密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

日本式リタイアメントコミュニティー構想の空疎

日本でCCRCーコンティニュー・ケア・リタイアメントコミュニティーの動きがでているらしい。アメリカのCCRCの日本バージョン計画だそうだ。


アメリカ人は、現役とレイタイアメントをはっきり分ける。現役は仕事のあるところ,職場に近いところ,都市部に住み、引退後は、好きな土地に移りのんびり暮らす。その為に,事前に週末ハウスを購入する人も多い。NYでは現役のうちは、都心に近いアパートや,通える郊外の住宅に住み、引退後に,家を売って、好きな土地に家やコンドミニアムを買う、あるいはキャンピングカーを買い全国の国立公園や友人を尋ねてあるくというのも人気のある老後だ。家族が地域に多ければ終生自分の家で独立して過ごしているお年寄りも多い。リタイアメントコミュニティー(以後RC)に住む事を選択する人たちは、共通の趣味で選ぶ。ゴルフの好きな人は,ゴルフ場のついているRCにすむ。美術や音楽に興味のある人のための、アトリエ、展示室、小コンサートホール、録音スタジオのあるRCもある。経済状態、文化水準の近い人たちが集まるところを選ぶ。そして、それぞれの資産、年金の受給額でも選択肢が決まる。


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官邸の説明を読んだ。毎度の事ながら,感じのいいことばで、希望に溢れたプランを語っている。
官邸Webによる、日本のリタイアメントコミュニティーの疑問点。
第一点は、従来の高齢者施設等は、要介護状態になってからの入所・入居が通例 であるのに対して、日本版CCRC構想では、高齢者は健康な段階から入居し、で きる限り健康長寿を目指すことを基本としている。
これはこの地域に移り住めば,プロによる在宅介護がもれなく受けられると云う事か。もしそうなら素晴らしいアイデアだ。ただし、このサービスは行政主導、後期高齢者医療制度で賄えるならば,であるが,この経済的負担割合への言及は無い。


第二点として、従来の施設等では、あくまでもサービスの受け手とし て「受け身的な存在」であった高齢者が、日本版CCRC構想においては、地域の 仕事や社会活動、生涯学習などの活動に積極的に参加する「主体的な存在」として 位置付けられる。
生涯学習ー大学のある地域などで,高齢者の生涯学習プログラムなどを組むということか。アメリカでも大学のある町はリタイアメント後の生活の地としては,人気が高い。
充実した、コンサートや、講演会、イベントがあるからだ。この魅力は,文系学部の充実が必須。政府は文系学部を減らしているのではないか?
社会活動ーフロリダでは、自然公園などの,指導員は,半ズボンのおじいちゃん、おばあちゃんたちだ。
みんな、ボランティアで,観光客や子供たちと接して楽しんでいる。日本ではどんな”社会活動”を高齢者に想定しているのか,そして,彼らが生き生きと喜んで出来る仕事を、行政はつくりだせるのか?このビジョンがあいまいだとなんにもならない。
仕事ーリタイアメントは働く義務からの解放。人生のご褒美。働くのも楽しみや自分の価値を見いだせる事へボランティア。それでも、仕事をしなければいけない人は,地方で仕事が見つかるのか?


第三点は、地域社会への開放性である。従来の施設等では、高齢者だけで居住し ており、地域社会や子どもや若者などとの交流は限られている。これに対して、日 本版CCRC構想は、高齢者が地域社会に溶け込み、地元住民や子ども・若者など の多世代と交流・共働する「オープン型」の居住が基本となる。


地元住民や子ども・若者など の多世代と交流ー若者は都市へ、今時子供は全国どこでも,塾や学校で忙しい。若い世代交流なら、まず子や孫の近くに住めればいい。地方に行ったら途端に,社会で活躍、多世代交流が出来るというのだろうか?まず、都市部でそういうコミュニケーションシステムを打ち出してみるべきだろう。住み慣れた土地で、そういう事が出来ればその方がいい。


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自らの希望に応じて地方に移住し、「第二の人 生」を歩むことを支援する。
高齢者の「健康でアクティブな生活」や「地域社会(多世代)との共働」高齢者が、健康づくりとともに、就労や社会活動・生涯学習への参加等により、健 康でアクティブ(活動的)に生活することを目指す。
これらは全て,十分な年金支給によって,安定した生活設計が出来て,初めて現実もを帯びて来る事だ。
白髪まじりでビルの清掃や警備員をしている人がいる。そうしなければ生活ができないからであって、”地域社会(多世代)との共働”をしたいからではない。高齢者を生き生きと働かせたいのなら、報酬など当てにする必要は無い、自分の意義を感じられるからすると云う気持ちの余裕と環境でないと,単に死ぬまで働け,国や地域のお荷物になるなという強制にしかならない。『健康でアクティブな生活』は看板に偽りありだ。



(6)居住者の参画・情報公開等による透明性の高い事業運営
事業運営においては、居住する高齢者自身がコミュニティ運営に参画するという 視点を重視する。また、事業運営が外部から的確にチェックできるようにするため、 基本情報や財務状況のほか、居住者の要介護発生状況や健康レベルなどのケア関係 情報などについても積極的に公開する。

どうも,日本式RCはRCというよりちょっと早め老人ホーム。効率よく都市部を活性化したいための高齢者排除,と云うと意地悪すぎるかもしれないが。安倍政権はリタイアメントライフの概念がそもそも解っていなのではないか? 年金が十分に支払われない、アメリカのメディケアに相当する高齢者保険が,無償ではないと云う事一つとっても、明白だ。これは,学生ローンを奨学金と云っているのに等しい。行政に都合のいい都市部の再利用化+怠慢の誤摩化しのためのミスディレクション


”できる限り健康長寿を目指す”と当たり前のような、変な目標?をあげているが、どうすればそうなるのか???誰だって,どこに住んでいたって健康で長生きしたい。日本はアメリカとちがって、親子関係の支え合いが強く、単身あるいは老夫婦だけで、家族からはなれて,第二の人生スタートと云う感覚を持てる人はまだ、そう多くはないのではないか?
みせかけアイデアの中途半端なアメリカシステムの輸入ではなく、プロのよる在宅介護システムの充実。介護士養成の助成金や本当の奨学金制度。家族が犠牲をしいられず愛情を交感できる環境をつくり、プロには相応の収入を保証する社会システムを整備する事が先決。財源?防衛費からでも海外支援金からでも,新しい財源は無くても,常識的な筋の通った税金の使い方をすればいいだけだ。目先の3万円支給,続かなければ意味が無い。それより,消費税免除カードとかを発行すればずいぶんたすかるだろう。
国民に、独立した豊かで健康な老後を終生過ごして欲しいなら、年金を上げ、高齢者保険無償化。お金生活の不安ほど健康に害する物は無いのだから。


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