ベビーシッターに去られ、トランプの不安定加速

2018/03/06 12:00

ファッションモデルからトランプファミリーのビジネス中核企業「トランプ・オーガナイゼーション」の広報担当、そしてホワイトハウス広報部長へ、異例の出世？を遂げたホープ・ヒックスが辞任を表明。彼女の役割は、ホワイトハウスから国民への広報より、ホワイトハウススタッフのためのトランプへの広報部長、いわゆるベビーシッターだ。

トランプはヨーロッパ系のモデルが大好き。
ヒックス氏はわずか数年のうちに、トランプ氏一族の中核企業「トランプ・オーガナイゼーション」の広報担当から米政府の権力の高みへと上り詰めていた。この間、ヒックス氏ほどの地位の人物としては異例なほど目立たない姿勢に努めてきた。
トランプ氏はヒックス氏の辞任により、この３年ほどで初めて、最も忠実な側近が常時そばにいる状態を失うことになる。企業経営時代から選挙戦、ホワイトハウス入り後に至るまでトランプ氏に一貫して協力してきた側近は数えるほどしかいない。

この大任に嫌気がさしたのか？それとも交際中のロブ・ポーター元秘書官をめぐるスキャンダルのためか。理由は定かではないが、彼女の辞任は、ただでさえ不安定なトランプの精神状態を加速させている。フロリダでの高校銃撃を受けて、これまでにないほど世論の高まりを見せる銃規制に対し、トランプは、正反対の発言を1日ごとに繰り返し、周囲は混乱を極めている。
自分が擁護して一切の銃規制に異議を唱えず、年齢引き下げも必要ないとし、学校の教員の銃の携帯訓練を支持、ボーナスを出すなどという馬鹿げたことを言ったかと思えば、自分んら丸腰でも立ち向かうと、警察官を非難、かと思えば、上院議員を前にして、銃購入の最低年齢引き上げを盛り込まなかった議員に対して「全米ライフル協会（ＮＲＡ）を怖がっているからだ」と宣った。

自分が乗ることができるかどうかわからないエアホース１（大統領専用機）２機３９億ドル（約４２００億円）で購入を発表、
ホワイトハウスの広報担当はＣＮＮの取材に対し、新しいエアフォースワンの価格について、トランプ大統領とボーイングとの間で合意に達したと説明。「大統領の交渉のおかげで、今回の契約で１４億ドル以上の税金が節約される」と述べた。
コスト削減の全体像は不明。トランプ氏は１６年の大統領選の勝利後、ツイートで、エアフォースワンについて費用が４０億ドルかかるとしていた。
４０億ドルという費用について、ホワイトハウスとボーイングは情報が間違っており、実際には５０億ドルだったとしている。
トランプ氏は２０２１年に運用が開始できるよう求めているという。

ものすごい楽観主義！！

方や、習近平の任期撤廃案を称賛
（ＣＮＮ）トランプ米大統領は３日、フロリダ州の別荘で開いた昼食会でのスピーチで、中国の習近平（シーチンピン）国家主席の長期政権を可能にする任期撤廃案を称賛するなど、奔放な発言を繰り返した。
習氏が「終身主席」になれるのは「素晴らしいと思う」と述べ、「我々もそのうち挑戦してみるべきか」と語った。
自由平等民主主義の国アメリカの大統領としては、たとえ冗談でも口にしてはいけないことだが、そんな判断もできない。

関税問題でもこれから不安定な思いつき連発になりかねない。

トランプは今月１日、鉄鋼に２５％、アルミに１０％の関税をかけると表明した。さらに、「例外はない」と明言。日本も対象となる可能性が高まっている。

ＥＵのユンケル欧州委員長は２日、反撃に出た。報復として、米から輸入される「ハーレーダビッドソンの二輪車、バーボンウイスキー、ジーパンなどに関税をかける」と発言した。

　中国も猛反発だ。中国商務省貿易救済調査局の局長は２日、「中国の権益を守る相応の措置を取る」と非難し、４日には全人代の張報道官が「座視しない」と主張した。

ところが、安倍政権の動きは鈍い。４日時点で伝わっているのは、世耕経産相がロス米商務長官に電話で「強い懸念を伝えた」だけだ。

　トランプ発言で円高も進行し、１ドル＝１０５円台に入っている。輸出企業の下方修正ラッシュが起きかねない。

ＥＵや中国は、米国への対抗措置をとることを表明している。日本もきちんと自分の立ち位置で発言しないと、不安定トランプの憂さ晴らしの標的にされかねないが、内弁慶の安倍総理、変節漢の河野外相では、なんとも心もとない。