密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

SO COOL ! ! グッゲンハイム美術館トランプに黄金の便器を奨める

大統領は、アメリカ国内の美術館にあるアートワークを、ホワイトハウスに飾る為借り入れることができる。ホワイトハウスの選択は、ヴァン・ゴッホの「雪のある風景」
ところが、グッゲンハイムは、代わりに、イタリアのアーチスト マウリツィオ・カテラン氏の作品で、黄金の便器、題して「アメリカ」を奨めたと言う。

マウリツィオ・カテラン作「アメリカ」
(CNN) 米ニューヨーク市の有名なグッゲンハイム美術館がホワイトハウスからゴッホの絵画借用の要請を受け、代わりに「アメリカ」と題された18金の「便器」の美術作品の貸し出しを提案していたことが27日までにわかった。
米紙ワシントン・ポストが報じた。同美術館はこの事実を確認したという。
同紙によると、ホワイトハウスは昨年9月、トランプ大統領夫妻の居住区画に飾るためゴッホの1888年の作品「雪のある風景」の借用を電子メールで申し出た。
これに対しグッゲンハイム美術館のナンシー・スペクター学芸員は丁重な表現で断り、代わりに実際に使用可能な便器の提供を打診したという。この便器はイタリアの美術家、マウリツィオ・カテラン氏の作品。スペクター学芸員は返答の中で「大統領夫妻がホワイトハウス内に据え付けることに少しでも関心があるのなら、便器の提供は可能」と伝えたという。
同美術館はホワイトハウスからの電子メールが届くころまでの1年間、「双方向性」を題材にした美術展を開き、この便器も作品として展示していた。美術館5階にあるごく普通のトイレの中に置かれ、入館者の実際の使用も許していたという。


残念、この「双方向性」を題材にした美術展は行かなかった。ともあれ、アメリカの美術館・学芸員は、メディア同様、シャープな知性と批判精神とユーモアを兼ね備えている。これがアメリカの文化の根幹を支える現代美術の育成者の資質と精神だ。 


ここで驚嘆するのは、イタリア系ではなく、イタリア人の美術家が、黄金の便器(本当の金ではないだろうが)を製作しそれを『アメリカ』と喩やした作品を、買い上げたという点だ。もし、中国や韓国の美術家が、黄金の便器を作り『日本』と題したら、これを日本の美術館は買い上げるだろうか? 怒れる日本市民は大騒ぎしそうだ。 


以前ホイットニー美術館でも、日本の美術家の作品で、日本の戦闘機が無限八の字を描きながらマンハッタンを火の海にしている絵画を展示した時も、展示したホイットニーに驚嘆した。ちなみに、この展覧会は、”American Effectーアメリカの効果 ”というテーマで、他にも、年老いたアメリカンスーパーヒーローたちが、点滴につながれ、車椅子でぼんやりTVを見ている、スーパーリアルなWax彫刻が印象的だった。

   

Gills Barbier作”Ritired Superherous-引退したスーパーヒーローたち"


日本では、音楽やアートに政治を持ち込むな!!という、音楽やアートの歴史的成り立ちと獲得した独立性、存在意義を深く考えない恥ずかしい見解を大っぴらに主張する人たちがいるようだ。美術や音楽が、神や王侯貴族から解放されて以来、批判精神やメッセージはその根幹の一つと言ってもいい。


花鳥風月・美人画が絵画の伝統である日本には、なかなか根付くのが難しいのだが、アーチストは自身で社会的意識をしっかり持ち、作品に反映させてこそのファインアートなのだということをもっともっと自覚してほしいし(もちろん、そうでないアートもあっていい。多様性こそ芸術に求められるべきものだから)、それを守り支える美術館も、きちんと知性と見識を磨き、アーチストの自由な表現に臨む気持ちを勇気づけ育んでゆくべきだと思う。


グッゲンハイム・ナンシー・スペクター学芸員のトランプに黄金の便器を奨める類稀なるセンスと、権力者に堂々と対峙する気概こそ、アメリカ美術の表現を支えるものだ。
トランプに対する知性的で高度で痛烈な批判の一撃と言えるこのニュースに、美術家の端くれである私は拍手喝采している。


この作品は今のトランプ・アメリカにこそ、最もふさわしい。知性も品性も人権意識もない差別主義者が座る黄金の便座。黄金の”Shit Hole”だ。


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