密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

またグラム上院議員、今度は在韓米人退避勧告発言

リンゼー・グラム氏はサウスカロライナ州サウスカロライナ州選出の上院議員。この人のNBCニュースのインタビューに、日本は大きく反応している。


【ワシントン=共同】グラム上院議員(共和党)は1日、米国を標的とする核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を阻止するため、トランプ大統領が北朝鮮との「戦争」も辞さないと語ったとNBCテレビの番組で明らかにした。


 グラム氏によると、トランプ氏は「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と話したという。グラム氏は、北朝鮮がICBM開発を続けるなら「軍事力行使は避けられないだろう」と述べた。


 これを受け、サンダース大統領報道官は1日の記者会見で「大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止する必要性を明確に語ってきた」とだけ説明し、軍事力行使を含む「全ての選択肢」がテーブルの上にあると繰り返した。


なんかデジァブだなあ、と記憶を辿ったら、この人、8月にトランプ氏は「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と話したと、NBCテレビの番組で明らかにし、これも日本に大きなショックをあたえた。



2017/8/2 11:13
【ワシントン=共同】グラム上院議員(共和党)は1日、米国を標的とする核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を阻止するため、トランプ大統領が北朝鮮との「戦争」も辞さないと語ったとNBCテレビの番組で明らかにした。


 グラム氏によると、トランプ氏は「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と話したという。グラム氏は、北朝鮮がICBM開発を続けるなら「軍事力行使は避けられないだろう」と述べた。


 これを受け、サンダース大統領報道官は1日の記者会見で「大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止する必要性を明確に語ってきた」とだけ説明し、軍事力行使を含む「全ての選択肢」がテーブルの上にあると繰り返した。


この時も不思議に思ったが、彼は何の権限で、緊張する対北朝鮮危機を煽ることを言うのだろうか?米上院議員は定数100人のうち共和党員は52人、下院は定数435で共和党が241人。彼は393人の中の1人だ。


本来慎重であるべき公人の発言としてはいささか軽率、あるいは意図的に何かを煽っているのかと疑いたくなる。


CNNは、グラム氏この両方の発言について一切取り上げていない。
この人は超保守で、軍事委員会に所属、ミニタリーアクションにか関わることが大好きで、真の重鎮マッケイン上院議員ベッタリさんだった。彼の発言を、しかも委員会での見解でもない個人的意見をペンタゴンが注目するとも思えない。


トランプの「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」発言も、トランプが彼に語ったと、彼が言っているだけで、トランプからはそれについて何もない。


グラム氏北朝鮮のミサイル攻撃の前に攻撃するべきと思っていて、不安定なトランプに影響を与えたがっている。そのためにテレビで余計なことを話すのだろう。
所詮アメリカオンリーの狭量な白人至上主義の発想だ。


確かに北朝鮮の強気の挑発に、軍は強い対応の準備もしているだろう。けれど、誰も無用な犠牲を出す戦いはしたくないのだ。


グラム氏の意見に着目し、騒ぎ立てることは、維新足立氏発言を日本の公式見解として他国が憂慮するようなものだ。もっとも、現在の日本政府は、トップもネトウヨレベルであるから、アメリカよりうんと危険だ。


ジャパンハンドラーのアミテージさんは、日本を良く勉強しているコンサルタントであって、日本を支配するアメリカの司令塔などではない。現に彼はもう政治の中枢にはいない。本人もインタビューでこの日本の認識に驚いて、一体どうやって日本をコントロール配すると言うのか?たった一人の個人でさへ、私は、コントロールできたことなどないーと驚き顔で述べていた。同じようにこのグラム氏の煽り発言も、足立発言ぐらいに抑えておかないと、戦争を知らない日本が過剰反応し、返って火種となりかねない。


本来、日本は、戦わずして勝つ外交を模索するべきなのだ。”勝つ”というのは、東アジアの平和的均衡をもたらすことで、誰も殺さない、殺されないことだ。隣国からの信頼と友好を勝ち得、穏やかな、懐の深い確かな意見者と認識されることだ。これからアジアは中国がリーダーシップをとってゆくだろう。その際にも、日本はキーストーンとして、自立した意見を持ち存在を示してゆかなければならない。しかし、どちらにしろ、非常に偏った情念と、軽い思考を持つ安倍氏が政権のトップにいる以上、日本は不安定で危険な存在であり続けることは国際的に見て間違いない。


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歴史修正主義、自称愛国者の海外での墓穴

日刊ゲンダイの室井佑月さんのコラムで触れていた、慰安婦像をめぐる、サンフランシスコと大阪市の揉め事について、面白い見解の記事です。
吉村大阪市長の理不尽ないちゃもんと脅しにもならない恫喝に、きっぱりとした態度をとった エドウィン・リー市長はDoctor of Jurisprudence degree (法学博士号)を持つ弁護士であり、民主党所属の初のアジア系の市長。リベラルの都市サンフランシスコで、再選も果たした方だ。長い記事なので記事要約しましたが、興味のある方は本文を読んでください。動画もついています。


姉妹都市解消の理由として吉村市長が挙げているのは、在米中国系民間団体が設置した慰安婦像と碑文をサンフランシスコ市が公共物化したこと。


問題の慰安婦像は、朝鮮半島と中国とフィリピン出身の若い女性3人が手をつなぎ円を描く様子を描いたブロンズ像。作者はイギリス生まれの彫刻家Steven Whyte。


サンフランシスコの市議会は慰安婦問題の市への寄贈を受け入れる決議案を11月14日の時点で全会一致で可決しており、エドウィン・リー市長は10日以内に拒否権を行使することが可能でしたが、自動執行を待つことなく、11月22日に決議案への署名。


吉村市長が問題視したのは碑文の記述です。吉村市長は碑文に対して「『日本軍が強制連行し、数十万人の女性を性奴隷にし、そのほとんどが捕虜のうちに亡くなった』というのは、一方的な主張だ。確実に歴史的事実でないものは日本バッシングになる。違うものは違うと明確に意思表示すべきだ」と主張。


慰安婦像について吉村市長がリー市長との会談を求めた書簡に対して、サンフランシスコ市側はメールで「会談は可能だが、慰安婦像について交渉の余地はない」と返信。


安倍首相も「我が国政府の立場と相いれず極めて遺憾」と述べ、リー市長に対し拒否権を行使して像を受け入れないよう政府として申し入れたが、効果なし。
吉村氏問題史の像に記された碑文は、
Our worst fear is that our painful history during World War II will be forgotten”


— former “Comfort Woman”


This monument bears witness to the suffering of hundreds of thousands of women and girls, euphemistically called “comfort women,” who were sexually enslaved by the Japanese Imperial Armed Forces in 13 Asian-Pacific countries from 1931 to 1945.


Most of these women died during their wartime captivity. This dark history was hidden for decades, until the 1990s, when the survivors courageously broke their silence. They helped move the world to declare that sexual violence as a strategy of war is a crime against humanity for which governments must be held accountable.


This memorial is dedicated to the memory of these women, and to the crusade to eradicate sexual violence and sex trafficking throughout the world.


「私たちが最も恐れるのはこの痛ましい第二次世界大戦中の歴史が忘れ去られることだ」
かつての「従軍慰安婦」


この記念碑は遠回しに「従軍慰安婦」と呼ばれ、アジア13ヶ国で1931年から1945年の間に大日本帝国軍によって性奴隷にされた数十万人の女性と少女たちの苦悩を証言するものです。


女性らの大半が戦争中にとらわれの身のまま死んでゆきました。この悲惨な歴史は1990年代に至り、生存者らが勇気を持って沈黙を破るまで何十年も隠され続けてきました。彼女らは軍事戦略として行われる性暴力が、政府に責任のある人道に対する罪であることを世界が言明するための後押しとなりました。


この記念碑は性奴隷にされた女性たちの記憶と、現在も世界中に広がる性暴力と性的人身売買を根絶する運動のために捧げられます。
Wartime sex-slave memorial’s inscription finalizedより引用、拙訳


吉村市長の主張との齟齬を指摘しておくと、碑文の「most of」を「ほとんど」と訳してしまうのはニュアンス的に行き過ぎで、せいぜい「大半の」といったもの。


また「Japanese Imperial Armed Forces」は確実に大日本帝国軍の事をさしていますが、なぜか吉村市長は「日本バッシングになる」と述べている。


ナチスドイツと現在のドイツが別物であるように、大日本帝国と現在の日本は別物だからです。つまり大日本帝国軍の所業が非難されても現在の日本がバッシングされたことにはならない。であるなら、吉村市長は大日本帝国と戦後日本を連続した存在とみなす思想信条の持ち主であるからこそ、大日本帝国軍による慰安婦問題に反発している」とみなされても不思議はない。


「吉村市長は大日本帝国と戦後日本を連続した存在とみなす思想信条の持ち主であるからこそ、大日本帝国軍による慰安婦問題に反発している」とみなされても不思議はなく、であれば、サンフランシスコ市議会も市長も歴史修正主義などに屈するわけにはいかず、慰安婦像の寄贈受入を拒否しないのは当然の帰結。
(以下原文ママ)
そもそも、なぜ市議会は慰安婦像の寄贈受入を全会一致で可決したのか
この時点では吉村市長の自爆のように見えますが、問題のターニングポイントは2015年にまで遡ります。慰安婦碑の設置が議題とされたサンフランシスコ市議会監理委員会の公共安全と近隣サービス委員会がこの年の9月17日に開催されました。


この委員会で証言を行ったのは先日のトランプ大統領のアジア歴訪の際に韓国での夕食会に出席した元従軍慰安婦のイ・ヨンス(李容洙)さん。


カリフォルニア州グレンデール市の慰安婦像撤去訴訟の原告の1人であり、在米日本人らによるNPO法人「歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)」の目良浩一代表は、わざわざ委員会を訪れて歴史修正主義全開の演説を行ったのみならず、このイ・ヨンスさんが「嘘吐き」で「単なる売春婦」と個人攻撃を行ったのです。以下に目良浩一代表本人によるブログポストを引用します。


私は、そこで言われている慰安婦説が、史実に沿わないことを説いた。第一に、20万人説が、虚偽であること、第二に、強制連行があったとすることが真実でないこと、更に彼らが性奴隷であったことが真実でないと述べた。更に、具体例をあげますとして、「本日ここで証言されたイ・ヨンスさんは、サンフランシスコ州立大学の人類学教授、C.サラ・ソー氏の2008年の『慰安婦』と称する図書によりますと、ある日の早朝に友だちと共に家をこっそり出て、慰安婦の斡旋員のところへ行き、」と述べた時に議長のマー氏が制止した。


マー氏: イさんは、そんなことは言っていない。君は、彼女が嘘つきだというのか。
目良: 最後まで言わしてください。
マー氏: 彼女はそんなことは言っていない。
目良: 私は、彼女が言ったことを繰り返すことはしません。この本に書いてあることを述べているのです。この本を読んでください。続けます。
そこで赤いドレスと革靴をもらって大いに喜んだ」とあります。これがこの本に書いてあることです。


(_サンフランシスコ市議会委員会への参加者からの報告! _ 歴史の真実を求める世界連合会より引用)


日本人の自称保守界隈のこうした歴史修正主義と個人攻撃に対してカンポス委員は「恥を知れ」と批判。大きな拍手が湧き起こりました。
*議員は『、遠い他国に勇気を持ってやってきや、Guran'ma Yiを個人攻撃するなど、恥を知れ。日本政府がBehind(背後)にいないことを願い信じたい。」と演説した。
つまり日本の自称保守界隈による歴史修正主義的発言とイ・ヨンスさんへの個人攻撃によってサンフランシスコ市議会に慰安婦像が必要であると強く認識させてしまい、全会一致での寄贈の受入に繋がったということ。「歴史戦」を標榜して攻め込んだつもりが、極めて壮大なオウンゴールを決めてしまったということになります。


平たく言うと自称保守界隈のいつもの面々が、慰安婦像について国内の支持者向けのアピールと同じノリで海外で演説を行ったところ、当然のように総スカンを食らった揚げ句「歴史修正主義者が存在している以上、このモニュメントは必要だ」と結論づけさせてしまった今回の騒動。


日本に「歴史修正主義国家」のレッテルを貼り、国自体の品位を貶めた最悪の行動です。


「歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)」とは、会長を務めるのは日本会議代表委員の加瀬英明氏。発起人として「新しい歴史教科書をつくる会」の創設者である藤岡信勝前会長、自称保守界隈のなでしこアクションの山本優美子氏らが名を連ねている組織。


NYでの在特会パレードや、日本人会館でのアメリカでは誰にも相手にされないトニーロマーノの公演、首相まで顔出しの新聞講義広告など、日本では成功するかも知れないが、
アメリカでは逆効果の恥の上塗りだ。



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Black Boxー密室の闇を守る官僚答弁の厚顔無恥

伊藤詩織氏著『Black Box』が、紆余曲折の末(NJの集配所で紛失、再注文)やっと届いた。本書は一人の女性の魂をすり減らす戦いの記録だ。


彼女の事件に関しては、当ブログでも数回取り上げた。荻上チキセッション22でのインアビューには心が締め付けられた。彼女がジャーナリストであった故、通常なら、諦め何寝入り(実際警察もその方向を薦めている)してしまうケース出会っただろう。
彼女の、性犯罪・レイプに被害者に対する、社会の冷たさ、システムの不備、被害者にも責任があるとする間違った倫理観について、社会に問題提起をするという目的は、不屈の努力で果たされつつある。


超党派の国会議員による、調査会も開かれ、厳しい追及が行われたが、回答者の、警察官僚?だろうか、『個別の案件には答えられない』『色々なケースがある』を繰り返し、まさにBlack Box



【動画】超党派で「 準強姦事件 逮捕状執行停止問題 」を検証する会第2回
私は知らなかったのだが、Black Boxとは、電気配線における言葉で、一つの回線を他の配線につなぐ「ネットワークの延長、分配、切替、 変換」の装置であり、その中身は不明というものらしい。まさに今の日本の政治には様々なBlack Boxが存在し、その中で動いているのは、官僚組織である。


そして、この「ネットワークの延長、分配、切替、 変換」が、個人の利益、擁護のために不正に働いているBlack Box政府が安倍政権だ。


国会でも、福島・柚木両議員が取り上げた。しかしここでも、個別の案件を取り上げることは問題と、Black Boxに鍵をかけた議会運営が行われた。
もちろん安倍総理も、自分と山口氏の関係で嘘をついた。


レイプ疑惑が検察審査会で不起訴相当になったのをいいことに、さっそく「月刊Hanada」(飛鳥新社)や『報道特注』といったネトウヨメディアで復活を果たし、被害者である伊藤詩織氏に対して卑劣な反撃まで始めた“安倍御用ジャーナリスト”の山口敬之氏。だが、このまま事件をなかったことにできると思ったら大間違いだ。実は、ここにきて、国会でこの問題を取り上げる動きが一気に高まっているのだ。

 
なかでも、11日30日の参院予算委員会では、安倍首相に対して直接、山口氏のレイプ事件ともみ消しについての質問が飛び出した。福島みずほ・社民党副党首が「『総理』という本を書いたジャーナリストをご存知ですか、面識はあるでしょうか」と安倍首相に質問。続けて「無罪の推定があり、不起訴になっておりますが、逮捕令状が発布され、そして直前に執行されませんでした。このことを総理はご存知でしょうか」とレイプ事件捜査に対する安倍首相の認識を質したのだ。
 

たしかにこの事件には、安倍首相と官邸幹部、そこに連なる官僚たちが深く関わっている。そもそも、山口氏はTBS時代から安倍首相とべったりの関係を築いてきた番記者で、TBSを退社したあとは福島氏がの質問にも出てきた『総理』という“安倍PR本”を幻冬舎から出版している。
 

そして、レイプ事件捜査のもみ消しについても、官邸人脈が深く関わっていることが取りざたされてきた。山口氏に対して準強姦罪での逮捕状が出されたにもかかわらず、直前で捜査が警察幹部の命令によりストップしたことが判明しているが、その異例の介入命令をした警視庁の当時刑事部長である中村格氏は、菅義偉官房長官の秘書官を務めたこともある子飼い警察官僚。さらにこの事件について「週刊新潮」(新潮社)から取材を受けた山口氏は、安倍首相の最側近として知られる内閣情報調査室(内調)のトップの北村滋内閣情報官に、それを相談していた事実まで浮上している。
 

また、山口氏は事件を引き起こす直前、「週刊文春」(文藝春秋)に「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた!」とするレポートを発表しているが、これも官邸や駐米公使と連携して安倍政権の対韓国外交をアシストするために仕掛けたものであると「週刊新潮」が報道、レイプ事件もみ消しはその見返りではないかという見方まで流れた。
 

そういう意味では、安倍首相本人に直接この事件を問いただすのは当然とも言えるが、それを実行に移したのは、今回の福島氏が初めて。しかし、案の定というべきか、安倍首相は「知らぬ存ぜぬ」を決め込んだ。実際、「『総理』という本を書いたジャーナリストを知っているか、面識はあるか」という質問に対して、安倍首相は「取材対象として知っている」としか言わなかったのだ。


 山口氏と安倍首相の関係が「取材者と被取材者」というようなものでないことは、それこそ山口氏の著書『総理』を見れば明らかではないか。そもそも、執務室での写真をジャーナリストに使わせることも異例だが、中身を読んでも、山口氏が安倍氏の自宅や外遊先のホテルの客室にもしょっちゅう出入りするシーン、第一次政権崩壊後の2008年から安倍や昭恵夫人と定期的に登山をしていたエピソード、さらには、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャー的な役割まで果たしていたことを、山口氏自らが自慢げに語っている。それを「取材対象として知っている」とは、開いた口がふさがらない。
 

事件についても同様だ。福島氏がレイプ事件ということを配慮して、山口氏や被害者である伊藤詩織氏の名前などは出すことがなかったため、安倍首相はそれを逆手にとる形で、「それはどういう案件ですか?」などとおとぼけ。「いずれにせよ個別の事案について総理大臣としてお答えすることは差し控える」と事件そのものを認識しているかどうかさえ答えることはなかった。
 

こうした姿勢は安倍首相だけではない。1日の法務委員会でも、民進党の柚木道義議員が質問に立ち、逮捕状執行停止命令を出していた中村刑事部長(当時)や、責任者である国家公安委員長に国会での証言を求めたが実現しないこと、さらにレイプ事件の捜査プロセスと、山口氏を不起訴にした検察審査会の公正性について質問した。
 

しかし自民党の平口洋委員長は「一般人の個別の案件にして議論するのは控えていただきたい」と質問を遮り、審議をストップさせている。
 

柚木議員はこれに対し「山口さんだけ特別なんですか? 安倍さんのお友だちだからですか? 他の委員会では(一般人の個別案件も)認めている。開かれた司法なんじゃないですか安倍政権は?」と抗議するも、「一般私人の個人名をあげることは」と委員長に拒否される場面もあった。
 

その後も柚木議員は「なぜ中村格刑事部長は逮捕直前に停止命令を出したのか不透明極まりない」「(山口氏を)不起訴にした検察審査会の審議経過がブラックボックス」「森、加計問題に加え、山口レイプ事件は“隠蔽3点セット”だ」「(捜査中止を)総理に相談報告したのか」など安倍首相の関与についても追及。しかし「個別の事件捜査にあたって総理に相談することはない」などの木で鼻をくくったような官僚答弁に終始した。


ようするに、安倍政権と自民党は総がかりで、この事件がとりあげられること自体を妨害し、疑惑そのものがなかったことにしようとしているのだ。まさに、森友問題や加計問題の初期の対応とそっくりだが、しかし、国会での追及はこれで終わるわけではないだろう。


 実は、事件のもみ消し問題については、超党派で「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」(呼び掛け人は阿部知子氏、森ゆうこ氏、福島みずほ氏ら8議員)という議連が発足し、すでに2回の会合が開かれているのだ。
 

そこでは事件の検証とともに、警察庁、法務省、最高裁からヒアリングも行われ、主に捜査を潰した当時の中村刑事部長について追及されている。たとえば、山口氏と同じTBS出身の民進党・杉尾秀哉参院議員が自身の取材経験からして「逮捕状があるのに、現場でそれが取りやめになったなんてあり得ない」「山口じゃなかったら所轄の事件でしょ」と警視庁捜査一課の理事官を追及、理事官は全く関係のない言い訳にならない答えでごまかそうとして、しどろもどろになり紛糾したシーンもあった。さらに、福島議員が「山口氏の逮捕を中村部長が執行停止した記録はあるのか?」との追及に、警察庁も記録が存在することを認めてもいる。
 

捜査当局という“当事者”も含めた相当に突っ込んだヒアリングが行われたが、そこから警察幹部の介入による逮捕直前の執行停止がいかに“異例な事態”だったかが、徐々に浮き彫りになっているのだ。


 今後もこの問題を徹底追及することで、卑劣な性暴力、さらに最大の焦点である不可解な捜査ストップ、被疑者の不起訴に対する安倍首相や官邸の関与、その真相が明らかにされることを期待したい。


日本は性についてオープンではなく、恥の概念で隠蔽する。しかしそれが不健康な欲望を助長している側面があると思う。女性における汚れの思想も根底にあり、これによって、性暴力被害者の女性は自分を責め、事件を告発する勇気も持つことができない。


詩織さんも、PTSDに悩まされ、吐き気や心神喪失に襲われながら、道筋の見えない告発の努力をされたきたようだ。本誌を読むと、山口氏は大変手慣れており、自分の行為の犯罪性についても軽く考えている。今回が初めてではなく、同じことが過去に繰り返され、かなりの成功体験があるのではないかと疑ってしまう。


アメリカは最近、Foxの創始者やハリウッドの大物プロデューサー、アラバマの極右議員候補者のセクシャルハラスメントの被害者が続々と声をあげ、大きな問題になっている。彼らは、社会的制裁を受けた(議員候補は、共和党婦人会が擁護に回っているらしいが、共和党指定席のこの州で民主党が勝てば大事件である)そうそう、トランプ大統領にも過去の挨拶がわりのお触りが複数被害者によって告発されている。
こういうことをする人間は、結構繰り返しおこなっている。


しかし、彼らは、あくまで、女性の意思での性行為を権力による見返りで交渉したり、挨拶がわりに?触ったり、掴んだり(トランプはPussyGrabberとあだ名されたいる)したわけで、レイプのような極悪な犯罪ではなく、モラルの問題なので、社会的制裁(職を辞任するなど)を受けるにとどまる(しかし、しらばっくれることは社会が許さない)


ところが、意識のない女性に性行為を働くことは、犯罪以外の何物でもない。”準”と分けていること自体、日本の性犯罪への甘さが垣間見える。


性被害への対処は、学校の性教育の一環で教えるべきだと思う。知識があるのとないのでは、雲泥の差だ。詩織さんも、初期対応が混乱の中にあり、大きな証拠を自ら消したしまった。レイプ救急ラインのように電話相談が受けられるシステムや、各病院にも専門の医師とカウンセラー(婦人科医に公費で研修を行うなど)し、警察でのインタビューも専門の資格を持つ警察官orカウンセラーが行うか、同席する義務を課すなど、課題は山積みである。もちろん今回のケースの特殊性である”もみ消し”は徹底的に追及されるべきだ。


そして何より、レイプは一方的な暴力であり、被害者には何の責任もないこと。それによって被害者が”汚れてしまった”という意識を日本の女性を縛るヘンテコなモラルから払拭したい。 


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