北陸旅行と駅前アパホテルの怪

2019/10/19 02:23

日本に行くときは、展覧会＋家の行事が常で、Dさんをつき合わせるかたちになる。
だから１週間は二人で旅行する。ジャパン・レールロードパス（外国人旅行者のための新幹線を含むJR乗り放題のパス）１週間を買い、３年前は関西・東北・北海道と回った。
今回は加茂水族館に行きたくて、富山・金沢・能登半島・新潟・鶴岡（加茂水族館）
と回った。

鶴岡では、著名な建築家：坂茂（ばんしげる）氏設計のホテルに泊まった。Dさんは現代建築にとても興味があり、Dさん孝行ができた、と言える。
スイデンテラス名前のごとく水田の真っ只中に立っている。本来の意味でのリラックスを提案しているように感じた。氏の作品は、NYのハドソン沿いに作られた移動美術館で体験した。主材料はボイド（紙で作られた筒）でそのまま移動してアメリカ各地を回る。

スイデンテラス、ロビーに図書館があり好きな本が読める。本好きのDさんは大喜び。

それから、北陸のお寿司の美味しさは夢のようだった。
魚は白身が中心、酢飯がどう言う配合をしているのか、酢のツンとする感じなく旨味がある。帰りに成田で江戸前寿司を食べたが酢飯の酢と甘みが主張している。もちろん、穴子やハマグリのような調理して”つめ”をかけたものにはよく合うし鮪にもあう合うが、個人的には北陸の酢飯の方が好きだ。

アメリカは寿司大流行でどこでも寿司屋がある、と言うかアジア系のレストランはスシバーを置いているところが大多数。マンハッタンで大枚を叩けば美味しい寿司が食べられるかもしれないが、ほとんどすべて、酢飯のコメが安物で、すし酢も出来合い。海苔は噛みきれない。魚はSUSHI定番のメニューのネット寿司ネタで地魚なんて考えもしないのだろうと言うメニュー。それを補うのがキテレツMAKI（巻物）で、これはこれでカクテル発祥の地であるアメリカ文化とも言えなくもないが、ワタクシは勘弁というものが多い。

おっと、食の話になるとつい熱が入ってしまう。食ブログとかアートブログも書きたいと思いつつ、いつまでも安倍政権がのさばり、どんどんひどくなるので、平和的な食やアートのブログまでは書く手が追いつかない。ともあれ、お寿司とお酒（Dさんは日本酒大好き）と美術館とくらげの旅の途中で感じた違和感、それが駅前アパホテルだ。

一度知らずに泊まって、非常に気持ち悪い思いをして（女社長の顔入りのボトルの水とか、歴史修正主義のトンデモ本とか、安いからいいやでは済まされない押し付けがましさ）２度と泊まるまいと思っていた。そのアパホテルが、新幹線が停車する駅前にどどんと立っている。奇抜な安手の目立つデザインで、中には例の女社長の顔写真を掲げているものも見受けられた。新興宗教団の本部かと見まごうものだ。

リテラで、文科省の文化庁トップ宮田亮平長官がアパホテルを絶賛しているという記事を見た。あいトリ補助金取り消しに関わり、参議院で発言した人物ということだ。

この人は東京芸大の学長を務めた人で、彫刻（彫金）のアーチスト。イルカがモチーフで、なぜイルカ？ラッセルか！？とつっこみを入れたくなる。高い技術で仕上げられた安全な作品だ。こういう技術が高い工藝的な作品が日本には多い。それはそれでいいが、
この人の価値観では、強い社会的エッセージを含むものは、許容の限界があるだろう。
ましてや、アパホテルのを褒めそやすとは、、、、。
「私はアパホテルの大浴場が好きなのですが、部屋数の多いホテルの場合には大浴場を作った方が、水道代などが安くなると以前お聞きして、驚きました」
「またAPAのロゴも、私達芸術家の目から見ても非常に目立って美しく、覚えやすくできています」
「またJAPANからJとNを取った真ん中にあるのがAPAです。これも素晴らしい」
とは言え、ほめながらも巧妙にUglyな外観に言及しない、さすが出世の階段を上り詰めた”ゲイジュツカ”は一味違う。

このUglyなホテル（しかも格安が売りホテル）がどうして駅前の一等地を抑えることができるのか？　新幹線停車駅ごとに必ずアパホテルが目に飛び込んでくる。
宮田亮平長官は北陸出身だそうだ。とは言え、駅前の一等地を全部押さえてホテルを建てさせる力があるかどうか？やはり大きな力が働いている、そんな感じがした。
オリンピックに向け、全力で建てまくったという感じだ。きっと部屋には外国語に翻訳された歴史修正本が置かれることだろう。知らずに泊まってこの本を目にしたら、中国。韓国はもちろん欧米の人々も、びっくりするだろう、日本は歴史を受けいらない国、反省のない国と国際社会に大宣伝するようなものだ。このあまりに不自然な駅前アパホテル、何か”もりかけ”同様の匂いがする。

このこと、沿線の家屋が未だブルーシートでしのいでいる有様が、今回の楽しかった北陸旅行で胆石のように引っかかった不愉快で不可解な出来事だ。