密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

”奇妙な果実”


警察官が、アフリカ系男性を過剰暴力で死亡させたことを発端に、抗議運動が前週に広がっている(これはもう、幾度となく起こっていることだ)


そんな中、カリフォルニア州の2つの町(50マイルくらいの距離)で、木に吊るされた状態で死亡している2人のアフリカ系男性が発見され、自殺ー殺人の線で、FBIが捜査に着手した。


<絞首刑のような状態で見つかった黒人男性はこれで3人目。自殺なのか、おぞましい過去のリンチがよみがえったのか>


ロバート・フラーとマルコム・ハーシュという2人の黒人男性が相次いで亡くなった件をめぐる捜査に関して、米連邦捜査局(FBI)と司法省、カリフォルニア州司法長官事務所が再捜査を行うことになった。2人は、50マイル(約80キロ)ほど離れたカリフォルニア州の2つの町で、ハーシュは5月31日に、フラーは6月11日に、どちらも木に吊り下げられた状態の遺体として発見された。


FBIは15日、カリフォルニア州の2人の件について再捜査を行うことを認める声明を発表した。「FBI、カリフォルニア州中部を統括する司法長官事務所、そして司法省公民権局は、パルムデール市とビクタービル市でアフリカ系アメリカ人の男性2名が木に吊された状態で死亡していた件について、精力的に再捜査を行っており、連邦法に違反する行為の ニューズウイークより有無について特定にあたっている。


この光景には、誰もが、ビリーホリデーのナンバーで有名になった『奇妙な果実ーStrange Fruit』を思い起こすだろう。

奇妙な果実~完全版~ビリー・ホリデイ
奇妙な果実~完全版~ビリー・ホリデイ
キングレコード
ミュージック



「奇妙な果実」は、ニューヨーク市ブロンクス地区のユダヤ人教師エイベル・ミーアポルによって作詞・作曲された。1930年8月、彼は新聞で二人の黒人が吊るされて死んでいる場面の写真(閲覧注意)を見て衝撃を受け、これを題材として一編の詩「苦い果実(Bitter Fruit)」を書き、「ルイス・アレン」のペンネームで共産党系の機関紙などに発表した。(By wiki)


若い頃、黒人の歌声が好きで、ゴスペルとかバラードとかを聞いていたが、意味もわからず、ビリーホリデーのこの奇妙な果実も聞いて、胸の詰まるような感情に囚われたのを覚えている。改めて、歌詞を読んでみて、自分なりの翻訳をしてみたくなった。


Strange Fruitー奇妙な果実
Southern trees bear strange fruit,
Blood on the leaves and blood at the root,
Black bodies swinging in the southern breeze,
Strange fruit hanging from the poplar trees.

南部の木々には、奇妙な果実が実をつける。
葉の上で血を流し、根の上に血が滴る。
黒い体が南部の風に揺れる。
奇妙な果実がポプラの枝で揺れている。
Pastoral scene of the gallant south,
The bulging eyes and the twisted mouth,
Scent of magnolias, sweet and fresh,
Then the sudden smell of burning flesh.

勇猛な南部の長閑さは、
膨らんだ眼球とねじれた口
マグノリアの甘く鮮烈な香り
そして、突然漂う焼け焦げた肉の匂い
Here is fruit for the crows to pluck,
For the rain to gather, for the wind to suck,
For the sun to rot, for the trees to drop,
Here is a strange and bitter crop.
これは、カラスに啄まれた、(奇妙な)果実
雨が集まり、風に吸い尽くされ
日差しに蝕まれ、木々から落ちる
これは、奇妙な、苦い作物


この歌が作られたのが1930年、これが南部の日常にある光景だったのか。
1961−65の南北戦争で奴隷解放がなされた後も、かつて支配者だった白人の中に、蔑視と、打ち砕からた優越感が脈々と受け継がれている。


アフリカ系の大統領の誕生は、アメリカの革命的出来事で、しかしそこで溜まった一部白人のストレスがトランプを生み出した、とも言える。


日本でクルド人の在住者にひどい暴力を行う警察官の映像を見た。公務員が逮捕状もなく普通の人に、このやろー!!舐めんなよ!!と怒鳴っていた。こうした人は、時として武力行使を行う警察官にしてはいけない。土人発言もあった。何か勘違いしている。権力者の代行で力を行使している自分は高位にあるとでも思っているのか。日本での人種差別は、肌の色では行われていないが、これからは、そうしたことも起こってくるだろう。


アメリカとは同じ状況にはならないが、無根拠の優越意識と嫉妬が根底にあることは同じだ。


今回のケースが、まだ殺人と決まったわけではないが、納得の出来る調査を示さなくてはならない。


迫害の惨さ、恐ろしさ、悲しさ、悔しさを伝える”Strange Fruitー奇妙な果実”をもう一度聞こう。


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