないという点です。
どれだけ、ユトリ世代がKYだのと叩かれても、やはり、NOと言えない日本人にさせられてゆく社会の強制力は健在です。それをわかっていながら、働く側の”裁量”などと、言葉ヅラだけ整えて、いいこと風に押し通す。安倍政権の政策は全てこれです。


そもそも、言葉を操って本質をねじ曲げるのは日本のお家芸。アメリカで非正規労働者(Part Timer)はどんな業種でも、Part Timerであり、Part Timerとは、常時の労働時間に見たな労働を選択する人たちであり、労働時間が一定に達し、一定期間働いていれば、Part Timerではなく当然Full Time workerになります。だいたい非正規雇用なんて、詭弁丸出しの言葉がもう、身分制度みたいに蔓延し、半数に近い、実質的Full Time workerが、賃金や雇用側からの保証などがPart Timerとして扱われていること自体が、理屈に合わずすでにおかしい(だから非正規雇用なんて企業側からだけの言葉を蔓延させている)。


どうも日本の自民党政権は、アメリカの制度の、上っ面をお得意の超訳で、歪曲して取り入れ、日本独自の搾取制度に、民主主義の香水をふりかける。今回の年俸制だの裁量労働制だの、プロ野球選手ならいざ知らず、一般の良き日本の人たちが、自分の権利を主張して、契約交渉を自分自身でできるわけがない。かつ農協だの労働組合だのを解体させ、共産党を革命政党だなどと攻撃する。弱い立場の労働者の防波堤を印象操作で切り崩し、バラバラにし、立ち向かえなくするという作にも余念がない。


結婚当時、私の誕生日だから、Dさんは有給を取るといった。驚いて、そんな個人的なことで、休んだらみんなに迷惑でしょう?というと、一番大事なことの一つと、みんな考えているよ。という答えが返ってきた。 
今、日本では、配偶者の誕生日や結婚記念日に有給を取ることが許される環境になっているのだろうか?私の知る限り、未だに絶対許されない、て雰囲気だろう。
働きすぎの我が妹は、仕事の休みが取れなくて、結婚式も含め、この15年間一度も、アメリカに来ることができてない。長く休めばみんなに迷惑がかかる。経営者側なので、自分だけ休みを取ったら、雇用者に示しがつかない、という理由だ。


お互いに気を使いあい、相手の迷惑を考える日本人に、個人の契約交渉は公正に行われない可能性が大きい。まして裁量は自分のためでなく会社のためになるだろう。それを熟知していた、こういう、一見綺麗事風に持ってゆく、明治維新以降の上層部、支配階級の頭のゆるけた三代目を奉って、いい思いをしたい人間が寄り集まっての悪巧みだ。 働き方を選べる、自分の時間を自分で計画できる、なんてことは、みんなが、家族の記念日に有給を申し出られる社会にしてから言ってくれ。フルタイム働いて、それなりの技量実績があっても、派遣だ非正規だという”身分制度”の枠での賃金・待遇の搾取が大手を振ってまかり通っている現状を、日本人に向いていた終身雇用制復活を、企業の社会倫理や雇用者への責任感を今一度正してから、言ってくれ。


PVアクセスランキング にほんブログ村

ランキングに参加しています。
宜しかったら、両方をクリックしていただけると嬉しいです。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ