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国威高揚短歌、国会で無視しても、ロシアでは無視できない

衆議院本会議代表質問、志位委員長は冒頭で、安倍総理の所信表明演説での、明治天皇のロシア戦争時国威高揚短歌の引用に言及し、激しく糾弾した。
しかし、安倍総理は、この部分に全く触れず、答弁ををこなった。
明治天皇の御製引用を批判=共産・志位氏 - ライブドアニュース


「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」を、「日本人は幾度となく大きな困難に直面した。しかし、そのたびに、大きな底力を発揮し、人々が助け合い、力を合わせることで乗り越えてきました」と本心はどうあれ、古文の授業なら落第点の解釈を開陳した。


国内ではこんな見え透いた曲解で言抜けできても、国外ではそうはいかない。
だいたいロシアが態度を硬化し強い態度で臨んできている状況で、こういう歌を所信表明演説の冒頭で掲げるというのは、北方領土は絶対取り返す、ロシアには負けない!!と言っているに等しい。時代背景も当にドンピシャだ。こういう懸念を抱いた人も少なくないだろう。日刊ゲンダイも記事をあげている。



どうして、このタイミングで、この短歌なのか。安倍首相が施政方針演説で引用した短歌が、問題になり始めている。短歌は日露戦争中、明治天皇が国民に勇気ある戦いを呼びかけたものだ。しかし、日露戦争は日本にとっては栄光の歴史でも、ロシアにとっては屈辱的な敗戦の歴史である。よりによって、今月22日、安倍首相はプーチン大統領と会談したばかり。ロシア国民が触れられたくない歴史に触れたことで、プーチン大統領を刺激したのは間違いない。



 安倍首相の“間抜けな引用”は、今回が初めてじゃない。昨年9月の総裁選の時も、「薩摩と長州で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」と、鹿児島県をヨイショし、わざわざ桜島をバックに出馬を表明しながら、「我が胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山」と、幕末の志士が薩摩への失望を詠んだ歌を引用している。どうやら、歌の意味を知らずに「桜島」という単語で選んだらしく、無教養ぶりを露呈した


今回は無教養で済まない。


「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」――。安倍首相が引用したのは明治天皇が詠んだ歌。「日本人の大和魂の勇ましさは、(平時では現れなくても)何か起こった時こそ現れるものだ」という意味で、日露戦争真っただ中の1904年に詠まれた。進行中の日露戦争に向けて、国民を鼓舞激励する天皇の「打倒ロシア」の号令なのだ。


 日本は大国ロシアを破り、ロシアから南樺太(サハリン島南部)などを奪っている。安倍首相は、日露戦争が大好きらしく、2015年の「戦後70年談話」でも、「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」と語っている。しかし、ロシアにとっては目を背けたい黒星だ。


 筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)が言う


「どうして、北方領土問題が難航するこのタイミングで、“対露戦争”に号令をかける意味の短歌を引用したのか理解に苦しみます。ロシアに押されっぱなしの安倍首相は、国内向けのアピールを込めたのかもしれませんが、ロシアは戦争を仕掛けられたと受け止めるはずです。怒ったプーチン大統領は6月の大阪G20をボイコットするかもしれません。ロシアにとって日露戦争は、アジアの後進国に負けて、サハリンという領土まで奪われた屈辱の戦いですからね。第2次大戦後、ロシアが北方領土を占領し、その後も引き渡しに応じないのは、日露戦争の仕返しとの意味もあるのです」


 年頭会見でも、安倍首相は北方領土で暮らす住民の「帰属問題」を持ち出しロシア国民を怒らせた。外交のイロハが分かっていない。


外交のイロハというより、人間関係のイロハが分かつていない。完全に安全牌と見切られ、強気の交渉に一気打って出られた昨今、今後も、プーチンは、この明治天皇短歌を
有利な交渉のカードに要所要所に使うだろう。


国内外を使い分け、自分に都合のいいように利用してきた安倍氏、しかし、周辺諸国にはもう見切られ、日本国内に逆発信され恥をかかされる展開がますます増えてくるだろう。
浅薄な二枚舌に騙される哀れな国民は、他国からそれを気付かされる。


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