密接な関係にある他国から

アメリカと日本の社会、文化、日常感覚など、下から目線でつなげてみる。

「悪気がないから」では済まされない。差別はされる側の不快感による。

以前、ブラックフェイスについて書いた。
懐かしのシャネルズ”ランナウェイ”をトンズラ総裁に捧ぐ - 密接な関係にある他国から
アメリカではご法度の黒塗りだけど、大丈夫だったのだろうか?とちょっと心配に。
19世紀初頭アメリカで始まったブラックフェイス(白人顔を黒く塗って、楽器演奏をする)には、当時奴隷だった黒人が演奏する音楽を”からかって”面白おかしく喩や(バカにして笑う)する意味合いがあった。これは奴隷解放後も、ハリウッドを中心に20世紀半ばまで続き、現在は一切行われていない。
動画のコメント欄に、
『黒人に、おまえの唇は俺たちの物だブラザーとマーチンは言われたそうです』とあった。


このシャネルズに関しては、ブラック・ミュージックへ真摯な憧れ、彼らの本気度の表れである音楽の高い質を評価して、認めてもらったというところでしょう。これは、大変幸運な例で、長い差別の歴史を持つアフリカ系アメリカ人たちの、自分たちの文化にフレンドリーな外国人への寛容さも褒められるべきです。


ところで、日本在住のアフリカ系アメリカ人の作家が、警鐘を鳴らしています。というより日本人のイノセンス(無知からくる無配慮)を心配している。



年末恒例のお笑い番組「笑ってはいけない」シリーズ。大晦日「紅白歌合戦」の裏番組でありながら、今年も視聴率17.3%を誇った。もはや「国民的な」お笑い番組だ。


2017年のテーマは「アメリカンポリス」。ダウンタウンの浜田雅功が、肌を黒くメイクして登場した。テロップではエディ・マーフィ主演の映画「ビバリーヒルズ・コップ」の説明が流れた。


番組がTwitterでこう投稿すると、「面白い」「めっちゃ笑える」という反応が相次いだ。


一方で、複雑な思いを抱えながら、このシーンを見ていた人たちがいる。


バイエ・マクニールさんは、こんな風に、強い言葉で「ブラックフェイス」(黒塗りメイク)に反対した。

Baye McNeil
@Locohama
日本は好きだ。13年住んだし、日本に良いことが起きるように祈ってる。2020年オリンピックで黒人アスリートのためにブラックフェイスのドゥーワップをやらかすんじゃないかって真剣に不安だ。いますぐやめろお願いします  #StopBlackfaceJapan #日本でブラックフエイス止めて
15:04 - 2017年12月31日 · Chiyoda-ku, Tokyo


このツイートに対するリツイートで、とても気になったのがcanarioさんの反応



canario‏@canario_yellowJan 1
黒人は多くの国で差別されてきたのだから、日本でもそうに違いない、という非常に自己中心的な考えがないとこんな発想になりませんね。


イケメン@djschargeJan 1
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「自己中心的な考え」が無くても、真っ当な歴史感覚があれば「こんな発想」になる。あなたの認識を改めなさい。黒塗りメイクをすること自体が差別加害。


canario @canario_yellowJan 1
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日本でどういう黒人差別の歴史があったの?真っ当な歴史感覚ないかもしれないから教えて。


シャワーが熱いからやっぱり帰る坂さん【薔薇の葬列】@kemizakasan
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なんで日本での黒人差別の歴史の話になるんですか?
「黒人差別の歴史」の話なのに。
日本だけが世界から切り離されてるとでも?

canario@canario_yellow Jan 1

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その黒人差別の歴史に日本は関わっているの?いないの?「世界」でひとくくりにして同罪扱いされたら迷惑ですよね。それに差別していない国が差別している国の歴史の事情に合わせなきゃならない理由は?


シャワーが熱いからやっぱり帰る坂さん【薔薇の葬列】@kemizakasa Jan 1
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あなたは関わってなければ差別してもいいって言ってるんですけど…
自分が何を言ってるか理解してないの?
欧米人が過去にやった差別には関わってないでしょうけどそれは今差別していいって話にはならないでしょうよ。


差別というのは、まず第一に、差別を受ける側が、不快・苦痛・怒りや屈辱を感じるかどうかであり、差別を与えている側が、『だって悪気がないもん』『知らなかったもん』『そんなつもりないもん』で済まされる問題ではないことを、大前提として認識しなければならない。


その上で、歴史的な事実も鑑み、多くの人々に、不快・苦痛を与える可能性、苦痛を呼び起こさせる可能性にきちんと配慮して発言行動を行うことが、大人・社会人・人間としての最低限の心得だと思う。


canarioさんは成人前の方なのかもしれない。若い人の間に盲目的日本礼賛・感情的擁護の傾向が多いと聞く。それでも、自分の知らなかった事実であり国際社会の常識を知る機会があったら、素直に学んでみるべきだろう。あるいは独自に調べてみるべきだろう。


その上で、どうしてもブラックフェイスをしたければ、立派なレイシストデビューだ。 こうした頑固で偏狭な自己正義に凝り固まり、屁理屈を重ね、意図的に他国で(もちろん日本でも)差別的行動と認識されている行為を行えば、差別扇動・ヘイトスピーチ・弾圧になる。歴史修正主義もそのお仲間だ。


ちなみに日本人は彼らを”クロンボ”と呼んで蔑んでいた。白人は”毛唐”であった。鬼畜米英日本婦人であった亡き祖母が戦後もよく口にしていた。


差別ではないが、日本に来た外国人が傷つく言葉は”ガイジン”であるらしい。これはアメリカの友人たちや、ヨーロッパからの友人からも聞いて来た。日本旅行して来た友人には、ゲージンって何?と聞かれる。Foreignerという意味で敵意はないんだよ、と説明しておくが、子供たちからよくそう言われ、疎外感を感じるらしい。”音”も嫌なんだろう。
私がこちらで突っかかる言葉は”ゲイシャ” 本の影響もあって、褒め言葉と思って、言う人もいるので困るが、日本の女性蔑視と迫害の歴史を語るいい機会として捉えている。


また、日本でよく起こる問題・バイエ・マクニールさんが心配している問題に、特に強い意図もなく、”フィーリング”でナチスの制服を想起させる衣装をアイドルに着せて踊らせたり、他者の作品をパロディーにして笑ったりがある。悪気がないだけに、無知・無教養・無自覚を晒し、それを大衆に流布することは、無知・無教養・無自覚を拡散させるぶん罪が重い。


誰かの笑いの陰で、過去・現在の犠牲者、弱い立場、マイノリティーの人々が苦い思いを噛み締めなくてはいけないような程度の低い笑いなら、公共の電波でやるべきではない。


アメリカは他民族他宗教多文化そしてその移民の過程で多くの悲劇が起こり、また起こり続け、しかしそれを決してあきらめず克服しいている歴史こそが国の歴史と言える。


黒人を差別していないから、日本人のブラックフェイスはいいや、は通じないのだ。
エディーマーフィーを尊敬しているから、、いうのなら、彼がスタンダップコメディーの舞台で映画作品の中でどれだけ、鋭い差別への批判のナイフを笑いやアクションに滑り込ませているかも考え、尊敬の念を表すなら、ハリウッドのアフリカ系スターたちが”ブラックフェイス”に対して屈辱的な思いや怒りを持ち続けているかも知っていて当然だろう。


日本に住み、日本の良さを、たぶん日本人以上に、感じているバイエ・マクニールさんは、自身の怒りを表明しているのではない。未だに箱入り単一民族的イノセントで深く本質を考えず面白いものに流されやすい日本人を心配しているのだ。


「笑ってはいけない」シリーズは見たことがなし、なぜテーマが米国内で常に大きな人種対立・差別問題に発展する「アメリカンポリス」にしたのか不可解だ。滑稽に取り上げれば、他国の痛みをバカにして笑う結果になり、真剣に取り上げれば、報道特集が一本できてしまう。そんな危ないところにブラックフェイスまで使って踏み込む危険を冒すなら、日本国内には「笑ってはいけない」滑稽で悪辣な喜劇が蔓延しているだろう。
そちらに目を向けてはいかがか。


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