密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

「もとの国に帰れ」言われた人の悔しさを共有しよう

トンデモ・トランプであっても、常軌を逸した暴言が波紋を呼び、下院で非難決議が可決された。前の記事でも書いたが、多くの議員、メディア人、市民がこの、国のトップであることの自覚のない人物の暴言に危機感を持っている。


「もとの国に帰れ」この言葉、日本でも在日韓国・朝鮮人の人たちに向かって、また日本の学び働きに来ている人々に向けて発せられている。


自分は優位に立っている、その理由が、白人だから・日本人だから・男だから、という選択権のない属性に乗っかって主張することが、恥ずかしいと感じないのは、そういうところでしか自己肯定ができないから。また、そんな根拠で否定され攻撃される人の悔しさ、悲しさを想像できない平板な想像力の産物だ。


BBCの記事は、人生において、アメリカ・英国で「もとの国に帰れ」という言葉を投げつけられた経験を特集している。これを読んで、知って吐いたけでど、改めて怒りと悲しみが沸き起こる。


日本人はサイコー、日本人がそんなひどい(大戦時)ことをするはずない、等の”Japan プライド”をお持ちの方も、これを読めば、そんなに白人が偉いのか!!と怒りを感じられるかもしれない。しかしそういう価値観の人たちにとっては、我々もただの”Yellow"
であり、もしアメリカに住んでいれば、時として「もとの国に帰れ」という言葉を投げつける対象なのだ。叔父が70年代からに米国トヨタに勤め、赴任当時は、叔母たちは公園でも”Yellow"という言葉を投げつけられたと言う。また35年前に移民した友人も子供達は”Yellow"といじめられたそうだ。


同じことを、日本で、同じアジア系の人々に、投げつけることは、いかにひどいことか、感じてほしい。この記事を全文転載する。



ドナルド・トランプ米大統領が自分に批判的な野党・民主党の女性議員4人に「もといた国へ帰れ」などと発言を重ね、人種差別だと批判されている。これを機に多くの人がBBCに、「帰れ」と言われた経験を寄せてくれた。


BBC読者の1人は、1975年にロンドンのバスで白人女性に、「あんたたち外人は国に帰ったらどうなの」と責め立てられたと言う。
匿名希望のこの人は、「確かに自分たちは留学生だったけど、ショックで固まってしまった。次の停留所ですぐに降りた」と話す。
「人種差別は醜悪で、無知で、人を傷つける。そして残念ながら、どこにでもある」
リトルバード・アルザバルさんは、自分の家族はニューメキシコがアメリカの州になる以前から同じ場所に住んでいると話す。
「それでも私たちは白人の子供たちに、メキシコに帰れと怒鳴られた。向こうは帰る場所があったけど、私たちにはなかった」


何が問題になっているのか
トランプ氏は14日、3連続のツイートで、「『進歩的』な民主党の女性下院議員たちが、政府がまったく完全にひどいことになっている国からもともと来たのに、世界で最悪でひどく腐敗してほかのどこより無能な政府(政府が機能していればの話だが)の国から来たのに、それが今や、世界で最も偉大で最強のこの合衆国の人々に、この国の政府をああしろこうしろと大声で罵倒しているなんて、実に興味深い。もといた国へ帰って、完全に壊れて犯罪まみれの地元を直す手助けをしたらどうだ。それをやってからここへ戻ってきて、やり方を教えたら」と書いた。
さらにトランプ氏は、「そういう場所は皆さんの助けがぜひとも必要だ。できるだけさっさと行ってもらいたい。ナンシー・ペロシは喜んで、無料渡航の算段をすぐにしてくれるはずだ!」と書いた。
トランプ氏は、どの民主党女性議員を攻撃しているのか名指しはしなかったが、民主党幹部のペロシ下院議長への言及から、ペロシ議長がこのほど国境警備をめぐり党内で対立したアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員、ラシーダ・タリーブ議員、アヤナ・プレスリー議員、イルハン・オマール議員のことだと広く受け止められている。
4人のうち、オカシオ・コルテス議員、タリーブ議員、プレスリー議員はいずれもアメリカで生まれ育った。ソマリア生まれのオマール議員は、12歳で家族と共にアメリカに難民として亡命した。


3人の議員はメキシコとの国境近くで米移民当局が不法移民を収容している施設を訪れ、その実態を12日に批判。「アメリカの国旗のもと」で、移民たちが劣悪な扱いを受けていると発言していた。
議員たちのこうした政府批判を受けて、トランプ大統領は議員たちに「帰れ」とツイート。これがアメリカ内外で批判されるとさらに15日、ホワイトハウス前で記者団に対し、「この国に不満なら、いつも文句ばかり言っているなら、出て行けばいい」と述べた。
テリーザ・メイ英首相はトランプ氏のツイートについて、「まったく容認できない」と批判。保守党党首選でメイ氏の後任を争うジェレミー・ハント外相とボリス・ジョンソン前外相は15日、決選投票を控えた討論会で、それぞれ「非常に侮辱的だ」、「受け入れられない」と批判した。その一方、両者ともトランプ氏のコメントが人種差別的だとは指摘しなかった。



冒頭で紹介した読者のほかにも大勢が、「帰れ」と言われた経験をBBCに寄せてくれた。


米インディアナ州ブルーミントンに住むラリー・クリストファー・ベイツさんは、ごくごく幼い頃から「アフリカに帰れ」とあまりに何度も言われ続けたため、いつ最初にいわれたのかもう思い出せない。「白人国家主義者が真っ先に口にする侮辱の言葉だ」


イアン・タイソンさんは、ロサンゼルスで運転中に警官に停車させられた。タイソンさんのイギリス発音を聞くと、警官は放送禁止用語を使い「もといたところへ帰れ」と罵倒してきたという。アメリカ国内を旅行すると、「それがいやなら、自分の国に帰ったらどうだ」と言われることがしばしばある。


7年前からエストニアに住むヴェネズエラ人のフアン・オリヴェロス・ミュラーさんは、在住証明書の再発行をしに役所に行くと、役人から「自分はマニャーナ(明日)人間だから、故郷に帰れ」と言われたという。


米イリノイ州のムクタル・バルデさんは、「白人アメリカ人」に「帰れ」と言われるたび、北米に最初に住み着いたのはアメリカ先住民だと切り返すようにしている。
「そうすると驚くほどの確率で、その白人たちは自分には先住民の血が少し流れているから、ここが自分のすみかなんだと言い出す」


5年前からイギリスに住むモロッコ出身のアブデル・タジさんが、運転免許の試験を受けたとき、教官はことあるごとに「この国では」と繰り返したという。
「試験中に曲がり角を間違えると、教官は怒鳴り始めた。『どこから来たのか知らないが、間違いだ!! おたくの国では右と左の区別もできないのか? 帰った方が良いよ』と」「そう言われて自分は車を降りて、タクシーで家に帰った。その日は1日中、気分が悪かった」


豪州の先住民で西オーストラリア州に住む匿名希望の女性は、「すごく小さいころから、数えきれないくらいしょっちゅう、『もとの場所に帰れ』と言われた」と話す。
「肌の色を理由に私を責めようとするこのふるまいは、あまりにおそまつで、失笑ものだとしか言いようがないし、こんな否定的な物言いに自分の心身も魂が侵食されることなど、許さない」たまに反論する場合は、「にっこり笑って、『その言葉をそっくりそのままお返ししますよ』と言う」のだそうだ。


両親の人種が異なるジャクリーンさんは、1954年にロンドンで生まれた。「子供の頃から思春期の間ずっと、故郷に帰れとしょっちゅう言われた」と書いた。
1980年代になるとほとんど言われなくなったが、つい3カ月前にイングランド北部マンチェスターのショッピングセンターで、通りすがりの男に「帰れ」と言われたという。
「あんなことを言われたのは少なくとも35年ぶり。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)の影響のひとつだと思っている。あの国民投票の結果は、イギリスで人種差別をむき出しにすることを正当化してしまった」


イギリスとアメリカの二重国籍をもつキム・リードさんは、「今のままのアメリカが嫌いなら」出ていくようにとしばしば言われるという。
「私は投票も納税もしているけれども、自分の発音のせいで、医療制度や学費ローンについて意見を持ってはいけないと言われる」


ニューヨーク市に住む韓国系移民一世だという読者は、「少数者の大部分は少なくとも一度は、『帰れ』『国に帰れ』などと言われたことがあるはずだ」と言う。ニューヨークは世界でも特に多様な街だが、それでも「自分はアメリカ生まれなので『非伝統的なアメリカ人』とか『厳密に言えばアメリカ人』とみなされた」「これは今もわけが分からない。というのも、ごく一部の人を除けば、ほとんどのアメリカ人は先祖の誰かがどこかから移住してきたからここにいるのであって、当時は自分の仲間が『帰れ』と言われるマイノリティーだったのに」


カンザスシティーに住むヴィクター・ホワンさんは、「もといた場所に帰れ」と一生言われ続けてきたとツイートした。「99%のアメリカ人は、この国がいかに特別な場所か、そのありがたさを完全には理解していない」のは「悲しい」「僕は移民の息子だ。共産主義を逃れた女性と、無一文から身を立てた父親の子供だ」「この国がどういう場所か、僕と違って多くの人は決して理解できない。僕はアメリカを愛しているし、世界におけるアメリカの意義の全てを愛している。そしてここは、僕のいるべき場所だ」


リベラル系シンクタンク「アメリカ進歩センター(CAP)」のニーラ・タンデン所長は、ツイッターで最初に「インドに帰れ」と言われ、インドの貧困の様子を写した写真を送りつけられるようになったのは、2016年だと書いた。「私はここで生まれたけれども、肌の色が茶色いので、アメリカ人として自分より劣っていると考える人たちがいる。今では同じことを、トランプがオウム返しに繰り返す。だからこそ私たちは闘うのだ」


この表現の謂れは?
米ジョージ・ワシントン大学のマイケル・コーンフィールド准教授(政治運営学)は、政治用語を研究している。今回の「もといた場所に帰れ」のような「排他的」表現は、アメリカの建国以前から使われていたし、様々な移民集団が波状でアメリカへやってくるたびに繰り返されてきたという。


20世紀初頭にはアメリカに移住したイタリア人、アイルランド人、ポーランド人がそれぞれ、政治家の標的になった。いずれも、経済停滞による社会不安が高まっている状況でのことだ。


1910年代には、当時のウッドロウ・ウィルソン大統領が「公然と人種隔離を訴え、異なる人種や民族を引き離そうとした」とコーンフィールド准教授は言う。


それがヴェトナム戦争の時代になると、世論が政治家の人種差別を批判するようになり、「出て行け」という排他的スローガンは人種ではなく政治的立場の異なる相手に使われるようになった。「アメリカ:愛さないなら出て行け」というスローガンを多くの政治家が口にするようになり、車のバンパーステッカーとして人気を得た。
准教授によるとこのスローガンは、「愛国心を試すもの」だったが、人種による差別を助長するものではなかった。


トランプ氏の言い分
国内外から相次ぐ批判を受けても、トランプ氏は4議員と民主党を攻撃し続けている。
16日には、「あのツイートは人種差別じゃない。自分の体には人種差別的な骨など1本もない! 議会が取り上げる予定の採決とやらは、民主党の詐欺だ。共和党議員は『弱み』を見せて、向こうのわなにひっかかったらだめだ。それより、あの民主党下院議員たちの汚い言葉遣いや発言やうそについて、採決すべきだ。あの連中は、その行動から僕は確信しているが、我々のこの国を憎んでいる」などとツイートした。


この後の採決で民主党が多数を占める下院は同日、賛成240、反対187で、「新しくアメリカ人になった人たちと有色人に対する恐怖と憎悪を正当化する」トランプ氏の「人種差別的発言」について、非難決議を可決した。
(英語記事 Trump racism row: BBC audiences on being told to 'go home')


どれだけの人がこの言葉に傷つき、その背後にある憎悪に恐怖しているか、そういう思いに至れない事こそが恥ずべき事だ。自分に対して何もしていない人たちに対して、その属性への偏見でひどい言葉をぶつける、社会の気分でそんな気持ちになっていたら、自分がアメリカ・英国などの白人優位主義の残る国で暮らし、マイノリティーとして生きることを想像してほしい。


とはいえ、こうした差別的言葉を投げつける人はごく一部の人だ。また、そういう偏見を持っていても見ず知らずの人に言葉や行動を投げつけることのできる人というのは、どこか病んでいるし、アメリカでは、過去の幾たびかの過ちの上に、社会全体として人種差別は恥ずべきことというモラルが定着している。しかし大統領が差別主義者でしかも病んでいる種類の人であるためにその規範が乱れている、これがトランプ大問題なのだ。


そして、記事にもあるように、こうした属性に対する優位感情を政治は利用するということだ。今、韓国に対する感情は、本当に妥当なものなのか? 外から見れば、いちゃもんをつけているのは日本の方だと明らかにわかる。そしてその目的が政権の維持というごくドメスティックな価値観のみで行われているということも。


その上で、安倍政権の行なっている対韓政策は明らかに日本の国益を損ない、自国の国民の心を、醜い憎しみに誘導し、韓国のみならず、友人となるべき東アジア諸国の感情を最悪にし、国際社会においての日本の評価をとんでもなく下げている。


今回の選挙で自民党を勝たせるということは、日本国民がみんな安倍政権と同じ考えだと、他国にも示すことだ。 アメリカの多くの人々がトランプの差別主義を非難し、また日常のそういう発言をする人に対し、正しくないと発言する。We are not Trump!!だ。
日本の心ある人々も選挙で、We are not ABE!!を示そう。



PVアクセスランキング にほんブログ村

ランキングに参加しています。
宜しかったら、両方をクリックしていただけると嬉しいです。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ