密接な関係にある他国から

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前川喜平前文科省事務次官会見と官僚のノーブレス・オブリージュ


今注目の前川前文科事務次官の証言潰しスキャンダル、菅官房長官の怪文書発言と前川氏への、レッテル張りを目的とした人格攻撃も、嘘や言い逃れどころか質問無視の繰り返し、問答無用の数の暴力に辟易している国民の目に、前川前文科事務次官の会見がどれほど誠実に映ったか、で政権への不信不快が強まる結果を招いたと思う。
まだの見ていない方は、こちらで。

(全録)加計学園問題 前川前文科次官が会見1

(全録)加計学園問題 前川前文科次官が会見2


一度は腰の引けた、TVメディアもこの問題を取り上げている。
直撃グッディーも官邸が仕掛けた?スキャンダルと、前川氏の証言の信憑性は分けて考えるべきという姿勢を示し、MCの安藤優子氏も「前川さんの人間性と証言の信憑性を混同させようという動きがあるが、別の話」と番組冒頭から、何度も繰り返していた。


また、ゲストの「尾木ママ」こと尾木直樹氏は「ぼくら教育関係者はみなさん信頼しているし、絶大な人気者。気さくで威張らないし、官僚的ではない。慕っている人も多いですね」と菅氏の人格攻撃に反論。元文科省官僚である寺脇研氏も「(菅官房長官の言葉とは)全然別の話を省内で聞いている。『みんな残って下さい』と下の者は思っていたけど、(前川氏は)『自分は最高責任者として全責任は自分にあるんだから辞めなくちゃいけない』と言っていた」「(前川氏が)辞めた日、省内には涙を流した者も相当数いたみたいですね」と発言。こうした自発的な弁護が出てくることも、前川氏の人格故なのだろう。

直撃LIVE グッディ! 2017年5月25日 170525
ただ、安藤氏と寺脇氏は結局総理は知らなかった、というような最終的安倍イノセントを印象付ける擁護おこなつている点が、残念だった。


巷では”出会い系バー通い”が一人歩きして、”ストレスの溜まった官僚のはけ口行動だ”とか、”人格と証言は別”、のようにこの件は推定有罪で済ましているが、本人の言い分はそれほど伝えられていない。
出会い系バー問題
2017年5月22日、前川が文部科学省在職中に売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたと読売新聞が報じた。


文部科学審議官だった2015年頃から同店に通い始め、同席した女性と連れだって店外に出たこともあったという。この報道を受け、官房長官の菅義偉は22日の定例会見で「事実関係について政府としては承知しておらず、コメントは控えたい」と述べ、さらに事実関係の調査については「文科省で適切にすると思う」と述べた。


この問題に対し前川本人は、記者会見で「私が行ったのは事実。ドキュメント番組で女性の貧困について扱った番組を見て、実際に話を聞いてみたいと思った。食事をして、小遣いをあげたりしていた」と出会い系バーの頻繁な出入りを認め「そこで出会った女性を通して、女性の貧困と子供の貧困が通じていることがわかった。ああいうところに出入りしたのは意義があった」「不適切な行為はしていない」と主張した。(By Wiki)


だいたい高級官僚がそんな不用心な場所でストレスを発散するとは思えない。
性的スキャンダルが個人はもとより省庁の大問題になりかねない組織では、そうして部分にのトラブル回避のための伝統的な対処の不文律もあるようだ。


同氏は、当時の上司から、出会い系バーへの出入りを注意され、やめたとも語っている。
これが個人の嗜好なら、注意などでは済まされない、降格・左遷もありだろう。


優秀で、規制にとらわれない調査をする部下に対し、上司がたしなめた、という方が自然であると思う。


百聞は一見に如かず、前川氏の会見の姿勢、記者質問への誠実な答弁に現れている。
かつての同僚、部下、上司の被るトラブルに心を砕き、松野文科大臣にも『お世話になり尊敬できる方」「お気の毒」とかばってもいる(松野氏は地元選出の近所の人。歴史修正主義など支持せず、庇われるにふさわしい尊敬されるにふさわしい政治家になってほしい)


これだけ長い会見と質問、どれだけ繕っても、人格の悪い人間、嘘を言っている人間なら、ボロが出る。国民は昨今そういう見本を山のように見てきた。そいうい意味で目が肥えているだろう。


官僚といえば佐川理財局長のように政府に平身低頭し、平気で言いつくろいの嘘を繰り返す人々、という印象があるが、元来、彼らは自身の優秀さで日本の国をよりよくしたい”ノーブレス・オブリージュ聖なる義務”を抱いて入省する人も少なくない。私はかつて、人事院月報の仕事をした時に、この言葉を月報の中で見つけ、感銘した。
若い官僚の、地方への出向で、地方行政から接待、女性斡旋などでズブズブになってしまう、”タニマチ”を防ぐというのがその月報の主題だった。その中で、自分たちの”ノーブレス・オブリージュ”を思い起こそうというものだったように記憶している。


だから、きっとそういう志でいる人もいるだろうと思っていたが、前川氏はまさにそういう人に見えた。故に、自身の忸怩る思いを抱え続け、最終的に引責辞任をし、自責以外は沈黙するつもりでいただろう。しかし問題はそれでは収まらず、”行政が歪められた”まま、であるゆえに会見に至ったように見受けられる。
ゲンダイの取材で元経産官僚の古賀茂明氏はこう言っている。
「文科省は、加計問題では抵抗したのに押し切られ、文科行政を完全に否定された。天下り事件では他省庁も同様のことをやっているにもかかわらず、文科省だけ詰め腹を切らされ、『安倍政権が天下りに厳しい』という演出のために自分たちが利用されたと思っている。このままでは文科省は虐げられたままで這い上がれない。そこで前川氏は、文科省全体を代表し、義憤に駆られて動いた、という意識なのではないでしょうか。実際、文科省内には前川シンパがたくさんいるそうです。ただ官邸はこれで、前川氏の個人攻撃を徹底的に強めるでしょう」


佐川理財局長はどういう気持ちでいるだろう?馬鹿な奴だと冷笑しているか?彼が羨ましいと思っているか?どちらにせよ、多くのノーブレス・オブリージュを胸の奥に抱いた官僚たちに、一石を投じた会見でもあったと思う。
後に続く証言、内部告発(これについては、ニュースソースの秘匿が絶対守られるべきで、政権側の出処不明を笠にする言い逃れは、不見識でありひどい詭弁である。共産党の証言者を守る態度こそ、不正に声を上げる人たちを守るものだ)が出てくる可能性もある。


全員が全員、権力を手にしたら、”今だけ、金だけ、自分だけ”に堕してしまうわけではない。また多くの国民は、嘘か本当か、誠実か不誠実かを見極める目を持っている、そう信じている。


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