密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

介護離職、2つの袋小路

安倍政権は、要支援、要介護1・2の支援予算の大幅削減を画策している。
介護離職0などと、耳障りのいい目標を掲げているが、その実態は、介護離職増大の要支援、要介護1・2の支援予算の大幅削減及び、地方自治体にその責任を押し付けるシステムだ。



膨らむ介護給付費を抑えるため、介護の必要度が比較的低い「要介護1、2」の人を対象にした生活援助サービスの見直しが、厚生労働省社会保障審議会で議論されている。ヘルパーによる掃除や洗濯などを介護保険の対象から外す内容で、高齢者が援助を受けて自宅で暮らすことが難しくなったり、介護離職せざるを得ない家族が増えたりする恐れもある。 (出口有紀)
 

見直しの対象は、自宅の掃除や食事の準備などの生活援助。着替えや食事、トイレ、入浴などの身体介護は対象外だ。二月から同審議会の部会で議論され、厚労省は二〇一八年度からの制度改正を目指す。
 

改正の背景にあるのは、介護保険料の高騰。二五年度には全国平均で月額八千百六十五円になると予測されており、厚労省振興課担当者は「要介護の認定率が高まる七十五歳以上の人口は今後十年で五百万人ほど増える見込みで、給付の範囲をしっかり議論する必要がある」と説明する。どの程度の削減効果があるか今後の部会で検討する。
 

しかし、サービスの削減方針に、介護現場では不安が広がっている。
 
認知症の人は、ちょっとした援助があれば自宅で一人暮らしできる。生活援助がなくなれば、自宅で暮らせなくなる人が激増するのでは。三重県四日市市のケアマネジャー斎藤則子さん(59)は危ぶむ。
 認知症を患い、市内の自宅で暮らす六十代男性は「要支援1」だった二年前から、配食のサービスを受けている。玄関先に置かれた弁当を食卓へ運べなくなったために、ヘルパーが促して食べ忘れを防いでいる。一緒に洗濯や掃除もして、できるだけ自分の力を使って生活ができるよう手助けしてきた。生活援助サービスがカットされれば、ヘルパーはこうした支援ができなくなる。
 斎藤さんは
ヘルパーらが早い段階で適切に対応すれば、重度化を抑えられる場合もある。生活援助を切れば早期発見の機会が減ると心配する。
 同市のケアマネの男性(39)が担当した六十代女性は、「要介護1」でうつ病を発症。部屋に物が散乱し、どこに何があるか分からない状態になった。掃除のサービスを受けるが、こだわりが強く、自分のものに触られることを嫌がり、片付けは進まなかったが、二年半かけて信頼関係を築いた。
 生活援助サービスがなくなった場合、本人の自己負担で清掃業者に依頼することはできる。しかし、男性は
ヘルパーは、日々変わる本人の不安な気持ちを聞きながら動いている。精神疾患や認知症の専門知識がなければ対応できないケースがあると話す。
◆「家族の離職増えてしまう」
 「要介護1、2でも、認知症の人は妄想を抱えたり、昼夜逆転の生活になったりする。活動も激しく、在宅で苦労しながらケアしている人はたくさんいる」
 四月に東京の参議院議員会館であった介護保険制度改正を考える集会。埼玉県新座市の認定NPO法人「暮らしネット・えん」の代表理事、小島美里さん(64)はこう指摘した。
 法人は、訪問介護を利用する高齢者百三十人を抱える。小島さんは「生活援助は、介護状態になって崩れた暮らしを立て直すこと。単に部屋をきれいにする家政婦や民間の家事サービスとは違う。ごみだらけの家では介護や在宅医療の質も下がる」と強調する。
 集会は、介護保険政策に詳しい市民団体「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」(東京都文京区)が企画し、関係者八十人が参加。団体を主宰する小竹(おだけ)雅子さん(59)は「
暮らしの支援を切って在宅介護が成立するわけがない。施設に入れなければ介護離職する人も増えてしまう」と訴える。


”要介護1・2程度なら、余計なヘルプは甘やかしになる。厳しくし、自立を即す”というのが現政権の上から目線の愚民調教なご意見である。
しかし記事が指摘しているように、要介護1・2の段階は、専門家のケアが最も必要で、
その段階を、家族が補うということは、介護される側も、する側も、経済生活・精神生活を破壊される危険がある。 


支援が打ち切られ、あるいは削減されれば、今でもギリギリ出回っている介護家族は、現在の職を辞める必要に迫られる。当然収入の道が絶たれるとともに、現役世代の人たちが、社会との関わりを絶つということになりかねない。


仕事を辞め(あるいは仕事を自宅でするようにアレンジしても)フルタイムで認知症の両親と向き合うことは、訓練を受けて、知識を持つ、有償の(決して十分ではないという問題も顕在化しているが)介護士、ヘルパーが接するのとは大きな違いがある。


認知症初期はまだ他人と身内の区別があり、介護者にはぶつけない感情的な爆発を身内は受け続けることがままある。それでも仕事があれば(ブラックや職場いじめでない限り)
他の人間関係や、仕事のへの集中、などで自分を取り戻せるが、離職して一日中向き合うと、介護家族の精神状態が参ってしまう(というのを先月経験した)。誰とも話せない閉塞感、介護ストレスが、介護される側の両親、扶養家族に向けられることも想定できる。
介護側も、他人との社会的関わりがある程度精神バランスを保つ上で必要なのである。


こうしたことを軽んじて、下手に”甘やかさない””自立を即す”などと、表面的な心のない対応で、制度改正をすれば、介護ノイローゼの悲劇が激増するだろう。



PVアクセスランキング にほんブログ村
ランキングに参加しています。宜しかったら、両方を
クリックしていただけると嬉しいです。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

にほんブログ村

人気ブログランキングへ