密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

TVドキュメンタリー30days−30日間イスラム教徒になる。

以前にも紹介したアメリカのTVドキュメンタリー30Days、今回は,東ヴァージニア州の32才のクリスチャンの白人青年ディブが30日間イスラム教徒の家族と暮らし,イスラム教徒として過ごすドキュメンタリー。 以前はイスラムはアメリカ人に取って、遠い国の,空飛ぶカーテンの童話の世界だった。ホメイニの台頭から、湾岸戦争、テレビ画面で戦争、紛争を見るようになり、9・11が起こった。この番組の制作は2006年頃で9・11の影響でイスラム恐怖症が表立って蔓延している時期(今また復活するのかも)彼は典型的な中部の保守的なキリスト教徒。バーベキューとビールを愛する,典型的な田舎の青年で,奥さんと3才の子供から30日離れ,未知の世界へ。


まず,洋服をイスラム教徒の服に着替え空港に。入る早速警備員が,身体検査、荷物のチェックもうける。周りの人も遠巻きに冷たい目でみつめている。ミシガン州のムスリムコミュニティーのムスク(聖堂)の近くに住まいを持つホストファミリーの家へいく。パキスタンから来た医師サラム、妻サディアは法学生、彼の息子と同じ歳くらいの男の子がいる。生まれて初めてエスニックフードを食べる。翌朝5時大きな祈りの音楽で目が覚め、祈りを見学(一日5回)イスラム教徒は全世界で15億人、アメリカには600万人が住んでいる。世界第二の宗教だ。自分のいないとき家で妻と二人になるのは,いけないと云われ、夫が仕事に出る時は、もの凄く変だ!!と文句を言いつつドライブに。


教会用の服を買いにいく。店の女性がディブに,貴方は私のお兄さんににてる、といった。イラクから来た人で、3人の兄がいたがフセインに殺されたという。2人は捕まって拷問で,一人は10年収監された後殺されたという。彼が理由を聞くと,女性は、理由は無いただフセインに嫌らわれただけ,と答えた。


それから,ムスクにいき礼拝に加わるのだが,床に膝をつくお辞儀をする事が生理的に出来ない。彼もキリスト教がうまれた時から染み付いていて,異教的な祈りを受け入れられない。聖職者と話、貴方の神と,私たちの神と、ユダヤ教の神は,同じ者なのだと聞かされ,激しく反発、混乱する。ビールはもちろん禁止、食べ物の違いにも疲れ,生活習慣につかれ、落ち込むディブ。奥さんに家族の写真と手製のクッキーを送ってくれと電話でたのむ。


3つの宗教は同じ木の三本の枝、ただ、予言者か違い(ムスリム−モハメット、クリスチャンーイエス、ユダヤ教ーアブラハム、モーゼ)角度が違い、祈り方が違うだけなのだと教えを受ける。これが,どうしても受け入れられないディブ。毎日,日に5回ムスクの祈りに参加しても,ただ棒立ちで唇を噛み締めている。アラビア語の教師につき,祈りの言葉の英語訳をもらう。彼は意味のわからない言葉は唱えられないとおもっていたので、とても喜ぶ。アラビア語で”家族に会いたい”を学ぶ。


ホストファミリーと友達に感謝を込めて夕飯作りに挑戦。儀式に乗っ取って屠殺を行われた(イスラム教・ハロー、ユダヤ教・コーシャ)牛と羊(豚は食べてはいけない)を買い、ケバブをつくる。ハロー用の肉屋の壁には”God bress America"のサインボード,ヘイトクライムよけともとれる。ケバブの、なかなかの出来に集まったムスリムの友人たちにほめられ嬉しそう。たくさんのイスラムの人と会い話をする。疑わしい嫌な目で見られる事の辛さを語る人もいる。ムスリムの市議会議員を訪ねる。毎日たくさんの脅迫メールが届くという話を聞く。町のラジオにも出演,電話の質問は、彼らの中にSeed(忍者の草,長期の潜伏スパイみたいな意味)をみつけたか。と云うような質問ばかり。


ディブは、ムスクを手伝って、警察の、イスラム教であると云う理由だけでの取り調べをやめるよう署名集めをしてみる。誰も署名してくれない。毎日の祈りの放送も近所との摩擦を呼ぶ。チャーチの鐘と同じだ、というとチャーチの鐘は音楽よ,と答える女性もいた。イスラム教徒=テロリスト、怖いと云う根深い反応。サラムは,ディブに、私たちに聞いてくれれば,テロリストとイスラム教徒は全く違うと教える事が出来るのに,誰も聞かないと嘆く。


徐々にイスラムの人たちに共感や友情を感じるディブだが、祈りに加われないし,神が同根も受け入れられない。聖職者は毎日彼と話をし、心を広げる対話をする。信じる必要は無い,ただ一緒に学ぶだけだ。
同根の神なのだから,お互いに認め合えばいいと。スピリッツが語りかけてくれる声を聞くのだと教えられる。ついに,祈り方の練習を自室ではじめる。


ムスクでの祈り,彼の手にはロザリオが握られているが、皆と一緒に祈る事が出来た。たくさんの自問自答と対話をした30日。最も深く会話した,アラビア語の先生に、『話してゆくうちにどんどん同じ感覚が共有できるように感じたありがとう』と云うと,彼も、『不思議な事に私も同じ感覚だった,アラーのお導きだ。君は経験なクリスチャンだけど,ムスリムの事も忘れないでくれ。』といった。


彼はイスラム教徒にならないが,同根の友人として自然に受け入れられるとかたった。ありがとうと帰っていく彼が戸口で照れたのか,寂しかったのか、背中越しピースサインをして,振り向かずに出ていった。でサラム心配そうにサディアに聞く,『彼FUCK YOUのサインしたのかな?』『ばかね。ピースサインよ』


家に帰って一ヶ月ぶりのビールと妻と息子のキス。自分と全然違うけど、真摯で素晴らしいひとたちにあった。600万人も信じている人がいるのは納得できるよ。Good  Job Dave.!!


これはとても素晴らしい切り口で作られたドキュメンタリーだった。今こそ再放送されるべきだ。
ディブの挑戦のように、まず相手を知る事、対話すること、違いを認めること、好きになること、これが全ての始まりなのだと思う。


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