密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

まるでハーメルンの笛吹き男 ゴーン氏の逆襲

かつて世間を騒がせたゴーン氏逮捕と、今世間を騒がせているゴーン氏の国外逃亡劇について、経済に疎い上、法律も門外漢であるため、書くべきかどうか、、と筆をとどめていた。それでも、ゴーン氏のレバノンでの会見を聞き、人間としてこの人の被った人間性の剥奪とこのまま一方的に封じ込められるかもしれないという恐怖の体験に同情を感じた。


誤解を恐れずにいうなら、当初の逮捕も、カルロス・ゴーン氏の受け取るはずの超高額報酬に対する、嫉妬からの怒りと、彼が外国人でありかつヨーロッパ系ではないことで、バッシング感情が加速してように見られた。


しかし、彼が外国人だからこそ、検察が日本の多くの容疑者にするような、いわゆる人質司法、弁護士の同席も認めないままの自白強要などを行えば、いずれ国際問題に発展するだろうと思っていた。


イメージとしては、北朝鮮にビジネスにゆき、何らかの理由で長期拘束され、いずれ有罪必至の裁判にかけられる人間が、隙を見て命からがら国外逃亡に成功した、という話なら、多くの人は、仕方のないことと納得するだろう。そしてゴーン氏からすれば、また他国から見れば、日本での彼の状況はこれに等しいと言っていい。


また、日本人なら、波風を立てない、家族に迷惑をかけられない、会社のために死ぬ、
自分が責任をとって飲み込む、などなどの追い詰められた行動に出る可能性があるが、
他の国の人は、そういう行動は一般的ではない。自分の主張を貫こと押す。ことに、日本人は日本でしか生きる道がないから、我慢したり妥協したりするしかないが、ゴーン氏は違う。育った世界も違えば、生きる世界も選択できる。


そうはいってもよほど追い詰められなければ、15億円もの補償金を放棄したり、危険な違法渡航を計画したりはしないだろう。公正な戦いが望めないと判断したゆえの、決死の逃亡であったろう。


そもそも、死に体の日産をV字回復させ、回復してからそのさせ方が強引だとか何だとか、日本人純血経営とか、で支払われていない報酬の過少申告で追い出すというのは、正当なのか?ニューズウィークの記事で面白いものがあったので一部を転載します。


カルロス・ゴーン逮捕直後


逃亡成功記者会見 100日で人間の風貌をこれだけ変える取り調べが、公正な正義を全うできるのか?
ー前略ー
ゴーンはその後2年足らずで日産のCEOに就任。傾いたとはいえ輝かしい歴史を誇る企業のトップに外国人を迎えるのは、当時の日本では前代未聞の出来事だった。特に日産は長年、日本政府と密接な関係を保ち、時にはそれが批判を招いてきた企業。日産も加わっていたかつての財閥、日産コンツェルンは、政府の要請を受けて1930年代に日本の統治下にあった中国東北部の旧満州に本社を移し、旧日本軍のためにジェットエンジンとトラックを製造していた。日本の傀儡国家だった当時の満州国で産業開発を指揮していたのは、戦後、日本の自由民主党の有力者となり首相も務めた岸信介だ。岸はまた現在の首相である安倍晋三の母方の祖父でもある。
21世紀の幕開けとともに、ゴーンは日産のV字回復を達成。日産は、外国人が有名企業の経営トップになれる新しい日本、開かれた日本のシンボルとしてメディアに賞賛された。だが実のところ、日産の元取締役も含む複数の情報筋によると、日産社内にも政界にも、ゴーン支配に反発する向きがあった。「カルロスはそもそもの初めから、自分に対する一定程度の不満がくすぶっていることを気づいていた」と、ゴーンの顧問と親しい人物は明かす。「水面下では絶えず、自分たちの会社の経営権を取り戻そうとする逆流が渦巻いていた」


不満が一気に高まったのは2015年。当時フランスの経済相だったエマニュエル・マクロン現仏大統領が突然、フランス政府のルノー株保有率を15%から20%近くに引き上げたときだ。フランス政府はこれで、ルノーのいかなる決定も拒否できる立場になった。これにはゴーンも日産の守旧派も慌てた。日産が、フランス政府の付属物になりかねないからだ。


ゴーンはなぜこんなことを許したのか、と社内は騒然とした。「彼は外国人で、フランスのパスポートをもっているのだから、こうした問題に対処すべきは彼だ、と思われていた」と、日産の執行役員の元顧問は言う。フランス政府は結局、日産本社の強い要請を受けてルノー株の保有率引き上げを断念、日産の取締役会の決定には一切反対しないと確約した。


ゴーンの友人や顧問らによれば、当時ゴーンの下で日産の副会長を務めていた西川廣人ら日産の長年の幹部らは、ゴーンが築いたグローバル連合──三菱自動車に加え、中国、ロシア、東欧の企業も参加──において、日産の重要性が低下しつつあることに危機感を抱いていた。


杞憂ではない。ゴーンは、前々から企業連合を統括する「中枢の戦略的持ち株会社」を設立する構想を温めていた。1案では、日産の株式は持株会社の株式24%に交換されることになっていた。


しかもゴーンはしだいに中国市場に注力し始めていた。中国市場で継続的にシェアを伸ばす上で、主力になるのは日産ではなく、武漢に本社を置く中国の国有自動車メーカー、2000年代初めから日産と提携している東風だ。だがゴーンは2017年、ルノーと東風の合弁により中国で電気自動車の製造を開始するという計画を発表。ゴーンはこの合弁会社が世界最大の自動車市場である中国市場を支配すると確信しており、日産の幹部はますます不満を募らせた。


ゴーンに近い筋によれば、2018年までに日産の幹部らは日本の経済産業省に行き、ゴーン抜きでも日産の経営はできると直訴した。そこで政府と日産は示し合わせ、ゴーンが役員報酬を過少申告したという話をもとに、詐欺容疑で逮捕されるよう画策したのだという。


ゴーンは当初から容疑を否認。日産と日本の検察は十分な証拠があるとして、裁判になればゴーンは有罪になるはずと見ていた。そんな彼らの目の前で、ゴーンは昨年の12月29日、日本を脱出した。日本政府は大恥をかかされた。


ゴーン逮捕後、日産は2019年最初の3四半期で営業利益が91%減り、1万2000人超の人員削減を発表した。株価は前年比で30%超下落。ゴーンが「クーデター」の張本人と見なす西川廣人は昨年9月に社長兼CEOを退任した。日産の守旧派はバックミラーに映る外国人を尻目に走り去ろうとしたが、その代償はきわめて高かった。


恩知らず?のクーデタ逮捕の後でさへ、日産の業績はボロボロ。本業のもうけを示す営業利益を見ると、19年3月期は前期比45%減の3182億円、20年3月期(見込み)は同53%減の1500億円とジリ貧だ。 ゴーンの逮捕日、1005・5円だった株価は、9日は644・3円と4割近くも下落している。(日刊ゲンダイより)
村からネズミを駆除したハーメルンの笛吹き男に対し報酬を支払わず彼を追い出そうとした村人よろしく、カルロス・ゴーン氏は日産から、どれだけのものを奪いつくすのか。


伊藤詩織さんの事件でも海外から非難を受けた、日本の検察司法。小沢一郎氏の陸山会事件、証拠を隠滅された村木厚子元労働官僚、沖縄の沖縄平和運動センターの山城博治議長 、籠池夫妻の異様な長期拘留。非人道的とのそしりを免れない。
昨今、人質司法・国策逮捕という言葉が一般化してしまった。


ゴーン氏が政治家の名前を控えたことに失望する向きもあるが、ゴーン氏の復讐は、まず自分の”陥れた”日産関係者と、尊厳を剥奪し、妻の逮捕まで持ち出した日本の検察に対してが第一義である。その裏で、いや全ての裏で面で暗躍し、この国を堕落させる政治家とヒラメ官僚の成敗は、ゴーン氏に頼らず、日本国民の手で行うべきだろう。


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