密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

非常事態宣言と,個人の権利抑制+アメリカの難民受け入れ

オランド大統領が非常事態宣言を3ヶ月に延長,2年で5000人の警察官増員を発言。色々なみかたがあるだろうが、まだ潜伏テロリストや彼らの背景、共犯者援助者を捜索逮捕、近く行われる気候変動(COP21)のを訪れる各国要人に対するセキュリティーを考えると,妥当ではないかと思える。その際の個人権利の抑制や、中東、ムスリムの市民に対する対応は、フランスの人権に対する姿勢が問われる部分であろう。


アメリカは9・11の2001年10月から、テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するための法律 ( Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001 )を意味する。Patriot Actー通称愛国者法が今年6月まで施行されたいた。


なんと、14年間非常事態対応の法制に中で暮らしていたことを、実は恥ずかしながら知らなかった!!
私が移民申請したのがこの法が施行されて1年半くらいで,移民局が最も人手不足で忙殺混乱状態の時だった。通常きちんと英語が読めれば、移民局のWebにアクセスして申請できるようだったのが、とにかく手続きが毎週変わる、理解も対応も素人では到底無理とわかったので、移民弁護士を頼んだ。そして,通常より6−12ヶ月遅れてインタビュー,それからまた発行までに10ヶ月かかった(通常3ヶ月以内)。でも,二人とも初めての経験なので,こんなものなのか思っていた。


このPatriot Actは、ブッシュ2が任期中延長し、オバマ大統領が最初の任期継続した。制定後大変な議論や訴訟が起こされた。しかしテロ直後は87%の国民が賛成、下院全員、上院一人反対一人棄権で可決された。どんな制約かというと、ほとんどの人がその内容を把握できていない,膨大な内容で、主に、重要な3つの条項、法執行機関と移民を管理する当局がテロ行為に関係があると疑われる人物の拘留または移民を国外に追放するための規制を緩和するもの。企業活動の記録の捜査(図書館帯出記録条項)、テロリスト集団ではなく、テロリストと関係がある疑いのある個人を意味する「ローンウルフ」に対する監視の指揮、などが知られている,内容を詳しく理解するのは法律家でないと無理だろう。


実際に夫Dさんに影響したのは”企業活動の記録の捜査(図書館帯出記録条項)”で,大学の図書館司書なので,当局から通達があった場合、特定個人の読書,ネット検索記録の提供。本人にこの事を知らせた場合は違法-処罰となると云う部分で,非常な反発と危惧を感じたと言っている。実際アメリカ図書館協会は条項に強く異議を唱え、非常に警戒し、彼らは米国愛国者法を非難する声明を発表し、会員に言論の自由と利用者のプライバシーの保護を守ることを求めた。彼らは図書館の職員に捜査令状に従う前に法的な助言を求めるやりかたを模索し、会員には法的に必要とされるまで可能な限り長く記録を手渡さないことだけを助言した。その後、全米図書館の職員は、記録をばらばらにしてそのような命令に従うことを避けるように抵抗した。2005年くらいから50%の国民もこの法に危惧、異議を唱えている。


愛国者法それ自体が本当に問題視されたのは、マイケル・ムーアが彼の物議を醸した映画である『華氏911』で取りあげてからであった。映画において、彼はジム・マクダーモット下院議員が『上院議員で法案を読んだものはいない』と主張している場面や、ジョン・コニャーズ議員が「我々は法案をほとんど読んでいない。君は我々が成立させようとしている法案をすべて読んでいて、それが本当に必要であると思っているのか?」と語っているシーンを撮影した。ムーアは、アイスクリーム屋を雇い、ラウドスピーカーとともにワシントン周辺をドライブし、通行人、それには数人の上院議員も含まれる、に対して愛国者法について読んで聞かせた。


今回のテロをうけて、民主党のオバマ大統領がまた愛国者法(共和党好みのネーミング!!)を検討するかどうかは、まだわからない。共和党の強い州では、シリア難民の受け入れ拒否を表明している。テッドクルーズ、やドナルドトランプがその先頭に立っている。テッドクルーズの,「キリスト教難民のみ受け入れるべき」発言を,オバマ大統領がケチョンケチョン非難している(W)


オバマ大統領は、シリア内戦を逃れてきた人々を助けるために米国が『責務を果たす』よう求め、また「彼らの目の前でドアを閉めるのは我々自身の価値観を裏切ることになる」とも述べ、そして「各国が安全を必死に求める難民を迎え入れるのと、自分たちの安全を確保することは両立可能であり、責務だ」と語っている。


CNNのインタビューをうけた21才のモハメッドさんは4か月前にケンタッキー郊外に落ちついた,もう既に英語が上手。「私たちは食べ物が無くてここに来たのではないのです。戦争が、大きな戦争が起こっているからだ,安全なところがどこにも無い。いつも危険を感じていた。僕らは,アメリカの人たちと同じ事が出来る(働く能力がある)」7月に家族とともにこの地に来て翌月に工場で働き始めた。ケンタッキー州の難民協会が彼らを手助けしている。住居や政府への移民申請など。6組のシリアからの家族が今ここに暮らしている。協会はもっと受け入れるつもりだ。人権と民主主義を守りたい。彼らを見捨てない。と語っている。ケンタッキーの人たちは、難民受け入れに好意的。モハメッドさんは「勉強がしたい,いずれ大学に行きたい,そして自分でビジネスをしたい。きっと出来ると思う」と語った。


フランスはこれからどう対応してゆくのか。連合の反撃の空爆は、新たな憎しみの連鎖を生むだろう、が、これが,アメリカ、フランスの姿勢であり、また彼らも模索している。日本は日本のやり方を探せばいい。私たちは民主主義を与えられ,享受し、平和の中ほとんど空気のように意識せず過ごして来た。今,自分たちで民主主義とは何かを考え,自分たちの民主主義の為に声を上げている。猿真似の強権大国スピーチでは、有志連合からも相手にされず、ISILからも馬鹿にされ,いたずらに国民を死なせるととになるだろう。日本国憲法は押し付けられたのではなく、民主主義の実現に努力をつづけているアメリカの立憲主義の理想を託されたのだ。彼らが実現できない部分を担う事が,その付託に答える事だと思いたい。平和主義を貫いて。


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